番外・独断的歌舞伎感想文:江戸宵闇妖鉤爪
日記:2008年11月某日
歌舞伎「江戸宵闇妖鉤爪えどのやみあやしのかぎづめ― 明智小五郎と人間豹 ―」を見る.
江戸川乱歩=作「人間豹」より.岩豪友樹子=脚色.九代琴松=演出.
松本幸四郎,市川染五郎,市川春猿他.
江戸川乱歩ものであるが,時代を江戸時代とした翻案もの.原作は「人間豹」.
冒頭,不忍池のほとりの出会い茶屋で逢い引きする神谷とお甲,しかし神谷が迎えの駕籠に乗った後お甲は無惨な死を遂げる.
その事件解明に乗り出す同心明智小五郎.
ところが神谷の新しい恋人お蘭が更に襲われ,明智の愛妻お文(原作では文代さんですな)も狙われ….
幸四郎の同心明智小五郎というのがやや大時代な感があるが,染五郎と春猿(被害者3人は全てこの人)はすてき.
人間豹に扮する染五郎はワイヤーワークやトランポリンを駆使して健闘,最後には大凧に乗る宙乗りを披露.
この舞台で良かったものの一つは音楽で,時に登場人物の台詞を代行したりしながら,歌舞伎音楽の筋を通した演奏が印象的だった.
最後追い詰められた人間豹が大凧に乗り込み宙乗りに移って,どんちゃんどんちゃんという鳴り物に乗って舞い上がるシーンは,一見の価値あり.
時にはやって欲しい江戸川乱歩ものであった.
★★★☆(★5個が満点)
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