独断的映画感想文:GONIN
日記:2008年7月某日
映画「GONIN」を見る.
1995年.監督:石井隆.
出演:本木雅弘(三屋純),ビートたけし(京谷一郎),佐藤浩市(万代樹木彦),竹中直人(萩原昌平),根津甚八(米頭要),椎名桔平(ジミー),永島敏行(大越康正),鶴見辰吾(久松茂),木村一八(柴田一馬),室田日出男(式根),横山めぐみ(ナミィ),永島暎子(早紀),川上麻衣子(「ピンキー」のホステス),岩松了(バッティング・センターのトイレの男).
ネタバレあります,注意!!
冒頭,佐藤浩市の見る悪夢.
本木が女と踊りまくるディスコのシーン,続いて雨の路地で男を暴行する本木,佐藤が近づくと飛び出しナイフを片手に振り返るその顔は,ルージュを塗ったゲイの顔だ.
夢から覚め出かける佐藤,バッティングセンターでトラブルとなり殴り倒した男竹中を自分の経営するディスコに案内すると,店には借金の取り立てにやくざが来ている.彼のディスコはやくざに借金を抑えられ,のっぴきならない状況になっているのだ.
店には本木が来ていた.竹中と本木がやくざとトラブルとなり,佐藤は本木を自宅に連れて帰る.
佐藤には計画があった.佐藤をしゃぶりにかかっているヤクザの金庫をその集金日を狙って襲い,現金を強奪するのだ.
ある日ぼったくりバーで用心棒に叩きのめされた佐藤は,その用心棒がかって彼の店に踏み込んできた刑事であることを知る.
その刑事根津と竹中,本木,それにヤクザのちんぴらでパンチドランカーの椎名を抱き込み,5人はある夜ヤクザの事務所を襲う.襲撃はまんまと成功し,現金を手にした5人はそれぞれの道をたどるが,ヤクザは二人の殺し屋,北野と木村を雇い,椎名とその恋人を拉致して口を割らせ,残る4人を狩りたてにかかる….
登場人物のほとんどが死んでしまう徹底したヴァイオレンス・アクション.しかしキャスティングが良く,一人一人の人物に魅力がある.
カメラワークも実に素晴らしく,佐藤と本木が二人白いスーツ姿で祝杯を挙げるシーンの美しさ,佐藤を殺された本木が雨中ヤクザの事務所を襲撃するシーンの望遠ショット等,絵になるシーンの連続に心が奪われる.
俳優達のアクションも素敵.椎名が4人のヤクザを一瞬で殴り倒す目にも止まらぬ動き,根津が背後から襲撃され車のボンネットを転がって反対側に落ち,次の瞬間茂みに身を躍らせて姿を消すその身のこなし等,目を奪われる.
リストラされてぶち切れた男と見える竹中の,身の毛もよだつサイドストーリーも印象的.
最も魅力的なのはやはり本木雅弘だろう.冒頭の息をのむほど美しいゲイの姿,その後佐藤とつるんで動くときのやんちゃぶり,佐藤を失い単身ヤクザを襲うときの冷たい横顔,そして映画の最後で佐藤の遺骨を抱き,白いシャツに折り目正しいスーツ姿で北野を迎えるときの少年の様な美しさ.
この監督と俳優達の代表的アクション映画として,一見の価値あり.
★★★★☆(★5個が満点)
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