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2008年4月に作成された記事

2008/04/29

独断的映画感想文:スパイダーマン3

日記:2008年4月某日
映画「スパイダーマン3」を見る.34
2007年.監督:サム・ライミ.
出演: トビー・マグワイア(ピーター・パーカー/スパイダーマン),キルステン・ダンスト(メリー・ジェーン・ワトソン(MJ)),ジェームズ・フランコ(ハリー・オズボーン),トーマス・ヘイデン・チャーチ(フリント・マルコ/サンドマン),トファー・グレイス(エディ・ブロック/ヴェノム),ブライス・ダラス・ハワード(グウェン・ステイシー),ジェームズ・クロムウェル(ジョージ・ステイシー),ローズマリー・ハリス(メイ・パーカー),J・K・シモンズ(J・ジョナ・ジェイムソン),ビル・ナン(ロビー・ロバートソン),エリザベス・バンクス(ミス・ブラント).
人気シリーズの第3弾.
街ではスパイダーマンがすっかり人気者になって大学生活もうまくいき調子に乗っているピーター.一方MJはステージデビューするが,舞台を酷評されあっという間に降板となる.
それを知らないままピーターはMJにプロポーズを試みるが,当然気持ちは行き違い見事に振られてしまう.33
一方隕石から地上に降りた謎の宇宙生命がピーターにとりつき,スパイダーマンの服を黒く染めてしまう.その服で活動してその快適さに驚くピーターだが,心に傲慢さと復讐心が宿るのだった.
一方ピーターの叔父を殺した犯人一味のフリントは脱獄,素粒子研究所に迷い込んで事故に遭いサンドマンと化して強盗に明け暮れる.
一方ピーターの同僚カメラマン・エディは,スパイダーマンを撮った写真が偽作であることを暴露され,ピーターに復讐心を抱いて宇宙生命にとりつかれ,ヴェノムとなってスパイダーマンを襲う.
一方旧友ハリーはピーターを襲ったときのけがで記憶を喪失,ピーターへの復讐心を忘れるがそのうち思い出してピーターを襲い,返り討ちにあったところで父の死の真相を聞かされピーターの支援に乗り出し….
というわけで化け物と正義の味方が入り乱れて戦うクライマックス,いささか疲れた.39
善玉の時のピーターは調子こいていることもあるが,やに下がったいやな奴である.
宇宙生命にとりつかれ悪玉になったピーターの方が眼光鋭く遙かに魅力的.映画を見ているとピーターが善でなければならない必然性というのはよく分からなくなる.
筋もごちゃごちゃしすぎだし,MJはずっと不機嫌だし,これが三部作の完結編なのだろうか.
当初わくわくしたビル街を飛ぶあの爽快感も,少々マンネリとなってしまった.
★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:世界最速のインディアン

日記:2008年4月某日
映画「世界最速のインディアン」を見る.1_3
2005年.監督:ロジャー・ドナルドソン.
出演:アンソニー・ホプキンス(バート・マンロー),クリス・ローフォード(ジム・モファット),アーロン・マーフィ(トム),クリス・ウィリアムズ(ティナ・ワシントン),ダイアン・ラッド(エイダ),パトリック・フリューガー(ラスティ),ポール・ロドリゲス(フェルナンド),アニー・ホイットル(フラン).
ニュージーランドの片田舎インバカーギルで年金暮らしのバートは,1920年製のバイク・インディアンを改良してスピード記録に挑戦している.
彼の25年来の夢は,自分のバイクをアメリカ・ボンヌビルの塩平原でのスピード大会で世界記録に挑戦させること.爆音と身の回りを構わない生活で隣人には迷惑なバートだが,それでも皆の温かい支援でボンヌビルに向けて出発する….3_3
何とも痛快な人物の物語である(実話に基づいている).
インバカーギルでの地元のバイカーたちとのレースを始め,ボンヌビルへの道のロード・ムービー,最後の出場権を巡るいざこざ等,物語の展開ははらはらどきどき,しかしバートは何故か幾多の試練をいつの間にか乗り切って世界記録目指しての挑戦に突き進む.
このときバートは63歳だったらしいが,インバカーギルでもボンヌビルへの途上でも,ちゃんとガールフレンドを見つけ懇ろになっているという,そっちの方も豪快な活躍.しょぼくれたときにこの映画を見れば,元気出ること請け合いです.2_3
ほかに,モーテルで出てくるオカマの兄ちゃんを始め出てくる人はいい人ばかし,税関の役人や警官,大会の役員も皆融通が利く.おっとりした古き良きアメリカも併せて楽しめる.
見て損はなし.★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文::幸せのレシピ

日記:2008年4月某日
映画「幸せのレシピ」を見る.2_2
2007年.監督:スコット・ヒックス.
出演:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(ケイト・アームストロング),アーロン・エッカート(ニック・パーマー),アビゲイル・ブレスリン(ゾーイ),パトリシア・クラークソン(ポーラ),ボブ・バラバン(セラピスト).
ニュー・ヨークの高級レストランで厨房を任されている料理長のケイト.妥協を知らぬ仕事ぶりで部下をしごき,時には客とも喧嘩する.
ある日たった一人の肉親である姉が娘のゾーイと共にやってくる途中,交通事故で命を落とす.姉は未婚の母,ケイトは失意のゾーイを引き取って暮らし始めた.
忌明けで厨房に戻るとオーナーは新しい料理人ニックを雇い入れていた.腕はよいがケイトとは全くタイプの違うイタリア料理専門.3_2
ケイトはゾーイとの暮らしとニックとの仕事にとまどうが,やがてゾーイとニックが仲良しになる….
という筋としてはベタなラブストーリーだがキャサリン・ ゼタ=ジョーンズは好きだし,何より「リトル・ミス・サンシャイン」での魅力が忘れられないアビゲイル・ブレスリンがちょっと大人っぽくなってこれが素晴らしい.
アーロン・エッカートって「ブラック・ダリア」で見ていたのか.すっかり忘れていたけど,ゼタ=ジョーンズとのミスマッチが面白い.1_2
ケイトの最後の啖呵とエピローグもすっきりして,後味も良い.
見て損はなし.★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:デジャヴ

日記:2008年4月某日
映画「デジャヴ」を見る.3
2006年.監督:トニー・スコット.
出演:デンゼル・ワシントン(ATF捜査官ダグ・カーリン),ポーラ・パットン(クレア・クチヴァー), ヴァル・キルマー(FBI捜査官プライズワーラ),ジム・カヴィーゼル(キャロル・オースタッド),アダム・ゴールドバーグ(Dr.アレクサンダー・デニー),エルデン・ヘンソン(ガナース),エリカ・アレクサンダー(シャンティ).
マルディグラの祭日,ハリケーン「カトリーナ」の傷跡癒えぬニュー・オーリンズのフェリー乗り場.折しも空母ニミッツの水兵とその家族を満載したフェリーが岸を離れる.
楽隊に送られ祝日を楽しむ人々,しかしその直後仕掛けられた爆発物でフェリーは炎上,500人の死者を出す大惨事となった.
ATF捜査官ダグはその優れた識見を買われ,FBIへの協力を求められる.
FBIは最新鋭の機器を所有しており,それは4日半前のニューオーリンズ周辺をモニターできる監視装置だった.ダグは事件の直前に遺体が発見された女性,クレアの行動を追って事件の核心に迫るのだが….
テンポ良く描かれたミステリで,デンゼル・ワシントンの出来も良い.映像的にも冒頭の爆発シーンはなかなか見事.見て損はない映画.1
ただ,この映画のタイム・パラドックス処理が僕は多少気になる.
これから先はネタばらしで,かつ全くもう独断的偏見の世界だが,要するにタイムマシンのおかげで死ぬはずのあるいは一度死んだ(?)人間が生きてハッピーエンドを迎えるって話しなのだ.2
これって死んだ主人公とは別人がハッピーエンドを迎えるってことになるのではないか?
何か変だという違和感が残ったのでした.
でも面白かった.★★★☆(★5個が満点)
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2008/04/15

独断的映画感想文:オール・ザ・キングスメン

日記:2008年4月某日
映画「オール・ザ・キングスメン」を見る.2
2006年.監督:スティーヴン・ザイリアン.
出演:ショーン・ペン (ウィリー・スターク),ジュード・ロウ(ジャック・バーデン),アンソニー・ホプキンス(アーウィン判事),ケイト・ウィンスレット(アン・スタントン),マーク・ラファロ(アダム・スタントン),パトリシア・クラークソン(セイディ・バーク),ジェームズ・ガンドルフィーニ(タイニー・ダフィ).
1949年,ルイジアナ州.郡の出納官を勤める実直な男ウィリー・スタックは,小学校建設に絡む汚職を告発して首になる.
クロニクル誌の記者ジャックは上流階級の出だが,ウィリーに興味を持って彼と知り合いになる.やがてその小学校で建物の欠陥から事故が起こり3人の児童が死んだ.ウィリーは一躍時の人となる.
州の役人タイニーはウィリーに州知事選への出馬を勧め,ウィリーもその気になって選挙運動を始めるが,タイニーの勧めは有力対抗馬の票を分散させるための本命候補の策略だった.
そのことに気付いたウィリーは,ある日タイニーから受け取った演説原稿を破り捨て,自分の怒りを直接貧しい選挙民に訴え始める.1
やがて投票の日,ウィリーは圧倒的な支持で知事の座に着く.ウィリーの記事を書き続けて首になったジャックは,請われて彼の側近になったが….
汚職追放を叫んで知事に当選した男が腐敗と汚職にまみれていく姿を,側近のジャックの目を通して描いた社会派ドラマ.
この映画の特徴は,その社会派ドラマをウィリーとジャックという二人を対比して描いていることだ.
ウィリーは貧しい出身でジャックは富裕層の出身,幼なじみのアダムスとアンの兄妹の父は元のルイジアナ州知事だ.ジャックを可愛がってくれた叔父アーウィンは清廉潔白の誉れ高い判事.4
ウィリーとジャックの関わり合いの中でこれらの人々が直面する運命は,貧富の格差の中でスケールの大きいドラマを構成している.
原作「すべて王の民」は,実在の政治家をモデルにしたらしい.
見て損はない映画.★★★★(★5個が満点)
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2008/04/13

独断的映画感想文:ボーン・アルティメイタム

日記:2008年4月某日
映画「ボーン・アルティメイタム」を見る.001
2007年.監督:ポール・グリーングラス.
出演:マット・デイモン(ジェイソン・ボーン),ジュリア・スタイルズ(ニッキー・パーソンズ),デヴィッド・ストラザーン(ノア・ヴォーゼン),スコット・グレン(エズラ・クレイマー),パディ・コンシダイン(サイモン・ロス),エドガー・ラミレス(パズ),ジョーイ・アンサー(デッシュ),コリン・スティントン(ニール・ダニエルズ),アルバート・フィニー(アルバート・ハーシュ),ジョーン・アレン(パメラ・ランディ).
この三部作の掉尾を飾る作品.
冒頭,キエフの作戦現場(前作の最後)から傷ついたまま逃亡するジェイソンの苦闘を描いた後のCIA本部,局長がジェイソンの抹殺を指令する.005
一方ロンドンのCIA支部はアメリカの盗聴システム・エシュロンによる「ブラック・ブライアー」というキーワードの検出に成功,ガーディアンの記者ロスの非合法な抹殺作戦を開始する.
そのロスの記事を読んだジェイソンはロスに接触するが,彼の努力もむなしくロスはCIAに射殺される.
ジェイソンの記憶障害と関連する「ブラック・ブライアー」作戦の全貌を追って,ジェイソンはマドリード,タンジールへと飛び,更に最後の決着のためN.Y.に帰ってくる….
この作品は過去の2作品の内容を多少なりとも覚えているとより面白いのだが,まあ何も知らなくても結構楽しめるはず.013
とにかくこの作品の魅力は,息つく暇もない物語の展開と圧倒的なアクションの連続,これにつきる.手持ちカメラのぶれの激しい画面も,ここまでスピーディーに続くとそのリズムがかえって心地よい.画面の激しい変化のわりには物語はそれほど複雑ではなく,分かり易い.
このシリーズのマット・デイモンは好きである.素晴らしい体の動きによるアクションシーンはもとより,記憶が甦るにつれてのその表情の変化も魅力的.
見て損は無し.★★★★(★5個が満点)
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2008/04/09

独断的映画感想文:間宮兄弟

日記:2008年4月某日
映画「間宮兄弟」を見る.4
2006年.監督:森田芳光.
出演:佐々木蔵之介(間宮明信(兄)),塚地武雅(間宮徹信(弟)),常盤貴子(葛原依子),沢尻エリカ(本間直美(姉)),北川景子(本間夕美(妹)),戸田菜穂(大垣さおり),岩崎ひろみ(安西美代子),佐藤隆太(浩太),横田鉄平(玉木),佐藤恒治(中華料理店のおじちゃん),桂憲一(犬上先生),広田レオナ(薬屋のおばちゃん),加藤治子(お婆ちゃん),鈴木拓(ビデオショップの男),高嶋政宏(大垣賢太),中島みゆき(間宮順子).
映画の冒頭,黄昏の陸橋から新幹線の操車場を見る間宮兄弟.
二人はマンションで同居する兄弟二人,兄はビール会社の商品開発研究員,弟は小学校の校務員.二人は多彩な趣味を持ち仲良く暮らす30男たち.
ある日二人はカレーパーティーを開くことにする.弟は職場の美人先生を誘い,兄は行きつけのビデオショップのバイトの女子大生を誘う.1
うまく誘いに応じてくれた二人,カレーパーティーは成功し兄弟は恋の予感に胸をときめかせるのだった….
という一種のラブコメだが,この間宮兄弟のスタンスというものが甚だ心地よい.
兄は誠実で明るく人当たりが良く面倒見がよい.弟は身の回りのことでできないことはなく,ムキになることはあるがデブの割にフットワークの良い好青年.ただし二人とも女心の機微には全く疎い.
この二人は女性の心と向き合って傷ついたりもがき苦しんだりということは,基本的に無い様だ.2
それを前提として言うのだが,こういう自己中・仲良し2人組の気まま生活って,めちゃくちゃ楽しそうだよね.
そういう緩い気楽なある種の癒し系映画,気楽に見るのが一番である.
★★★(★5個が満点)
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2008/04/05

独断的映画感想文:TOKKO -特攻-

日記:2008年4月某日
映画「TOKKO -特攻-」を見る.Tokko1
2007年.監督:リサ・モリモト.
日系2世のリサ・モリモト監督が,自分の祖父が特攻隊員だったことを知って製作を意図した特攻隊員のドキュメント映画.
特攻隊の生き残り4名への長いインタビューと,特攻機に撃沈された駆逐艦ドレックスラーの生存米兵の証言,戦闘場面や日本軍の将校の発言,焦土と化した日本の映像を駆使して戦争の状況と特攻隊の実態を描く.
出撃の決まった時撮った自分の写真には「死相」が出ているという特攻隊員の証言,特攻に指名されるということは死刑判決を喰らったようなものという証言,皆死にたくなかったがどうせ皆いずれ死ぬのに俺は死にたくないとは誰も言い出せなかったという証言,当初特攻にパイロットの誰からも志願が出なかったので軍官僚が最も優秀なパイロットに特攻を命じたという話,いずれも極めて印象的である.Tokko2
日本人にとっては特に珍しくない内容や映像だが,それが日系2世監督の手で編集されるとこのような印象の作品になるのか.
この試み自体は成功だと思う.
もと米兵達が,俺たちだって誤った情報を与えられる可能性はある,俺たちも追い詰められれば特攻をやるものが出たかも知れない,と言いあうのは,慰めと共にその精神の健全さを感じた.
この映画が,感傷的な美化と狂信者扱いとのあいだに特攻を冷静に見る一つのスタンスを,作るきっかけになるかも知れない.Tokko3
★★★★(★5個が満点)
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2008/04/02

独断的映画感想文:しゃべれどもしゃべれども

日記:2008年3月某日
映画「しゃべれどもしゃべれども」を見る.
2007年.監督:平山秀幸.
出演: 国分太一(今昔亭三つ葉(外山達也)),香里奈(十河五月),森永悠希(村林優),松重豊(湯河原太一),八千草薫(外山春子),伊東四朗(今昔亭小三文),山本浩司(柏家ちまき).
うだつの上がらない二つ目の落語家今昔亭三つ葉.古典一本槍で修行するまじめな堅物だが,落語の腕はなかなか上がらない.2
ある日師匠がカルチャーセンターで話し方教室を開いたのにお供をし,居合わせた十河五月と知り合いになる.
一方自宅では,引っ越してきてクラスになじめずにいる大阪弁の少年村林優にしゃべり方を教える様依頼され,これに十河五月,飛び込みで加入した口下手な野球解説者湯河原太一の3人を生徒に,三つ葉は話し方教室を開くことになる….
話の展開は面白い.先生も生徒も四苦八苦しながら何とか話し方教室を重ねて最後の発表会に至る,そのドラマの運びはなかなかのものである.
下町情緒たっぷりの映像も好ましい.脇を固める伊東四朗,八千草薫の演技は見応えあり.
特筆すべきは大阪弁の少年役の森永悠希,ことに彼の演ずる桂枝雀版「まんじゅう怖い」は一見の価値があった.
周りが良すぎたせいか,主演の国分太一・香里奈の演技は善戦しながらももう一息.特に最後のロマンチックなシーンは,もう少し何とかして欲しかった.1
映画自体は肩の凝らない楽しめる映画である.落語が好きな方はお勧め.
★★★(★5個が満点)
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2008/04/01

独断的映画感想文:こわれゆく世界の中で

日記:2008年3月某日
映画「こわれゆく世界の中で」を見る.4
2006年.監督:アンソニー・ミンゲラ.
出演:ジュード・ロウ(ウィル),ジュリエット・ビノシュ(アミラ),ロビン・ライト・ペン(リヴ),マーティン・フリーマン(サンディ),レイ・ウィンストン(ブルーノ刑事),ヴェラ・ファーミガ(オアーナ),ラフィ・ガヴロン(ミロ(ミルサド)),ポピー・ロジャース (ビー).
ロンドンの街を走る車,ウィルとリヴは下町のキングス・クロスにこの地区を再開発するプロジェクトのオフィスを開設するところだ.5
一方同じ街に住むミロは,叔父の窃盗のプロの指示でこのオフィスの天窓から忍び込み,新設オフィスのコンピュータを盗み出す.
窃盗は繰り返され,ウィルは夜間オフィスを見張りついにミロを発見,その後を追って母親のアミラを知るに至る.
ウィルの妻リヴは映像作家,連れ子のビーはエキセントリックな育て難い子で,夫婦は愛し合っているにもかかわらずその暮らしは緊張感に満ちたぎくしゃくしたもの.ウィルは洋服の仕立てを依頼するという口実でアミラの許を訪れ,やがてアミラに心惹かれていく….3
この映画,題名と予告編の思わせぶりな表現で,てっきりストーカー映画か不条理劇だと思っていた.実は二つの家族の再生を描くヒューマンドラマ.リヴとビー,アミラとミロという2組の必ずしもうまくいっていない親子と,そのそれぞれとの葛藤を持つウィルの行く末を描いて,なかなかに見応えがある.
この映画,サイドストーリーも面白く,共同経営者サンディと掃除婦エリーとの関係や,野趣あふれるご町内の娼婦オアーナとウィルとのつきあいにもご注目いただきたい.
映像も美しく,いかにも映画らしい映画.1
ところで,主演のジュード・ロウは,見れば見るほど渡辺謙に似ている.終いには目つきやしゃべり方まで似ている様に思えてくる.そう思った方はいないだろうか?
後記:うかつにも気がつかなかったが,監督のアンソニー・ミンゲラがなんとこのDVDを借りた前日に急逝していたのだった.この作品が,彼の関与した作品のうち「イングリッシュ・ペイシェント」「ヘヴン」「コールドマウンテン」「ザ・インタープリター」に次ぐ5作目だったが,振り返ればどれもすてきな映画である.
54歳の死は,誠に残念としかいいようがない.
★★★★(★5こが満点)
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