独断的映画感想文:さらば、ベルリン
日記:2008年3月某日
映画「さらばベルリン」を見る.
2006年.監督:スティーブン・ソダーバーグ.
出演:ジョージ・クルーニー(ジェイク・ゲイスメール),ケイト・ブランシェット(レーナ・ブラント), トビー・マグワイア(タリー).
1945年,アメリカ人記者ジェイクは,ヨーロッパの戦後処理と唯一戦闘を続ける日本への対処を話し合うポツダム会談取材のため,終戦直後のベルリンに着任する.
米軍兵士のタリーが運転手を務めることになったが,彼の恋人レーナは,ジェイクが戦前にベルリンに駐在した時の恋人だった….
ここからスタートするベルリン占領各国の謀略とその中で国外脱出を模索するレーナたちの姿を描くサスペンス.
この映画の特徴の一つはモノクロスタンダードの画面であろう.当時の実写フィルムと違和感なく画面を繋げていくその技術は,なかなかの効果をもたらしている.50年代風の演出や「カサブランカ」を意識したラストシーンも印象的.
そういう映画作りの意図はわかるのだが,作品としては失敗作.
まず筋が判らない.
後に冷戦構造につながる各国の謀略や,旧ナチ政権への協力を隠して脱出をはかろうとする勢力等が入り乱れて,複雑なプロットになっているらしいのだが,それがさっぱり理解できない.
皆軍服を着ているし(記者のジェイクまで軍服姿だ),人の名前は分かり難いし,開始30分ほどで映画に完全に置いて行かれてしまった.小説なら登場人物が判らなくなれば確かめようもあるが,映画で判らなくなるとお手上げである.
俳優陣はジョージ・クルーニー,ケイト・ブランシェットともいつもの魅力なし.トビー・マグワイアはすぐに姿を消してしまう.
地味なサスペンスをじっくり見たい記憶力に自信のある方ならともかく,僕にはこの映画はお勧めできない.
★(★5個が満点)
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