独断的映画感想文:ミス・ポター
日記:2008年2月某日
映画「ミス・ポター」を見る.
2006年.監督:クリス・ヌーナン.
出演: レニー・ゼルウィガー(ビアトリクス・ポター),ユアン・マクレガー(ノーマン・ウォーン),エミリー・ワトソン(ミリー・ウォーン),ビル・パターソン(ルパート・ポター),バーバラ・フリン(ヘレン・ポター).
ピーター・ラビットの生みの親として有名なビアトリクス・ポターの半生記.
1902年のロンドン,32歳のポターは長年描きためてきたピーター・ラビットの物語を何とか出版したいと,原稿をウォーン商会に持ち込む.
幸い出版という話しになり,ウォーン兄弟の末弟ノーマンが編集担当者となり印刷の準備が始まる.
裕福な家庭に育った彼女は,湖水地方の別荘で出会った動物たちを主人公に絵本を描いてきた.家格にこだわり貴族との結婚を勧める母親に抗し独身を貫いてきた彼女だが,本が売れていくと共に自立の意識は強まり,ノーマンとの恋も芽生えてゆく….
1時間半の小品ながらメロドラマに陥ることもなく,センチメンタルに流れることもなく,ポターの半生を坦々と描いていくところが好ましい.
ポターが豊かな才能に恵まれていたばかりでなく,封建的な考えの未だ強い当時のイギリスで女流作家として立派に成功し,かつ大きな不幸を乗り越えてナショナル・トラスト運動の礎を築いたことまでが静かなタッチで描かれる.
レニ・ゼルウィガーの控えめながら芯の強いポターの演技は好きである.
また,テーマ曲の「When You Taught Me How To Dance」は素敵な曲で,劇中でユアン・マクレガーが歌詞を変えてポターと踊りながら歌う「Let Me Teach You How To Dance」の出来も良い.
湖水地方の景観は素晴らしく,それが実在のポターの残したものであることが印象に残る映画である.
★★★★(★5個が満点)
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