独断的映画感想文:街のあかり
日記:2008年3月某日
映画「街のあかり」を見る.
2006年.監督:アキ・カウリスマキ.
出演:ヤンネ・フーティアイネン(コイスティネン),マリア・ヤンヴェンヘルミ(ミルヤ),マリア・ヘイスカネン(アイラ),イルッカ・コイヴラ(リンドストロン),カティ・オウティネン(スーパーのレジ係).
カウリスマキ映画は初見である.
しがない警備員のコイスティネンは同僚からも疎外され上司はクビにするチャンスを狙っているような,目立たない青年.本人は警備員では終わらない,自分で警備会社を起業して成功してみせると思っている.
そのための起業の研修も受けているが,現実には声をかける女性にはそっぽを向かれ,銀行は企業資金の融資を拒絶,仕事帰りにソーセージ屋台の女アイラに自分の夢を語るだけの毎日である.
ある日その彼に近づいてきてデートを持ちかける美しい女ミルヤ,実は彼女はマフィアの女で犯罪目的で彼に近づいてきたのだが,コイスティネンはいっぺんに彼女への恋に落ちてしまう….
現実社会では負け犬でありながらそれを認めず肩肘張って生きているコイスティネン,無表情で無口,恋している時でさえミルヤに笑顔を向けることはない(映画中ただ一度屈託のない笑顔を見せるシーンがあり,その場面は印象的).
犬を救うエピソードにあるように,実際は正義感がありそれを実行する人物だが,その意志が通ることはない.
生活臭が無く人工的な感じの画面や,地味な中で一点だけ鮮やかな配色のある色彩感覚が,この物語の象徴性を印象づけるようだ.
犯罪に巻き込まれ更に苦境に立たされていくコイスティネンだが,その彼の希望は映画の最後に微かに示される.
「敗者3部作」と言われるその掉尾を飾る映画.★★★☆(★5個が満点)
人気ブログランキングへ
固定リンク
| コメント (3)
| トラックバック (2)
最近のコメント