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2009/01/07

独断的映画感想文:明日への遺言

日記:2009年1月某日
映画「明日への遺言」を見る.1_2
2007年.監督:小泉堯史.
出演:藤田まこと(岡田資),ロバート・レッサー(フェザーストン主任弁護人),フレッド・マックィーン(バーネット主任検察官),リチャード・ニール(ラップ裁判委員長),西村雅彦(町田秀実),蒼井優(守部和子),近衛はな(小原純子),加藤隆之(岡田陽),田中好子(水谷愛子),富司純子(岡田温子).
ピカソの「ゲルニカ」の提示から始まるこの映画.戦争における(日本軍を含めた)無差別爆撃の進展を紹介した後,昭和20年の名古屋大空襲の時,撃墜されたB29から降下した36名の米兵を処刑した責任者,東海軍司令官・岡田資(たすく)中将の戦犯としての裁判が開始される.2
映画は巣鴨プリズンと横浜地裁に置かれた軍事法廷を往復する描写,映像としては退屈なものだが,映画を充実させる藤田まこと・富司純子の演技と中将の「法戦」と自ら名付けた弁論が印象的である.
岡田の論点は,無差別爆撃は違法であること,その加担者を処罰したことは適法であること,責任は一切自分にあることの3つである.
一方検察側・裁判委員側は岡田の毅然とした態度と論理に圧倒されるが,無差別爆撃を違法と認めることはできない.裁判長は,米軍は報復を適法と認めているが,と示唆する.これは無差別爆撃への処罰という主張を引っ込めれば罪を減じようという誘いと考えられるが,岡田の主張は変わらない.絞首刑判決を受け,「本望である」と言い残し法廷を去る.
旧軍の主流であった戦略意識に欠け,官僚的で私利私欲に走り,その結果国を未曾有の災厄に巻き込んでその責任を取ろうとしない将校達の中で,若い頃英国の大使館勤務を経験し,一方で仏教に帰依したという岡田中将のような例は希であろう.3
中将の,斬首が名誉ある処刑だという主張,36人の裁判に依らない処刑指示は致し方ないという主張は今の時点から見て納得はできないが,厳しい状況下での法戦を展開した中将の姿勢には,日本人として敬意を覚える.
映画は中将の独白,妻の独白の他に竹野内豊のナレーションが入るが,これは減点対象.ナレーションそのものの出来が悪い上,内容が客観的でなく感情的で,このナレーションで映画そのものがプロパガンダ的に見えてしまう恐れがある.4
映画そのものは丁寧に作られた映画らしい映画.
★★★☆(★5個が満点)
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