独断的映画感想文:殯(もがり)の森
日記:2009年1月某日
映画「殯(もがり)の森」を見る.
2007年.監督:河瀬直美.
出演:うだしげき(しげき),尾野真千子(真千子),渡辺真起子(和歌子),ますだかなこ(真子),斉藤陽一郎(真千子の夫).
映画の冒頭,画面一杯に映し出される風に揺れる緑の森.微かな鉦の音が規則正しく聞こえる.
やがて森を背景に青い田を風が渡っていくシーン,やがて鉦の音と共に2本の幡を先頭に画面をゆっくり横切っていく葬列.この開幕のシーンで既に映画に引き込まれてしまった.
奈良の介護老人ホームで暮らすしげきは,33年前に亡くした妻,真子の面影を今も慕う認知症の老人.新任の介護士真千子は,事故で子供を亡くしそれが原因で夫とも別れた.
亡妻と似た名前の真千子,真千子としげきは次第に心を通わせるようになる.
ある日,亡妻の墓参りに真千子と共に出かけるしげき,その途上車が脱輪し,森に分け入った二人は嵐に襲われる….
河瀬監督の映画は「萌えの朱雀」「沙羅双樹」以来,この監督は映画の出来不出来というより,その個性が好きか嫌いかという感想を持ってしまう人である.
見た後の不思議な感動という点で,この監督は僕は好きな人だ.
出来不出来という点で言えば,「萌えの朱雀」は途中で眠ってしまったのを覚えているが,この映画は緊張感を持って最後まで見られた.台詞が聞き取れないなどの点は気になったが(英語字幕を表示してようやく判った部分あり),本質的な問題ではない.
生と死を,自然の息づかいを十分に表現する中で描いたこの映画は,満足度高し.
★★★★(★5個が満点)
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