独断的映画感想文:リトル・ミス・サンシャイン
日記:2007年7月某日
映画「リトル・ミス・サンシャイン」を見る.
2006年.監督:ジョナサン・デイトン.
グレッグ・キニア,トニ・コレット,スティーヴ・カレル,アラン・アーキン,ポール・ダノ,アビゲイル・ブレスリン.
フーヴァー家はかなりピンチな一家.
父リチャードは「9段階成功法」なる勝ち組になる方法を講演して歩き,現在著作出版を画策しているが,その行方は危うい.にもかかわらず持論を家族や子供にまで公私構わず主張し皆を辟易とさせている.
その父グランパは薬と女を年甲斐もなく追い回し養老院を叩き出されて舞い戻った不良老人だが,孫娘には優しい.
息子ドウェーンはこの家族に愛想を尽かし,パイロットになる日まで口はきかないと誓いを立てたツァラトゥストラ愛読者.
孫娘オリーブは愛らしい小学生だが,「ミス・リトル・サンシャイン」出場を夢見て,グランパ振り付けのダンス特訓に明け暮れている.
そこに実の兄でゲイのプルースト研究家・フランクが自殺未遂を起こして転がり込んできた.
主婦たるシェリルは逆上寸前,そこにたまたまオリーブが全米大会出場権を獲得との連絡が入る.
金もない一家は,やむなく黄色のおんぼろバスに全員が乗り込んで,アリゾナのアルバカーキからカリフォルニアを目指す,というロード・ムービー.
一家には次々に,まるで試練の様にトラブルが襲いかかる.
おんぼろトラックはクラッチが壊れてしまい,やむなく一家は押しがけしては飛び乗るという離れ業でドライブを続けることになる.リチャードの出版話はドライブの途中でパーになったことが判明し,一家は破産のピンチに直面する.その他にも次から次にトラブルが舞い込み,旅の行く末は予断を許さない….
勝ち組でなければならないと主張するリチャードのこの一家は,これ以上はないほどの負け組である.
それでもピンチな状況でこの一家の支えとなるのは,当初は欠点としか思えないそれぞれの特徴なのだ.諦めずにがんばれるのは,リチャードが決して諦めるなと叱咤激励するからだ.ちび・デブ・眼鏡のオリーブが自信を失わずにダンスに挑戦できたのは,彼女の全てを認めて励まし続けたヤク中のグランパがいたからだ.
その結果この一家は,その独自の価値観の家族を再生することが出来たと言える.
映画のエネルギーとアビゲイル・プレスリンの愛らしさにやられた.
★★★★(★5個が満点)
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コメント
トラックバックありがとうございました。この映画は快作でしたね。
作品のテーマ以外で気になったのは、この「子供コンテスト」なるものです。何やら子供を飾り立てて親のエゴを満たすという、実に不健全なイベントだと思ってしまいました。こういうのをアメリカ人は好むのでしょうかね(-_-;)。
それでは、今後とも宜しくお願いします。
投稿: 元・副会長 | 2007/07/11 06:52
こんばんは♪
TBありがとうございます!
シーサーとココログの相性がすこぶる悪いようでTBが送れないので、コメントにて失礼をば。
この先にとんでもない困難が待ち構えているようにも思えるこの一家でしたが、強まった繋がりと、なんといってもオリーヴの愛くるしさで何とかやっていけそうな希望に溢れた作品でしたねぇ♪
投稿: たお | 2007/07/13 21:06