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2007/08/12

独断的映画感想文:墨攻

日記:2007年8月某日
映画「墨攻」を見る.
2
2006年.監督:ジェイコブ・チャン.
アンディ・ラウ,アン・ソンギ,ワン・チーウェン,ファン・ビンビン,ウー・チーロン,チェ・シウォン.
紀元前370年頃,燕攻略の軍を起こした趙は,途上にある梁城に10万の兵で攻め寄せる.
住民4千人の梁城にこもる梁王は,戦闘集団で名高い墨家に救援を求めたが得られず,趙の巷淹中将軍に降伏することを考えていた.そこに墨家より革離と名乗る軍師が一人でやってくる.
梁王より全軍の指揮権を与えられた革離は,7日間で城の全面に出城を築くや,縦横の籠城戦を展開し押し寄せる趙軍を翻弄する.騎馬隊の女指揮官逸悦は,革離に愛情を寄せるようになる….
日本の小説・コミック(共に未見)を原作とした中国・香港・日本・韓国の合作映画.
なかなかがっしりとした造りの映画である.1

アンディ・ラウの革離は,理想主義的軍略家像を描いて,十分に魅力的.また,CGに頼らない戦闘シーンは撤退する趙兵の不安そうな表情,恐怖の表情が見て取れ生々しい迫力がある.
革離と逸悦との愛の行方も安易な結末とならず,ラストシーンは印象的である.
只,映画全体としては注文をつけたいところはいっぱいある.
そもそもは10万対4千の戦いの開始に際し,革離に全軍指揮権を梁王が何故与えたのか,ということの納得できる説明がない.その後の卑怯姑息な梁王の動きを見れば,この時点で革離を巷将軍に売り渡して降伏するのがむしろ当然であろう.
また城郭の全体像を俯瞰するシーンがないので,戦闘がどこでどう起こっているのか観客に判り難い.知略の限りを尽くして行われる籠城戦である以上,CGを使ってでも城郭の全貌を提示するシーンがあって良かったのではないか.
それでも見て損はない映画,但し男性向きか.
★★★☆(★5個が満点)
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コメント

トラックバックありがとうございました。

拙ブログにも書いていますが、やっぱり戦場の位置関係をハッキリさせないと盛り上がりませんよね。あまり面白くもないロマンスを挿入させるのも、ちょっとなぁ・・・・と思います。

とはいえ、歴史物は当方も好きなので、こういうネタの映画はもっと作ってほしいと思う今日この頃です。

それでは、今後とも宜しくお願いします。

投稿: 元・副会長 | 2007/08/25 20:22

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» 「墨攻」 [元・副会長のCinema Days]
 (英題:A Battle of Wits)春秋戦国時代に実在した思想集団にして戦闘のプロフェッショナル・墨家のメンバーの一人である革離をめぐる謀略戦を描くジェイコブ・チャン監督作品。  これと似た作品といえば、リドリー・スコット監督の「キングダム・オブ・ヘブン」であろう。同じように単純な戦闘スペクタクル史劇ではなく、戦争を“善悪の彼岸の事象”として捉えているあたり、作者の冷静なスタンスが感じられると共に、現代に通じるメッセージ性を獲得している。  しかも構造としては「キングダム〜」より一歩進... [続きを読む]

受信: 2007/08/25 20:18

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