独断的映画感想文:赤ひげ
日記:2008年11月某日
映画「赤ひげ」を見る.
1965年.監督:黒澤明.
出演:三船敏郎(新出去定),加山雄三(保本登),山崎努(佐八(車大工)),団令子(お杉(女中)),桑野みゆき(佐八の女房おなか),香川京子(狂女),江原達怡(津川玄三),二木てるみ (おとよ),根岸明美(おくに(六助の娘)),頭師佳孝(長次),土屋嘉男(森半太夫),東野英治郎(五平次(大家)),志村喬(和泉屋徳兵衛),笠智衆(登の父),杉村春子(娼家の女主人),田中絹代(登の母),西村晃(家老),千葉信男(松平壱岐),藤原釜足(おくにの父六助(蒔絵師)),内藤洋子(まさえ),野村昭子(おふく),菅井きん(長次の母),荒木道子(娼家の女主人),左卜全(入所患者),常田富士男(地廻り).
山本周五郎の原作を黒澤が映画化した3時間を超す大作.
長崎帰りの気鋭の医者保本は御典医を夢見ていたが,貧民に医療を施す小石川養生所勤務を命じられ,釈然としない.所長の赤ひげの頭ごなしの指示にも反発し,従わない.
養生所に入院中の殺人狂の女が逃げ出した夜,保本はその女に羽交い締めにされ,危ういところを赤ひげに救われる.
以来赤ひげに従い診療に従事するようになった保本は,膵癌の六助や,結核の左八の死を看取る.
ある日赤ひげと保本は,娼家で虐待を受けているおとよを救い養生所に連れ帰る.おとよは誰にも心を開こうとしなかった….
映画の醍醐味を心ゆくまで味わえる名作.セットの素晴らしさ,光と影の魔術,一場面一場面がこれしかないと思える吟味されたカメラワーク.
山本周五郎の原作だから下手をすると説教臭い物語になりかねないのだが,三船敏郎演じる赤ひげのキャラクターがその嫌みを帳消しにしてくれる.
物語は前半が死の看取り,後半は再生の看取りである.
腕達者な名優が目白押しのこの映画で特筆すべき俳優は,なんといっても二木てるみと頭師佳孝であろう.二木てるみに頭師佳孝が別れを告げるシーンは涙を禁じ得ない.
大人では根岸明美の独白シーン,山崎努と桑野みゆきのエピソードが胸を打つ.
この映画を初めて見たのは14歳の時だった.そのときの感動が甦った思いがして,嬉しかった.
★★★★☆(★5個が満点)
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コメント
本日になってトラックバックの存在に気付きました。
遅くなって申し訳ございません。
言い出したら切りがない名作ですが、二木てるみ扮する少女のエピソードがお気に入りで、彼女の再生は涙なしには見られませんね。
演技陣も充実していますが、女性三人(二木、香川京子、根岸明美)がなかんずく良かったなあ。
投稿: オカピー | 2008/11/24 02:02