独断的映画感想文:蒼き狼 地果て海尽きるまで
日記:2007年12月某日
映画「蒼き狼 地果て海尽きるまで」を見る.
2006年.監督:澤井信一郎.
反町隆史,菊川怜,若村麻由美,Ara,松山ケンイチ,保坂尚希.
若き日のチンギス・ハンがモンゴルを統一するまでの物語を,よく知られたエピソードで綴っている.
モンゴルを舞台に大勢のエキストラを動員し,騎馬軍団の激突するスペクタクルシーンを撮る,そのこと自体は大変な作業である.
その作業を破綻無く成功させ,それなりにまとまった映画を作り上げた努力は賞賛に値する,と思う.そこは角川映画の偉いところであろう.
しかし角川映画のまずいところはそれが目的になってしまうところではないか.
本末転倒,只大草原を疾駆する騎馬軍団のスペクタクルシーンを撮りたいが為にこの映画を作ったように見えてしまう.この映画には,日本人である角川が日本人的感覚で,モンゴルの草原まで出かけて日本映画を撮ってきたということが,あまりにはっきり出ているようだ.
とにかくモンゴルの大平原に日本人の役者は似合わない(役者かどうか疑わしいキャストも中にはいるが.松山ケンイチが良かったが出番はあまりに僅かだった).
「天空の草原のナンサ」に描かれる自然の厳しさ,「ココシリ」に描かれるような命の儚さは角川映画に期待する方が無理だろうが,松方弘樹や津川雅彦がお笑い芸人のような役をお笑い芸人のような演技で演じるのを見ると,つくづく角川さんは変わらないなと思う.
大スペクタクルという映画ならではの魔法を見せてくれるが,その物語は何も印象に残らない.
愛憎半ばするというと大げさだが,好きと嫌いの入り交じる映画である.
★☆(★5個が満点)
人気ブログランキングへ
コメント