独断的映画感想文:眉山-びざん-
日記:2007年12月某日
映画「眉山-びざん-」を見る.
2007年.監督:犬童一心.
松嶋菜々子,大沢たかお,宮本信子,円城寺あや子,山田達夫,金子賢,夏八木勲.
旅行会社の中堅として多忙を極める河野咲子に,故郷徳島から母が入院したとの知らせが届く.急ぎ帰郷した咲子だが,母は相変わらずの勝ち気で病院スタッフをきりきり舞いさせていた.
咲子の父は亡くなったと聞かされていたが,実は妻子ある人でまだ健在ということが判る.病院の小児科医寺沢大介と親しくなる一方,母との葛藤に悩む咲子だったが….
さだまさし原作の家族関係再生ドラマ.
この前の「解夏」もそうだったが,さだまさしは感動させよう泣かせようという目的で映画に仕掛けをつぎ込んでくる.
「解夏」の場合はベーチェット病だったが今回は「献体」であった.
医学生育成のためには人々の知らない献体という制度があるのだ,献体は大変なことなのだ,と映画の後半で主張がなされているが,全く余計なことである.僕は仕事柄献体や医学部の献体に対する慰霊祭についてはいささか知っているが,この映画で描かれていることとは随分違うと思う.
映画自体は不倫をした母とその結果生まれた子の母子の葛藤,父との出会いという古めかしいテーマで描かれている.
全体としては出来は悪くない.クライマックスの父と母の邂逅のシーンでは涙を禁じ得なかった.山田辰夫と円城寺あやの演技には感動した.
しかし,宮本信子演じる母親の,ところ嫌わず啖呵を切りまくるキャラクターには我慢できないし,松嶋菜々子のキャラクターも浮いている.
クライマックスの阿波踊りの映像の処理や特に音響の処理には不満が残る.祭りの現場の音響は,もっと腹に響く興奮をかき立てる音響でなくっては.
それから敢えて言えば,こういう古典的な日本映画を見て満足したくない.映画はどんどん変わっていかなければ.こんな中途半端な「そこそこ」としか言いようのない映画を,日本の中堅監督はどうして撮るのだろう.
独断と偏見とは思いつつ腹が立って★☆(★5個が満点)
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