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2008年12月に作成された記事

2008/12/29

独断的映画感想文:王妃の紋章

日記:2008年12月某日
映画「王妃の紋章」を見る.3
2006年.チャン・イーモウ監督.出演:チョウ・ユンファ(国王),コン・リー(王妃),ジェイ・チョウ(次男・傑(ジエ)王子),リィウ・イエ(長男・祥(シャン)王子),リー・マン(蒋嬋),ニー・ターホン(蒋医師),チェン・ジン(蒋氏),チン・ジュンジエ(三男・成(チョン)王子).4
唐滅亡後のある王国,国王は3人の王子を持つ.
皇太子はなくなった先妻の子,失策をして辺境勤務を命じられていた武術に優れた傑は次男で王妃の実子,三男の成はまだ若い.5
王は医術も心得その処方に従い王妃は日夜薬を飲む.ところが10日前からその処方が変わり,王妃は薬に毒が含まれていると疑いを持つ.
一方皇太子と王妃は不倫の関係にあるが,皇太子の心はすでに蒋医師の娘・蒋嬋に移っていた.重陽の節句を翌日に控え,王妃はある決意をするにいたる….
チャン監督の作品は4作目だが,今回もその衣装やセット,小道具の端にいたるまで,吟味され尽くした美しさが印象的.主人公は王妃だが,映画の進展につれアクションシーンも随所に挿入され,飽きることがない.2
コン・リー姉さんも貫禄充分.また.蒋嬋役のリー・マンが蠱惑的な魅力を振りまき印象的だった.
ただ物語の終盤は,思いもかけない唐突な展開があり(その最たるものは三男成の動きだろう),悲劇としての印象はやや中途半端だった.その辺が惜しいが,圧倒的なスペクタクルとしての魅力は十分.1
★★★☆(★5個が満点)
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2008/12/28

独断的映画感想文:HERO

日記:2008年12月某日
映画「HERO」を見る.Hero3
2007年.監督:鈴木雅之.
出演: 木村拓哉(久利生公平),松たか子(雨宮舞子),大塚寧々(中村美鈴),阿部寛(芝山 貢),勝村政信(江上達夫),小日向文世(末次隆之),八嶋智人(遠藤賢司),角野卓造(牛丸 豊),児玉清(鍋島利光),松本幸四郎(蒲生一臣),森田一義(花岡練三郎),中井貴一(滝田明彦),綾瀬はるか(泉谷りり子),国仲涼子(松本めぐみ),香川照之(黛 雄作),岸部一徳(桂山 薫),石橋蓮司(大藪正博),イ・ビョンホン(カン・ミンウ)(友情出演), 田中要次(マスター),古田新太(郷田秀次).
これは映画ではなくTVドラマをスクリーンに拡大したもの.また,法廷ものではなくアイドルもの.Hero1
これを法廷映画と思って見てしまった僕が悪かった.木村拓哉のTVドラマファンが見たら,面白く見られたろう.
法廷映画としては数々の不備があるが,それは言っても仕方がない.
普通,証人尋問の最中に検事が延々と意見陳述を始めてしまい,しかもその意見陳述にあろう事か凄腕と呼ばれる弁護士が共鳴してしまうなんてことは,ルール違反であろう.
しかしここではそれが最大の山場になっているので,後はそこを認めれば楽しいし認めなければ馬鹿馬鹿しい.Hero2
ただ,最後まで何故検察側が勝利できたのか判然としないまま終わったのが,心残り.
★(★5個が満点)
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2008/12/25

番外:独断的歌舞伎感想文:遠山桜天保日記

日記:2008年12月某日
歌舞伎「遠山桜天保日記」を見る.Photo
菊五郎,菊之助,時蔵,左団次,松禄,梅枝.
ご存知遠山の金さんのお奉行もので菊五郎が悪役と金さんの2役,時蔵がヒロインとその母親の2役.
スピーディーではないが,物語の展開は面白い.
短銃強盗の角太夫,所化をしくじって盗人になった天学,商家の若旦那で心中で死に損なった小三郎の3人が,仲間になったり裏切ったりの挙げ句のお裁きとなる.
亀蔵はいつもの通り助平な番頭,左団次は珍しく悪役ではない立派な親分役.
途中挟まれる新潟の場面もおけさや相川音頭の歌踊りが楽しく,悪役達の立ち回り場面も切れがよい.
最後金さんがお白州に出ると途端にサクラ吹雪が舞い始めるというお約束も微笑ましい.「此にて一件落着」との台詞で今年の歌舞伎もおしまい.
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独断的映画感想文:クローズド・ノート

日記:2008年12月某日
映画「クローズド・ノート」を見る.Closednote1
2007年.監督:行定勲.
出演:沢尻エリカ(堀井香恵),伊勢谷友介(石飛リュウ),竹内結子(真野伊吹),永作博美(可奈子),板谷由夏(山崎星美),田中哲司(鹿島),サエコ(池内ハナ),中村嘉葎雄(喜一郎).
古いアパートに引っ越してきた女学生・香恵.
部屋の鏡の裏の戸棚に,前に住んでいた人のノートが残されていた.Closednote4
その人,真野伊吹は郊外の小学校の先生.ペンで記されたその日記は,彼女の教師としての軌跡と恋人タカシとの恋の記録だった.教員志望の香恵はその日記に引き込まれ読み進める.
一方,彼女はアルバイトをしている万年筆屋を訪れた画家石飛リュウに惹かれる.二人はお互いのアパートを行き来し,交流を深めていく….
ノートの中の伊吹の成長と併行して展開していく香恵の成長と恋の物語.
物語の展開は分かり易く,映画は美しい.沢尻エリカ,竹内結子はともに好演である.淡々とした物語の中に静かな感動を得られる.Closednote3
この映画には,沢尻エリカの舞台挨拶での態度が悪かったという余計なエピソードがつきまとったが,映画そのものはまずまずの佳作だろう.
一般に女優の奔放な言動は今に始まったことではなく,映画での演技が素晴らしければ素のその人がどんなことを言ったりやったりしようが,気にはならない.そのことを鬼の首を取ったように騒ぐ芸能レポーターを見ても,沢尻エリカはとても彼らの手に負える相手ではなかろうと思われる.Closednote2
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2008/12/22

独断的映画感想文:イグジステンズ

日記:2008年12月某日
映画「イグジステンズ」を見る.Existenz1
1999年.監督:デヴィッド・クローネンバーグ.
出演:ジェニファー・ジェイソン・リー,ジュード・ロウ,イアン・ホルム,ウィレム・デフォー,クリストファー・エクルストン,サラ・ポーリー.
とある街の小ホール,「イグジステンズ」という新作ゲームの発表会が行われている.
ゲームデザイナーのアレグラを迎えたその発表の場で,彼女は不思議な銃で狙撃され負傷,居合わせたゲーム会社の社員テッドと逃亡する.
ゲームの販売会社と反ゲーム主義者との闘いは複雑な様相を呈しており,真相を知るためアレグラはテッドに協力を依頼,二人は協力してゲームを開始する.
ゲームは参加者の脊髄に設けたバイオポートという接続孔とゲーム機本体をバイオケーブルで繋いで行い,ゲーム中の経験は実体験と区別がつかない.ゲーム機は両生類から培養した有機体で,ゲームポッドと呼ばれる.
二人の前には様々な人物と怪奇な状況が次々と現れるのだった….
というわけで映画は実人生とゲーム中との区別が混然とする中でめまぐるしく展開,両生類からゲーム機を製造する過程や,両生類を調理して出す中華料理店での殺人シーンなど,グロテスクなシーンが次々に描かれる.
誰が味方で誰が敵か,アレグラとテッドさえ互いを信じられなくなる中で現れる最後のどんでん返し.グロテスクな映像と現実と仮構の混乱という,この両方が好きな人は,はまりそうな映画.Existenz2
そうでない人でもどんでん返しを楽しみに.
★★★☆(★5個が満点)
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2008/12/01

独断的映画感想文:アメリカン・ギャングスター

日記:2008年11月某日
映画「アメリカン・ギャングスター」を見る004
2007年.監督:リドリー・スコット.
出演:デンゼル・ワシントン(フランク・ルーカス),ラッセル・クロウ(リッチー・ロバーツ),キウェテル・イジョフォー(ヒューイ・ルーカス),キューバ・グッディング・Jr(ニッキー・バーンズ),ジョシュ・ブローリン(トルーポ刑事),テッド・レヴィン(ルー・トバック地方検事),アーマンド・アサンテ(ドミニク・カッターノ),ジョン・オーティス(ジェイ・リヴェラ),ジョン・ホークス(フレディ・スピアマン),カーラ・グギーノ(ローリー・ロバーツ),RZA(モーゼス・ジョーンズ),ルビー・ディー(ママ・ルーカス).
1968年,黒人ギャングのボス・バンピーノが死去,その右腕を務めてきたフランクは後を継ぐ.
彼はベトナム戦争の進展に合わせ,軍を使った純度100%のヘロイン密輸のルート開拓に成功,ブルーマジックと名付けたそのヘロインはニューヨークの市場を席巻し,彼はマフィアにも卸す麻薬王として頭角を現す.
一方,ニュージャージーの刑事リッチーは潔癖な仕事ぶりから孤立していたが,検事にスカウトされエセックス郡の麻薬捜査班チーフに就任.ニューヨークの麻薬捜査班刑事トルーポに捜査を妨害されながら,次第にブルーマジックの卸元,フランクの存在を知るようになる….008
実話に基づく,リドリー・スコットの157分の長大作.
開始後2時間近くはフランクとリッチーは別個にそれぞれ描かれるが,二人が出会ってから最後までの30分間,物語は急展開を見せ終局になだれ込んでいく.それまでの淡々とした2人の描写と最後の展開のダイナミックスが素敵.
長尺ながらだれることは全くなく,中盤フランクが兄弟達をニューヨークに呼び出したその面前で,敵対する黒人ギャングと対決するシーン,終盤,銃を持って家を出ようとしたフランクに母親がびんたを張って阻止するシーンなど,印象的なシーンが有効に配置されている.
結局リッチーとフランクは,その「仕事」に掛ける熱情と厳しさでは,相通じるものがあったのかも知れない.
映画を通して,どちらかといえばフランクの方に感情移入してしまうのは,僕がラッセル・クロウよりはデンゼル・ワシントンが好きなせいかもしれない.001
「ゴッド・ファーザー」シリーズは言うに及ばず,「ロード・トゥ・パーディション」「グッド・フェローズ」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」等,アメリカのギャング映画には情緒的に印象深いものが少なくない.この映画もその系譜に繋がるか.
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