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2009/02/18

独断的映画感想文:胡同の理髪師

日記:2009年2月某日
映画「胡同の理髪師」を見る.1
2008年.監督:ハスチョロー.
出演 チン・クイ(チンお爺さん),チャン・ヤオシン(チャン老人),ワン・ホンタオ(チャオ老人),ワン・シャン(ミー老人).
北京の胡同に住むチン爺さんは93歳の現役理髪師.以前は自分の店を持っていたが,今は3輪自転車に道具を積んで,胡同の路地を回ってはお得意さんの髪を刈りヒゲを剃る.
お得意さんは皆お年寄り,一人暮らしの人も多い.2
チン爺さんの息子ももう年金暮らしの元工場労働者だが,父のもとに来ては自らの不運を嘆き愚痴をこぼす.チン爺さんはそれを聞きながら黙ってたばこをふかすだけだ.
一人住まいのミー老人のもとを訪れると,彼は死んでいた.
当局に届け死体は運ばれていく.帰ろうとするとミー老人の愛猫ニューニューがいつの間にか爺さんの3輪自転車に乗り込んでいる.ニューニューを連れ帰った爺さんは,理髪師の仕事や常連との麻雀という日常を続ける….
爺さんを取り巻くもつやき屋のチャン老人や,チャオ老人とその息子夫婦のエピソード等を交えながら描く,胡同の暮らし.4
その胡同の街並みは,北京五輪を控えて破壊計画がじわじわと進行している.老人達は自分たちの死に方を互いに語り合う.
しかしチン爺さんはそんなことには悩まない.爺さんの生き方はあくまでも前向きである.そのチン爺さんを描くドキュメントタッチの映画.
ひょうひょうと生きるチン爺さんの,巧まざるユーモアも交えた日常の描写を見て,飽きることがない.
チン爺さんの様に,思い煩うことなく人のために生きたいものだ.3
ある種の元気を与えてくれる映画.仲間は死んでいき,若い世代には世知辛い者が多いけれど,爺さんの息子が初孫が生まれてえらく前向きになってやってきたりもする.人生はなかなか捨てたもんではありません.
見て良かった映画.
★★★★(★5個が満点)
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コメント

ほんやら堂さん こんばんは。TBありがとうございました。

 これは本当にいい映画でしたね。死の準備を淡々と進める90過ぎの老人を描きながら、観るものに生きる強さと楽しさを与えるという稀有な作品です。僕が観た昨年公開映画の中では今のところいちばんいい映画だと思います。

投稿: ゴブリン | 2009/02/19 02:04

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» 胡同の理髪師 [銀の森のゴブリン]
2006年 中国 2008年2月公開 評価:★★★★☆ 監督:ハスチョロー 製作 [続きを読む]

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