« 独断的映画感想文:インベージョン | トップページ | 独断的映画感想文:白い嵐 »

2008/07/14

独断的映画感想文:潜水服は蝶の夢を見る

日記:2008年7月某日
映画「潜水服は蝶の夢を見る」を見る.1
2007年.監督:ジュリアン・シュナーベル.
出演:マチュー・アマルリック(ジャン=ドミニク・ボビー),エマニュエル・セニエ(セリーヌ・デスムーラン),マリ=ジョゼ・クローズ(アンリエット・デュラン),アンヌ・コンシニ(クロード),パトリック・シェネ(ルパージュ医師),マックス・フォン・シドー(パピノ).
映画の冒頭,制限された視界,ぼやけた焦点.
病院らしき部屋の中,スタッフがうごめいている.
やがて医師が現れ自己紹介した上で,主人公に重大なことを告げる.主人公ジャン=ドミニクは重篤な脳梗塞で“ロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)”になってしまったというのである.3
彼の自由になるのは左目のみ,動かない右目は水晶体が乾いてしまうので,まぶたを縫いつけられてしまう.
パニックから落ち着くと,言語療法士アンリエットが左目の瞬きを用いたコミュニケーション法を彼に教えてくれる.
使用頻度順に読み上げられるアルファベットを用い,ジャン=ドミニクは言葉を,文章を表現できるようになる.
やがて記憶も蘇り,妻と3人の子供達の看病を受けながら,彼は自分の伝記を書こうと決意する….
この映画はいわゆる難病ものとはいささか趣を異にする映画だ.また「海を飛ぶ夢」とも似て非なる映画である.
主人公は全身麻痺だが意識は鮮明,重病人だが精神は健康,今は左目しか動かないがELLEの編集長として大金を稼ぎ愛人もいた身の上だ.
今は家族が回りで看病してくれるが,病床には愛人からの電話もかかってくる.何より主人公はこの不自由な体で人生に前向きであり,人生を楽しんでさえいるかのようだ.4
主人公の目線を忠実に再現し,更にその明るい気構えを表現し得ているカメラと映像に,敬意を表したい.主人公とその老齢の父親,主人公と彼の脳梗塞発症時に居合わせた未だ幼い息子との,いくつかのシーンが,心に残った.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ


« 独断的映画感想文:インベージョン | トップページ | 独断的映画感想文:白い嵐 »

コメント

ほんやら堂さん、こんにちは^^
TB、ありがとうございましたm(__)m
目だけの演技なんてかなりハードな要求だったのでしょうが、見事にそれをこなしていたマチュ-は凄いですね^^
動くことの出来ない座頭市のようですね(ちょっと例えが悪いかな)?!
それに実際の言語療法士はもっと大変だったことでしょうね!

投稿: cyaz | 2008/07/15 08:18

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 独断的映画感想文:潜水服は蝶の夢を見る:

» 潜水服は蝶の夢を見る/マチュー・アマルリック [カノンな日々]
おすぎさんに宣伝されるずっと前からこの映画は絶対観に行くと決めてました。ああいう宣伝の仕方ってあんまり好きじゃないっていうか、もっと作品本位で訴えてほしいなぁって思うんですよね。かえって作品の良さを歪めかねないような? それに引き換え、劇場予告編は作品....... [続きを読む]

受信: 2008/07/14 23:51

» 『潜水服は蝶の夢を見る』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「潜水服は蝶の夢を見る」□監督 ジュリアン・シュナーベル □原作 ジャン=ドミニック・ボービー □キャスト マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリ=ジョゼ・クローズ、マックス・フォン・シドー、ジャン・ピエール=カッセル■鑑賞日 2月10日(日)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想> まずそのタイトルに興味が沸く。 この作品はカンヌ映画祭で監督賞と高等技術賞を受賞し、今回のアカデミー賞でもジュリアン・シュナーベル... [続きを読む]

受信: 2008/07/15 08:13

» 30●潜水服は蝶の夢を見る [レザボアCATs]
'08年ゴールデン・グローブ賞、監督賞・外国語映画賞おめでと〜!それと、マチュー・アマルリックのセザール賞、主演男優賞受賞もその他、セザール賞編集賞受賞、他、アカデミー賞も主要7部門ノミネート。... [続きを読む]

受信: 2008/07/15 16:18

» 「潜水服は蝶の夢を見る」 [元・副会長のCinema Days]
 (原題:Le scaphandre et le papillon)この映画の見所は、健常者(観客)と障害者(主人公)との間の壁を取っ払っている点である。もちろん、実際には健常者にとって障害者の本当の気持ちなんか分かるはずもない。しかし、本作は映像面であたかもそれが可能であるかのように見せている。それだけこの映画のヴィジュアルのヴォルテージは高い。  脳梗塞のために左目以外の全てが麻痺した状態となった主人公。冒頭、カメラは彼の左目の視線と同化し、意識ははっきりしてはいるものの言葉を発するどころか... [続きを読む]

受信: 2008/07/15 20:24

» 潜水服は蝶の夢を見る [象のロケット]
ジャン・ドイニク・ボビーはELLE編集長、42歳、子供3人の父親。 或る日倒れ、身体の自由を失った。 唯一動くのは左目の瞼。 そして20万回の瞬きで自伝を書き上げる。 蝶のように飛び立つ想像力と記憶で…。 ≪ぼくは生きている。 話せず、身体は動かないが、確実に生きている≫... [続きを読む]

受信: 2008/07/22 22:42

» 潜水服は蝶の夢を見る [カリスマ映画論]
【映画的カリスマ指数】★★★★★  厚い殻を打ち破る、無限大のイマジネーション   [続きを読む]

受信: 2008/07/23 00:13

» mini review 08316「潜水服は蝶の夢を見る」★★★★★★★☆☆☆ [サーカスな日々]
ファッション誌「エル」の編集長として活躍する人生から一転、脳梗塞(こうそく)で左目のまぶた以外の自由が効かなくなってしまった男の実話を映画化。原作は主人公のジャン=ドミニック・ボビー自身が20万回のまばたきでつづった自伝小説。『夜になるまえに』のジュリアン・シュナーベルが監督を務めている。主人公を演じるのは『ミュンヘン』のマチュー・アマルリック。シリアスな展開の中に温かいユーモアが味わえる一方、独特の映像美も堪能できる感動の実話だ。[もっと詳しく] 「記憶」と「想像力」は、最後に僕たちに残される... [続きを読む]

受信: 2008/07/29 04:33

« 独断的映画感想文:インベージョン | トップページ | 独断的映画感想文:白い嵐 »