独断的映画感想文:潜水服は蝶の夢を見る
日記:2008年7月某日
映画「潜水服は蝶の夢を見る」を見る.
2007年.監督:ジュリアン・シュナーベル.
出演:マチュー・アマルリック(ジャン=ドミニク・ボビー),エマニュエル・セニエ(セリーヌ・デスムーラン),マリ=ジョゼ・クローズ(アンリエット・デュラン),アンヌ・コンシニ(クロード),パトリック・シェネ(ルパージュ医師),マックス・フォン・シドー(パピノ).
映画の冒頭,制限された視界,ぼやけた焦点.
病院らしき部屋の中,スタッフがうごめいている.
やがて医師が現れ自己紹介した上で,主人公に重大なことを告げる.主人公ジャン=ドミニクは重篤な脳梗塞で“ロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)”になってしまったというのである.
彼の自由になるのは左目のみ,動かない右目は水晶体が乾いてしまうので,まぶたを縫いつけられてしまう.
パニックから落ち着くと,言語療法士アンリエットが左目の瞬きを用いたコミュニケーション法を彼に教えてくれる.
使用頻度順に読み上げられるアルファベットを用い,ジャン=ドミニクは言葉を,文章を表現できるようになる.
やがて記憶も蘇り,妻と3人の子供達の看病を受けながら,彼は自分の伝記を書こうと決意する….
この映画はいわゆる難病ものとはいささか趣を異にする映画だ.また「海を飛ぶ夢」とも似て非なる映画である.
主人公は全身麻痺だが意識は鮮明,重病人だが精神は健康,今は左目しか動かないがELLEの編集長として大金を稼ぎ愛人もいた身の上だ.
今は家族が回りで看病してくれるが,病床には愛人からの電話もかかってくる.何より主人公はこの不自由な体で人生に前向きであり,人生を楽しんでさえいるかのようだ.
主人公の目線を忠実に再現し,更にその明るい気構えを表現し得ているカメラと映像に,敬意を表したい.主人公とその老齢の父親,主人公と彼の脳梗塞発症時に居合わせた未だ幼い息子との,いくつかのシーンが,心に残った.
★★★★(★5個が満点)
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コメント
ほんやら堂さん、こんにちは^^
TB、ありがとうございましたm(__)m
目だけの演技なんてかなりハードな要求だったのでしょうが、見事にそれをこなしていたマチュ-は凄いですね^^
動くことの出来ない座頭市のようですね(ちょっと例えが悪いかな)?!
それに実際の言語療法士はもっと大変だったことでしょうね!
投稿: cyaz | 2008/07/15 08:18