独断的映画感想文:見知らぬ女からの手紙
日記:2008年7月某日
映画「見知らぬ女からの手紙」を見る.
2004年.監督:シュー・ジンレイ.
出演:シュー・ジンレイ, チアン・ウェン.
1948年暮れ,北京に住むある作家の許に見知らぬ女からの手紙が届く.
「昨日息子が死にました」と書き始めたその手紙は,「この手紙が着く頃には私もこの世にはいない」と続く.
話は1930年にさかのぼる.北京に暮らす少女,その少女の住む同じ街区の大きな家に作家が引っ越してきた.
運び込まれる立派な家具調度,大量の外国の書籍,しかも越してきたのはオートバイを駆る若い男性だ.共通に使う門でその作家とすれ違う.作家は「Sorry」と微笑んだ.
「その瞬間に私はあなたに恋をした」と手紙はつづる.
作家の布団を干す大家の手伝いをしてその家に入った少女,陶器の西洋人形,ダブルベッドを見てその生活を想像する.少女は男を慕い,空想の恋に幸せな日々を送る.
ところが少女は突然山東に引っ越すことになった.最後の晩,ひと目作家に会いたいと夜そのドアをノックする少女.しかし作家は不在で,彼をものかげで待った少女は,夜遅くなって女連れで戻ってくる作家を見ることになる….
6年後,彼女は北京の師範学校に合格して再び北京に住むことになった.
幾たびか道で作家とすれ違うが,ある日抗日デモに参加した彼女は警官隊に追われ作家に救われる.その夜,思い出の家に誘われ一夜を共にする彼女.
しかしその幸せもつかの間,作家は「必ず連絡する」と言い置いて取材旅行に出かけ,そのまま連絡はなかった.妊娠に気付いた彼女は出産のために北京を後にする….
原作はユダヤ人の作家シュテファン・ツヴァイク,その戦前のウィーンを舞台にした小説を,監督は戦中戦後の北京を舞台に翻案した.
この映画はなんと言っても映像が美しい.特に夜の胡同の光と影の描き方は誠に印象的.
また,このいい加減な作家をひたすら恋する女を演じるシュー・ジンレイと,その少女時代を演じる俳優(名前は読み取れず)が非常に美しく魅力的.
これらの魅力に惹かれ,手紙を読む主人公の声に導かれ,一気に最後まで見てしまう.
映画らしい映画,一見の価値あり.★★★★(★5個が満点)
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