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2007/10/14

独断的映画感想文:善き人のためのソナタ

日記:2007年10月某日
映画「善き人のためのソナタ」を見る.2
2006年.監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク.
ウルリッヒ・ミューエ,マルティナ・ゲデック,セバスチャン・コッホ,ウルリッヒ・トゥクール,トマス・ティーマ.
東ドイツ・ベルリン・1985年.社会主義体制下の東独ではシュタージと呼ばれる秘密警察が,巨費をかけて監視と密告のシステムを整備し,運営していた.
シュタージのヴィースラー大尉は社会主義体制に忠実なまじめななベテラン捜査官.
ある日反体制の疑いのある劇作家ドライマンと,その恋人クリスタの盗聴監視を行う様命令される.ヴィースラーはドライマンのアパートにマイクを仕掛け,昼夜分かたぬ徹底的な監視を開始する.
しかし彼らの芸術への真摯な態度や愛情表現にヴィースラーの心は動いていく.
7年間の公的活動禁止の果てに自殺した演出家イェルスカの死を知った夜,ドライマンはクリスタと共に,深い哀悼を込めてピアノ曲「善き人のためのソナタ」を演奏する.それを盗聴するヴィースラーの目に涙が浮かぶ….4_3
映画はイェルスカの死をきっかけに西側への働きかけを行おうとするドライマンたちとそれを知ったヴィースラーの行動,シュタージの追究を軸にサスペンスフルな展開となる.
暗く重い題材を扱った長尺の映画だが,最後まで全くだれることなく一気に見た.
映画全体に緊張感が維持されている上,ヴィースラー,クリスタ,ドライマンという登場人物がそれぞれに魅力がある.人間の強さだけではなく弱さも含めて描いた映画の物語には納得させられる.
特に俳優ではヴィースラーを演じたウルリッヒ・ミューエが出色のでき.
この人は本人がこういう監視の対象にされた経験があるという.謹厳実直なヴィースラーが無表情に坦々と任務をこなしながら,いつか芸術家をかばいつつシュタージとの間で辻褄合わせに苦悩していく姿を見事に演じている.
最後のシーン,僅かに明るい目をして口元がゆるむヴィースラーの表情が,そしてその台詞が,素晴らしい.6_2
★★★★(★5個が満点)
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コメント

TBありがとう。
最初から最後まで、緊張感のある映像でした。
とても長編第1作だと思えませんね。

投稿: kimion20002000 | 2007/10/15 23:44

トラコメありがとうございました

先ごろ亡くなられたミューエさんは素晴らしい演技でした、まだまだ活躍して欲しかったのに、残念でなりません。
最後の一言も、響きました~
年度ベスト級の作品だと思ってます。

投稿: くまんちゅう | 2007/10/25 22:13

トラコメ有難うございました。

こちらのTBは承認制だったでしょうか。
ご連絡を戴きもう一度トライしましたが、現時点では反映を確認できません。

最後の台詞が身にしみるのですが、恐らく「私が読む本だ(から包装は要らない)」という意味なのでしょうね。僕らが勝手に「私のことを書いた本だ」と解釈するわけです。ドイツ語は全く解らないので何とも言えませんが、英語のbook for meに相当するならそういう意味になると思います。
だとしたら、あの直訳調の翻訳は断然素晴らしいですね。

投稿: オカピー | 2007/12/11 00:07

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受信: 2007/10/15 03:04

» mini review 07075「善き人のためのソナタ」★★★★★★★★☆☆ [サーカスな日々]
解説: ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツを舞台に、強固な共産主義体制の中枢を担っていたシュタージの実態を暴き、彼らに翻ろうされた芸術家たちの苦悩を浮き彫りにした話題作。監督フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクが歴史学者や目撃者への取材を経て作品を完成。アカデミー賞外国語映画賞ドイツ代表作品としても注目を集めている。恐るべき真実を見つめた歴史ドラマとして、珠玉のヒューマンストーリーとして楽しめる。 [ もっと詳しく ] (シネマトゥデイ) 原題 DAS LEBEN DER AND... [続きを読む]

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