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2008/04/01

独断的映画感想文:こわれゆく世界の中で

日記:2008年3月某日
映画「こわれゆく世界の中で」を見る.4
2006年.監督:アンソニー・ミンゲラ.
出演:ジュード・ロウ(ウィル),ジュリエット・ビノシュ(アミラ),ロビン・ライト・ペン(リヴ),マーティン・フリーマン(サンディ),レイ・ウィンストン(ブルーノ刑事),ヴェラ・ファーミガ(オアーナ),ラフィ・ガヴロン(ミロ(ミルサド)),ポピー・ロジャース (ビー).
ロンドンの街を走る車,ウィルとリヴは下町のキングス・クロスにこの地区を再開発するプロジェクトのオフィスを開設するところだ.5
一方同じ街に住むミロは,叔父の窃盗のプロの指示でこのオフィスの天窓から忍び込み,新設オフィスのコンピュータを盗み出す.
窃盗は繰り返され,ウィルは夜間オフィスを見張りついにミロを発見,その後を追って母親のアミラを知るに至る.
ウィルの妻リヴは映像作家,連れ子のビーはエキセントリックな育て難い子で,夫婦は愛し合っているにもかかわらずその暮らしは緊張感に満ちたぎくしゃくしたもの.ウィルは洋服の仕立てを依頼するという口実でアミラの許を訪れ,やがてアミラに心惹かれていく….3
この映画,題名と予告編の思わせぶりな表現で,てっきりストーカー映画か不条理劇だと思っていた.実は二つの家族の再生を描くヒューマンドラマ.リヴとビー,アミラとミロという2組の必ずしもうまくいっていない親子と,そのそれぞれとの葛藤を持つウィルの行く末を描いて,なかなかに見応えがある.
この映画,サイドストーリーも面白く,共同経営者サンディと掃除婦エリーとの関係や,野趣あふれるご町内の娼婦オアーナとウィルとのつきあいにもご注目いただきたい.
映像も美しく,いかにも映画らしい映画.1
ところで,主演のジュード・ロウは,見れば見るほど渡辺謙に似ている.終いには目つきやしゃべり方まで似ている様に思えてくる.そう思った方はいないだろうか?
後記:うかつにも気がつかなかったが,監督のアンソニー・ミンゲラがなんとこのDVDを借りた前日に急逝していたのだった.この作品が,彼の関与した作品のうち「イングリッシュ・ペイシェント」「ヘヴン」「コールドマウンテン」「ザ・インタープリター」に次ぐ5作目だったが,振り返ればどれもすてきな映画である.
54歳の死は,誠に残念としかいいようがない.
★★★★(★5こが満点)
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コメント

TBありがとう。
ミンゲラ監督は、若くして、イギリスの映画協会の会長をしていました。惜しまれる死ですね。

投稿: kimion20002000 | 2008/04/03 02:50

こんにちは~♪

とにかくミンゲラさんの映像センスが大好きでした。

彼の作品は私にとって宝物ものです。

>渡辺謙

ほんやら堂さんの似ているニュアンス・・・私、わかる気がします。^^

投稿: viva jiji | 2008/05/02 07:58

viva jiji様いらっしゃいませ.

>>渡辺謙

>ほんやら堂さんの似ているニュアンス・・・私、わかる気がします。^^

でしょう?
僕は若気の過ちによる知られざる従兄弟ではないかと邪推しているのですが.

ミンゲラ監督の作品は今後も探して見ていこうと思います.まずは未見の「リプリー」か.

投稿: ほんやら堂 | 2008/05/02 22:31

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129「こわれゆく世界の中で」(イギリス)  ロンドン、キングス・クロス再開発地区。そのプロジェクトを担う建築家ウィルは、恋人リヴとその13歳の娘ビーと共に暮らしている。しかし、リヴは心に病を持つ娘への罪悪感から、心のどこかでウィルを拒んでいた。愛し合っているはずが、心が触れ合えない。  そんな中、オフィスで窃盗事件が起きる。犯人の少年を追いかけてその身辺を探るウィルが出逢ったのが、息子を連れてボスニアの戦火を逃れてきた未亡人アミラだった。彼女と言葉を交わすうち、アミラに惹かれていくウ...... [続きを読む]

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受信: 2008/04/03 02:46

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