独断的映画感想文:「白い馬」「赤い風船」
日記:2008年8月某日
映画「白い馬」「赤い風船」を見る.
「白い馬」監督:アルベール・ラモリス.脚本:アルベール・ラモリス.撮影:エドモン・セシャン.音楽:モーリス・ルルー.出演:アラン・エムリイ,パスカル・ラモリス.
「赤い風船」監督: アルベール・ラモリス.脚本:アルベール・ラモリス.撮影:エドモン・セシャン.音楽: モーリス・ルルー.出演:パスカル・ラモリス.シュザンヌ・クルーティエ.
この監督の,「素晴らしい風船旅行」は子供の頃見たことありましたね.
銀座シネスイッチで,この50年代に同一監督で作られた傑作2短編を上映しているのを鑑賞.ネタバレあります!!
どちらも主人公は少年,副主人公は擬人化された馬あるいは風船である.
「白い馬」は南フランスの沼沢地に住む少年と野生馬の話.馬買いが何度捕らえても逃げ出してしまう誇り高い野生馬のリーダーは,少年とも激しく戦った後友達になる.二人と馬買いを巡るその地の自然を背景とした物語.
一方「赤い風船」はパリを舞台とした風船と少年の友情物語.朝の通学路で出会った風船は少年にすっかりなつき,どこに行くにもついてくる.ところが下町の悪たれガキに捕まり,石を投げつけられて風船は大ピンチ….
両方とも詩情あふれるおとぎ話だが,その擬人化にみる文化の違いが印象に残った.
馬はあくまでも誇り高く,少年は幼いながらその誇りを共有している.日本の少年と馬では少し違った感じになるかもしれない.
途中馬にまたがることができた少年が,出てきた野ウサギを人馬一体となって追いかける.そのウサギはどうなったかというと,次のシーンでは少年に皮をはがれて丸焼きに.これも如何にも狩猟民族らしい.
赤い風船で主人公と彼の行く学校の生徒は皆長ズボン,悪たれガキは全員半ズボンというはっきりした描き分けも印象的.
映画を見ていてこんなつまらないことばかり考えるのも年をとった証拠である.こういう如何にもフランス映画らしい詩情の映画はもっと若い頃に見ていれば良かった.
しかしどちらも映画として傑作なのは間違いない.撮影技術を含めてすばらしい映像である.
「白い馬」のラストシーン,少年を伴った馬が,白波の立つ荒海を沖へ沖へといつまでも泳ぎ続けていく長回しは,いったいどのように撮ったのだろう?そのまま少年と馬は別の地へ向かったのだというナレーションが,胸に染みてくるラストだった.
★★★★(★5個が満点)
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