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2007/12/31

独断的映画感想文:ブラッド・ダイヤモンド

日記:2007年12月某日
映画「ブラッド・ダイヤモンド」を見る.Blooddiamond5
2006年.監督:エドワード・ズウィック.
レオナルド・ディカプリオ,ジェニファー・コネリー,ジャイモン・フンスー.
シェラレオネで漁師をしているソロモンは息子のディアが自慢,頭が良く何時かは医者になると思っている.ところがある日,村を反政府組織RUFが急襲,妻子は逃がすもののソロモンは捕らえられ,ダイアモンド採掘場で強制労働を強いられる.
ソロモンは採掘中,巨大なピンクのダイアの原石を手にするが,折からの政府軍の急襲に紛れ,そのダイアを秘密の場所に隠して投降する.
一方ダイア密輸業者の元傭兵ダニーは,密輸に失敗し逮捕される.獄中でソロモンがダイア原石を見つけた話を聞き,保釈後ソロモン釈放を手配,家族との再会を条件にダイアの隠し場所に案内するよう迫る.Blooddiamond4
一方ダイア密輸の情報取得に接近してきたジャーナリストのマディーには,情報を与える代わりにダイア採掘場所への足の便を提供するよう持ちかける….Blooddiamond3
こういう設定で始まるダイア争奪戦のアクションドラマ.
立場の違う3人の人間関係を絡めながらRUF,政府軍,白人私兵軍のダイア争奪戦とその中での主人公たちの行動を描く監督の手腕はなかなかのもの.
また,映画に登場する反政府組織の略奪や住民の手足切断の暴行,少年兵の育成などと密輸ダイアの関係は,衝撃的である.
映画としてはしっかりした映画だと思う.またディカプリオ,ジャイモン・フンスーの演技は素晴らしい.ディカプリオはすっかり悪人役が板に付いてきた.
但し違和感を持つ部分もいくつかある.
アクション映画だからしょうがないとは言え,ソロモンと誘拐されて少年兵にされていた息子の脱出シーンではダニーが銃を撃ちまくり,RUFやその他の少年兵がばたばたと打ち倒される.ダニーがソロモンの息子を守り他の少年兵を撃ちまくるのは,結局ダイアが欲しい一心なのだから,そこには何の正当性・妥当性もない.
またラストシーンでソロモンが,ダイア密輸の証人として背広を着て白人の委員会に拍手で迎えられる場面にも違和感がある.Blooddiamond1
合法ダイアが成り立っている根拠は,欧州列強によるアフリカの帝国主義的支配の結果である.アフリカの惨状に欧州列強が,後に米ソ両大国が果たした役割を思えば,こんなシーンは蛇足としか思えない.
独断と偏見と判りつつどうも釈然としない.Blooddiamond2
★★★☆(★5個が満点)
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コメント

コメントどうもでした。

言われて見れば自分の息子以外のゲリラ兵は思い切り殺されてましたね、気にならなかったのはなんででしょう?
感情移入しすぎてたのかな?
最後の白人が拍手で迎えてた、のは欧米諸国の中にも悪人もいれば善人もいるぞ、と訴えたかったんでしょうね
あるいは悔い改めたんだという主張かと思います

投稿: くまんちゅう | 2008/01/12 15:14

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» 「ブラッド・ダイヤモンド」映画感想 [Wilderlandwandar]
各所で骨太ドラマと評判の良い映画「ブラッド・ダイヤモンド」(原題 BLOOD D [続きを読む]

受信: 2007/12/31 23:36

» 「ブラッド・ダイヤモンド」 [元・副会長のCinema Days]
 (原題:BLOOD DIAMOND )アフリカのシエラレオネを舞台に描かれる、ダイヤモンドの利権を巡って暗躍する政府軍やゲリラ、武器商人たちのどぎつい生態よりも、本作の一番衝撃的な部分は、子供達が反政府組織の手によって、テロリストに仕立て上げられていく過程である。  ゲリラ組織は、まず子供を親の手から奪い取る。そして自分たちだけのコミュニティに封じ込め、世間から隔絶させる。家庭や一般社会といった、いわゆる“公”を担う世界から断ち切られたところにテロリズムというものは立脚していると言わんばかりだ... [続きを読む]

受信: 2008/01/02 22:44

» #68.ブラッド・ダイヤモンド [レザボアCATs]
これなんですよ、これなんですよ、ハリウッドの良さって、こういった作品なんだと思う。ちょっと早いけど、今年のハリウッドの作品で、これが自分では一番好きかも!くらいの勢い。これ、硬い映画のイメージがあるのかなあ・・・ダイヤモンドだけに。アフリカが舞台だし・・....... [続きを読む]

受信: 2008/01/05 20:53

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