独断的映画感想文:オリヲン座からの招待状
日記:2007年11月某日
映画「オリヲン座からの招待状」を見る.
2007年.監督:三枝健記.
宮沢りえ,加瀬亮,宇崎竜童,田口トモロヲ,樋口可南子,原田芳雄,中原ひとみ.
浅田次郎原作の短編小説の映画化.
良枝のもとにオリヲン座が閉館するという手紙が来る.カフェテリアで待つ良枝のテーブルに祐次が現れる.
二人は昔子供の頃,近くの映画館オリヲン座に入りびたっていた仲だった.今は離婚寸前の夫婦である.
そのオリヲン座の閉館上映に一緒に行こうと良枝が誘う.祐次は僕は行かないと言って去っていく.
京都西陣の一角にあるオリヲン座は,館主で映写技師の松蔵と妻トヨの夫婦二人で切り回す小さな映画館だった.
ある日この街にたどり着いた留吉は,松蔵に弟子入りを願い出て許される.以来留吉はオリヲン座に住み込んで映写技師の修行に励む.
松蔵が肺を病んで急死した後,留吉はトヨを助けてオリヲン座を支えるが,二人の関係を疑う世間の陰口でオリヲン座の客足は遠のき,更にテレビの台頭で映画館の経営は更に苦しくなる….
昭和30年代を映画館の盛衰を通じて描く映画だが,映画が数本撮れそうな配役の割にはスカのような映画である.
その最大の原因はドラマがないことだ.
冒頭留吉が転がり込んでくる.松蔵が死ぬ.トヨと留吉が追い詰められる.ここまでは起承転結の「起承」である.
ここからどうドラマは展開していくのか.
と思うと次のシーン,オリヲン座は平然と営業を続けている.留吉は映写室におりトヨはピーナツを売っている.二人はさして不自由のない生活を送っている(らしい).
これではなーんだ,ということになるではないか.
ここからは話は良枝と祐次の子供時代の話に焦点が移るのだが,それはただ親に縁の薄かった同士の,二人の子供時代の話というだけで,これもなーんだという感じである.
浅田次郎は手練手管の限りを尽くして,読者を感動させよう泣かせようという作家である.
そういう作者の短編を2時間の映画の脚本にしたときの無理が,あちこちに出ているのではないか.
終盤,オリヲン座の閉館上映での留吉(原田芳雄)の挨拶はさすがだと感動した.宮沢りえ,加瀬亮,樋口可南子いずれも演技は期待通りである.宮沢りえが公園で一人自転車を乗り回すロングショットのシーンは素敵だ.
にもかかわらず,ドラマの展開が物足りないのは,期待を裏切られた感じで実に残念である.
追伸:上原ひろみの音楽は素敵だった!!
★★☆(★5個が満点)
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