独断的映画感想文:4分間のピアニスト
日記:2008年6月某日
映画「4分間のピアニスト」を見る.
2006年.監督:クリス・クラウス.
出演:モニカ・ブライブトロイ(トラウデ・クリューガー),ハンナー・ヘルツシュプルング(ジェニー・フォン・レーベン),スヴェン・ピッピッヒ(ミュッツェ),リッキー・ミューラー(コワルスキー).
冒頭,刑務所の全景に続き,房室で首つりをしている女囚が映る.
その横で寝ているジェニーが目覚め,死体を見るが特に驚くこともなく,やがて死体のポケットから取り出したタバコをくゆらす.
クリューガーは80歳の名ピアニスト,長年この刑務所でピアノ教師を務めてきたが,収監者の中にジェニーを見いだしその才能に期待をかける.
ジェニーはピアノには天才的な腕を持つが心の荒みきった殺人犯,誇り高く厳格な教師クリューガーとは事ごとに対立する.
クリューガーは,以前この刑務所がナチスの収容所だった時代に看護婦として勤めた経験があり,その時期に誰にも言えぬ辛い経験をしている.
一方物語の進展と共にジェニーの生い立ちも明らかになってくる.ジェニーをコンクールに出場させようとがんばるクリューガー,しかしジェニーの暴力性は止まらず,それに反発する同房の囚人や看守の圧迫は激しくなる一方.
署長はジェニーのコンクール出場を禁じ,クリューガーが寄付したピアノも撤去されることになった.この苦境を二人は,どう切り抜けるのか….
ジェニーとクリューガーの設定がよく考えられていて,その二人の織りなすドラマに引き込まれる.
もとより映画中で演奏されるピアノ曲には心打たれるが,特に最後のコンテストでのジェニーの演奏は,良い意味で予想を覆される内容だった.
いろいろ説明不足と思うところもあるが,ラストシーンの迫力はすべてを納得させる力を持つ.ジェニー役のハンナー・ヘルツシュプルングのとんがった演技と眼力は一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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