独断的映画感想文:TOKKO -特攻-
日記:2008年4月某日
映画「TOKKO -特攻-」を見る.
2007年.監督:リサ・モリモト.
日系2世のリサ・モリモト監督が,自分の祖父が特攻隊員だったことを知って製作を意図した特攻隊員のドキュメント映画.
特攻隊の生き残り4名への長いインタビューと,特攻機に撃沈された駆逐艦ドレックスラーの生存米兵の証言,戦闘場面や日本軍の将校の発言,焦土と化した日本の映像を駆使して戦争の状況と特攻隊の実態を描く.
出撃の決まった時撮った自分の写真には「死相」が出ているという特攻隊員の証言,特攻に指名されるということは死刑判決を喰らったようなものという証言,皆死にたくなかったがどうせ皆いずれ死ぬのに俺は死にたくないとは誰も言い出せなかったという証言,当初特攻にパイロットの誰からも志願が出なかったので軍官僚が最も優秀なパイロットに特攻を命じたという話,いずれも極めて印象的である.
日本人にとっては特に珍しくない内容や映像だが,それが日系2世監督の手で編集されるとこのような印象の作品になるのか.
この試み自体は成功だと思う.
もと米兵達が,俺たちだって誤った情報を与えられる可能性はある,俺たちも追い詰められれば特攻をやるものが出たかも知れない,と言いあうのは,慰めと共にその精神の健全さを感じた.
この映画が,感傷的な美化と狂信者扱いとのあいだに特攻を冷静に見る一つのスタンスを,作るきっかけになるかも知れない.
★★★★(★5個が満点)
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