独断的映画感想文:白い嵐
日記:2008年7月某日
映画「白い嵐」を見る.
1996年.監督:リドリー・スコット.
出演:ジェフ・ブリッジス(シェルダン),キャロライン・グッドオール(アリス),ジョン・サヴェージ(マックレア),スコット・ウルフ(チャック),ライアン・フィリップ(ギル).
最初に「この物語は実話である」とコメントが入る.
冒頭,家族と別れを告げバスに乗る少年チャック,彼は自分の意志を押し通し,訓練航海船アルバトロス号への1年間の乗り組みのため出発するのだ.
その停泊地に着くと,同年齢の少年達が集まってくる.しばらく停泊地での基礎的な訓練を行った後,船長シェルダンを含む大人4人,訓練生11人は,やがて停泊地を出帆した.
最初は角を突き合わせていた少年達も,船長の指揮による訓練のなかで友情を深め成長していく.
やがてガラパゴス諸島の無人島に到着した彼らは,死火山の山頂に登り,歴代の訓練生が記帳したノートを掘り出して彼らもまた記帳するのだった.
しかし停泊地に向けて戻る途上,仲間のフランクがイルカを殺して下船を命じられ,更に船は「白い嵐」と呼ばれる激しいスコールに遭遇する….
オーソドックスな青春ドラマだが,価値観が明瞭で見た後が爽やかだ.
いかにも若々しい少年達が,帆船の操船訓練のなかでたくましく変貌していくのが素晴らしく,大海原や夕景・夜景,きらめく波間を進むアルバトロス号の映像が美しい.少年達一人一人の描写も過不足がない.
クライマックスの「白い嵐」のシーンの迫力は,筆舌に尽くしがたい.観客はただ息をのみ,体を乗り出すだろう.遭難の恐ろしさ,難船の悲しみが直に伝わってくる様だ.
この後船長はその資格剥奪を巡って審判に付されるが,政治的に動く一部の親に対する船長と訓練生の率直さが,良い結末をもたらしている.
エンドロールに流れる「バルパライソ」というスティングの歌も素晴らしい.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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