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2007/12/28

独断的映画感想文:パプリカ

日記:2007年12月某日
映画「パプリカ」を見る.Paprika6_1024
2006年.監督:今敏.音楽:平沢進.
筒井康隆原作のSFサイコサスペンス.
精神医療研究所に勤める千葉敦子は,同僚の時田浩作と共にサイコセラピー機器を開発している.一方彼女は,少女「パプリカ」に変身してその機器を使った夢治療も極秘に行っていた.3
ある日彼らが開発した未完成のサイコセラピー機器DCミニが盗まれる.それ以降精神医療研究所のスタッフが精神攻撃を受け発狂する事態が続き,理事長乾はサイコセラピー機器の開発使用を中断すると指示するが,事態はどんどん悪化していって….
何ともきれいなアニメである.僕はアニメはほとんど見ないが,この前の「鉄コン筋クリート」といい今回の「パプリカ」といい,実にきれいだ.日本のアニメ技術は本当に凄い.
致命的なのはアニメがきれいすぎて夢と現実の区別がつかないこと.
原作は夢・狂気・現実の三つどもえの混乱を描いているが,それら相互の関係は明確に識別されている.原作の最後の何でもありの大混乱に至るまでには,長く周到な助走が仕込まれているのだ.
アニメにあっては現実もきれい夢もきれい狂気もきれいというわけで,それら相互の緊張感がいささか感じられない.
パプリカは可愛く千葉敦子は美しいが,惜しいことである.4
但し音楽は素晴らしい.おもちゃ箱をひっくり返したような化け物が道をやってくる行進のシーンが繰り返されるが,このシーンは音楽の迫力によって実に魅力的なものになっている(いくつか音楽を欠いた同様のシーンもあるが,そこにはそれほど魅力は感じない).1
全体としては面白く見たが,やはり筒井作品の映画化には力足りず.
★★★☆(★5個が満点)
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» パプリカ/林原めぐみ、江守徹、堀勝之祐、古谷徹 [カノンな日々]
素敵ですッ、コノわけわかんなさ最高ぅ。日本ならではのお子ちゃま向けじゃないSFアニメですね。原作は筒井康隆さんの同名小説。未読でしたけど、筒井さんらしい発想だなぁと思えるストーリーをマッドハウスさんが見事にアニメーション化させましたね。こういうサイコ・サ....... [続きを読む]

受信: 2007/12/28 10:40

» 「パプリカ」 [元・副会長のCinema Days]
 筒井康隆の同名小説のアニメーション映画化版だが、今敏監督にしては、いささか雑な作りかと思う。何より脚本が十分練り上げられていない。他人の夢に入り込み共有化できるという機器“DCミニ”の悪用により、夢が現実を浸食してゆくというパニック現象を描くスリラー編だが、夢と現実を対峙する二大項目として扱っていないため、サスペンスが全然盛り上がらないのである。  シナリオはまず“夢とは何か。現実とは何か”という定義付けから始めるべきであった。それが無理なら、せめて“現実”の側をもっと丁寧に描きこんで“夢”と... [続きを読む]

受信: 2007/12/28 21:43

» 124.パプリカ [レザボアCATs]
そんなにアニメに詳しい私ではないのだけれども、この作品、『パプリカ』に関しては、頭の先からツメの先まで、完全に魅了されてしまいました。アニメと言っても、子供向けにターゲットを絞った明るいイメージの絵では全くなく。大人しか楽しめない、だけどどこか子供心に....... [続きを読む]

受信: 2007/12/30 16:41

» ★「パプリカ」、うーん、大人剥け(←言いえて妙)だっ!?★ [★☆カゴメのシネマ洞☆★ “Kagome's Cinema-Cave”]
「パプリカ」(2006) 日本 監督:今敏アニメーション制作:マッドハウスプロデューサー:丸田順悟 滝山雅夫企画:丸山正雄原作:筒井康隆 『パプリカ』脚本:水上清資 今敏撮影監督:加藤道哉美術監督:池信孝音楽:平沢進キャラクターデザイン:安藤雅司音響...... [続きを読む]

受信: 2008/01/03 21:52

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