独断的映画感想文:転々
日記:2009年2月某日
映画「転々」を見る.
2007年.監督:三木聡.
出演:オダギリジョー(竹村文哉),小泉今日子(麻紀子),吉高由里子(ふふみ),岩松了(国松),ふせえり(仙台),松重豊(友部),広田レオナ(鏑木),津村鷹志(時計屋の主人),石井苗子(多賀子),横山あきお(石膏仮面),麻生久美子(三日月しずか(友情出演)),笹野高史(畳屋のオヤジ),鷲尾真知子(愛玉子店のおばさん),石原良純(愛玉子店の息子),岸部一徳(岸部一徳),三浦友和(福原愛一郎).
「時効警察」の三木監督がゆるく作った一種のロードムービー.
文哉は怠惰な日々を送る大学8年生,ある日下宿に乗り込んできた福原と名乗る男,彼がこしらえた84万円の借金を3日のうちに取り立てると言う.
ピンチの文哉,しかし翌日現れた福原は,自分と一緒に霞ヶ関まで散歩してくれたら,100万円をあげると言う.福原は妻を殺してしまい,警視庁に自首すると言うのだ.
否応なく福原と井の頭公園を起点に歩き始める文哉,二人は様々な街や人に出会い,昔のこと等を思い出したりしながら歩いていく.
挙げ句に二人は,福原が昔他人の結婚式で頼まれて夫婦役を演じたことがあった女性,麻紀子の家に転げ込み,そこに麻紀子の姪ふふみも転がり込んできて,4人の疑似家族が成立するが….
TVの深夜ドラマ「時効警察」は嫌いではなかった.
この映画はそののりをそのままに小ネタ満載で展開する(例えば麻紀子がママをしているのは「スナック時効」,通りの店の看板は「アブドゥラ肉屋(ザ・ブッチャーですね)」等々).
本筋と関係があるのかどうか分からないエピソードが,ちょろちょろと画面を横切る(その最たるものが岩松了,ふせえり,松重豊の3人が演じる遂に本筋と絡まないサイドストーリーだろう).
映画にこういう形で持ってこられるとちょっとどうかと思うが,この映画はむしろ三浦友和とオダギリジョーを見る映画だと思う.
この二人の脱力感あふれる(誉めているのです)味のある演技は見て飽きません.
三浦友和の冒頭,相手を確かめもせずずかずかと上がってきてオダジョーを羽交い締めにするや,自分のはいている靴下を片手で脱いでやにわにオダジョーの口に突っ込む,この演技のよどみないテンポはなかなかのもの.
一方その後オダジョーと二人でのたのたと街をぶらつく姿は気の良い親父で,これも見ていて楽しい.
欠点といえばせっかく生まれ育った阿佐ヶ谷を通ったことになっているのに,それらしい場所が判然としなかったことか.
★★★☆(★5個が満点)
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