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2007/08/16

独断的映画感想文:夕凪の街 桜の国

日記:2007年8月某日
映画「夕凪の街 桜の国」を見る.Yuunagi3
2007年.監督:佐々部清.
麻生久美子,藤村志保,田中麗奈,中越典子,堺正章.
昭和33年,被爆で父と妹みどりを失い,今は母フジミと2人で暮らしている平野皆美.
水戸の親戚に疎開していた弟旭は,今はその親戚の石川姓を継いで水戸にいる.
同僚の打越は皆美のことを好いているらしい.しかし皆美はその好意を受けることが出来ない.13年前,自分の背中で死んでいった妹みどりの声が耳から離れない.
やがて皆美は原爆症に倒れる….Yuunagi1
平成19年夏,石川七波は退職した父旭がある晩突然姿を消したのを追いかけ,駅で偶然出会った幼なじみの東子と共に高速バスに乗って広島まで来てしまう.
父はあちこちに立ち寄って,古い知り合いと話をして回っているらしい.その後をつけ,七波は初めて祖母や伯母たちの眠る墓を知り手を合わせる….
広島原爆被災者の生と死を2部構成で描く物語.
昭和33年を描いた第1部夕凪の街は,麻生久美子の好演もあって素晴らしい出来.しかし第2部は田中麗奈の好演にもかかわらず,話の整理がつかず受け入れ難い.
父が行く先も告げずある夜広島へ,というのも乱暴な話だ.また七波の行動に絡む東子の存在は,話を混乱させるだけではないか.東子役の中越典子の演技は今ひとつ.
途中の幾つかのシーンの様に,両親の若かった時代の映像に七波がそのまま入り込んで見守っていく構成に,最初からした方が良かった様に思う.
そのあたりは期待外れだが,麻生久美子演ずる皆美は良かった.
弟旭が「原爆が落ちて」というのを「原爆を落とされて」と言い直す皆美.
また死に瀕しての彼女の独白は心が痛む.
「嬉しい?/原爆を落とした人はわたしを見て/『やった!またひとり殺した』ってちゃんと思うてくれとる?」
Yuunagi4
★★★☆(★5個が満点)
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