独断的映画感想文:ブラッド・ダイヤモンド
日記:2007年12月某日
映画「ブラッド・ダイヤモンド」を見る.
2006年.監督:エドワード・ズウィック.
レオナルド・ディカプリオ,ジェニファー・コネリー,ジャイモン・フンスー.
シェラレオネで漁師をしているソロモンは息子のディアが自慢,頭が良く何時かは医者になると思っている.ところがある日,村を反政府組織RUFが急襲,妻子は逃がすもののソロモンは捕らえられ,ダイアモンド採掘場で強制労働を強いられる.
ソロモンは採掘中,巨大なピンクのダイアの原石を手にするが,折からの政府軍の急襲に紛れ,そのダイアを秘密の場所に隠して投降する.
一方ダイア密輸業者の元傭兵ダニーは,密輸に失敗し逮捕される.獄中でソロモンがダイア原石を見つけた話を聞き,保釈後ソロモン釈放を手配,家族との再会を条件にダイアの隠し場所に案内するよう迫る.
一方ダイア密輸の情報取得に接近してきたジャーナリストのマディーには,情報を与える代わりにダイア採掘場所への足の便を提供するよう持ちかける….
こういう設定で始まるダイア争奪戦のアクションドラマ.
立場の違う3人の人間関係を絡めながらRUF,政府軍,白人私兵軍のダイア争奪戦とその中での主人公たちの行動を描く監督の手腕はなかなかのもの.
また,映画に登場する反政府組織の略奪や住民の手足切断の暴行,少年兵の育成などと密輸ダイアの関係は,衝撃的である.
映画としてはしっかりした映画だと思う.またディカプリオ,ジャイモン・フンスーの演技は素晴らしい.ディカプリオはすっかり悪人役が板に付いてきた.
但し違和感を持つ部分もいくつかある.
アクション映画だからしょうがないとは言え,ソロモンと誘拐されて少年兵にされていた息子の脱出シーンではダニーが銃を撃ちまくり,RUFやその他の少年兵がばたばたと打ち倒される.ダニーがソロモンの息子を守り他の少年兵を撃ちまくるのは,結局ダイアが欲しい一心なのだから,そこには何の正当性・妥当性もない.
またラストシーンでソロモンが,ダイア密輸の証人として背広を着て白人の委員会に拍手で迎えられる場面にも違和感がある.
合法ダイアが成り立っている根拠は,欧州列強によるアフリカの帝国主義的支配の結果である.アフリカの惨状に欧州列強が,後に米ソ両大国が果たした役割を思えば,こんなシーンは蛇足としか思えない.
独断と偏見と判りつつどうも釈然としない.
★★★☆(★5個が満点)
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コメント
コメントどうもでした。
言われて見れば自分の息子以外のゲリラ兵は思い切り殺されてましたね、気にならなかったのはなんででしょう?
感情移入しすぎてたのかな?
最後の白人が拍手で迎えてた、のは欧米諸国の中にも悪人もいれば善人もいるぞ、と訴えたかったんでしょうね
あるいは悔い改めたんだという主張かと思います
投稿: くまんちゅう | 2008/01/12 15:14