独断的映画感想文:腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
日記:2008年8月某日
映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」を見る.
2007年.監督:吉田大八.
出演:佐藤江梨子(和合澄伽),佐津川愛美(和合清深),永作博美(和合待子),永瀬正敏(和合宍道),山本浩司(萩原),土佐信道(小森哲生(明和電機)),上田耕一(和合曾太郎),谷川昭一朗(神野),吉本菜穂子(審査員),湯澤幸一郎(審査員),ノゾエ征爾(オーディションの相手役),米村亮太朗(田嶋).
冒頭,トラックが暴走し道端に突っ込む.タイヤの跡に長い血痕,少女が呆然と立ちすくむ.
轢かれたのは少女和合清深の両親,その葬式に姉の「女優」和合澄伽が戻ってくる.家には他に父親の後妻の連れ子だった宍道が妻の待子と暮らしている.
澄伽は演技力ゼロの超勘違い傲慢女.自分が売れないのはすべて人のせい,特に妹清深のせいだとして妹をいじめ抜く.
清深は4年前の14歳の時,女優になるため東京に出たいと言って姉が暴れ,包丁を振り回して兄の額を傷つけ,上京資金を得るため自宅で体を売っていた顛末をすべて漫画に書いて投稿し,見事ホラー系雑誌の新人賞に輝いたことがある.家族は崩壊し,澄伽は自分が「演技」に集中できなくなったのはその事件のせいだと未だに清美を許さない.
澄伽と宍道には血縁関係はないが肉体関係がある.そのため宍道は澄伽に頭が上がらない.
妻の待子は東京都港区のコインロッカー出身の孤児,施設で育ち30歳で結婚紹介誌で宍道と知り合い結婚したが,未だに肉体関係はない.
清深は天性の観察者,今は漫画を封印しているが,時に我慢できなくなって両親の死亡状況や姉の現状を描き始めると止まらない.
この4人の「家族」の行く末を描くブラックコメディ.
何と言っても4人(というより女性3人ですね.永瀬君は刺身のつま)の個性が凄くそれを演じる女優が凄い.
サトエリは素のままなんだか演技なんだか定かではないし,永作の怪演は筆舌に尽くし難し.いたいけな佐津川愛美も実はこの子が一番したたかなのである.彼らのやりとりは一見の価値あり.
他に相変わらず脱力系の名優山本浩治が快調.
しかし何故この姉妹は二人ともペンネーム・芸名を名乗らなかったのか.和合という皮肉な名前がそれほど捨てがたいか.
和合:やわらぎあうこと,仲よくすること(広辞苑).
★★★★(★5個が満点)
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