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2009年3月に作成された記事

2009/03/28

独断的映画感想文:東京物語

日記:2009年3月某日
映画「東京物語」を見る.0
1953年.監督:小津安二郎.
出演:笠智衆(平山周吉),東山千栄子(妻・とみ),原節子(二男の嫁・紀子),杉村春子(長女・金子志げ),山村聡(長男・平山幸一),三宅邦子 (妻・文子),香川京子(二女・京子),東野英治郎(沼田三平),中村伸郎(志げの夫・金子庫造),大坂志郎(三男・平山敬三),十朱久雄(服部修).
72歳の平山周吉は,妻とみと共に尾道から上京,東京で暮らす長男幸一,長女志げ,戦死した次男の嫁紀子等を訪ねる.
長男・長女の家に泊まるが彼らも仕事に忙しい.紀子が仕事を休んで東京見物に付き合ってくれる.
子ども達がお金を出し合って熱海に行くよう世話してくれるが,その温泉旅館も騒々しく,寝られぬ一夜を過ごす.
1泊で東京に舞い戻った周吉達は行き場を失い,とみは紀子の一間きりのアパートに泊めてもらう.周吉は同郷の知人沼田,服部と深酒して志げの家に深夜転げ込み,顰蹙を買うことになる.
二人は尾道に戻ったが,まもなく東京に「ハハキトク」の電報が届いた….3
小津の傑作といわれる2時間16分の大作.
取り立てて大きな事件が起こるわけでもない,いち家族のエピソードだが,適度な緊張感を維持して最後まで一気に見ることができる.
家族崩壊を描いた映画といわれるが,現代の社会ではこのレベルでの家族の解体はむしろ当たり前で,昔ながらの大家族主義の方が,現実に見ることは困難であろう.この映画は様々な立場から見ることが可能である.
周吉夫婦の目から見れば幸一は「町医者」に過ぎず,志げも美容室の仕事に忙しく相手をしてくれないと見えるだろう.2
しかし幸一は医学部を出て徒手空拳東京で開業し成功しているのであって,またその患者への貢献は非難の余地はない.志げにしても,その口喧しく厚かましい性格はともかく,これも東京で独力で美容室を開業維持して業界の研修のリーダーまでしているのだから,文句をつけるべきではあるまい.
彼女も夜だったら歌舞伎に付き合おうと言っているのだし,幸一も急患さえ来なければ家族で出かけるところだったのである.
京子は兄・姉を冷たいと非難するが,それは若い彼女ならではの視点だろう.
理想的な存在に見える紀子も,終局では自分自身の不安を率直に打ち明けている(現代社会には彼女のようなタイプはまずいないかも知れないが).5
このような感想を持つのは,登場人物一人一人に対する監督の視点が決して冷ややかなものではないからである.登場人物を演ずる俳優達もそうそうたる顔ぶれで,それぞれに好演している.
特に原節子の美貌と笠智衆(このとき何と48歳だったそうな.石橋貴明・中井貴一と一緒ではないか)の演技には吃驚.
いわゆる小津スタイルの映像美も含め,一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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2009/03/24

独断的映画感想文:お遊さま

日記:2009年3月某日
映画「お遊さま」を見る.2
1951年.監督:溝口健二.
出演:田中絹代(お遊さま),乙羽信子(お静),堀雄二(慎之助),柳永二郎(栄太郎),進藤英太郎(久右衛門),東良之助(検校).谷崎潤一郎原作.
若葉の頃の郊外の料亭らしきところ,離れで見合いの相手を待つ慎之助.庭を歩いていると見合いの相手の一行がやってくる.
その先頭に立つ艶やかな女性に心を奪われるが,それは見合い相手の姉で未亡人のお遊さまだった.
見合い相手の静は清楚な美人だったが,慎之助はお遊さまに夢中となる.しかしお遊さまは婚家で息子を養育する自由のきかない身だった.
慎之助はお遊さまの懇願もあって静と結婚することになるが,その結婚初夜,静は驚くべき告白をする….
結局静は慎之助に身体を許さず,夫婦はお遊さまと3人での親密な交友を重ねることとなるが,ある事件が起きてその生活は破綻するのだった….1_2
いかにも谷崎らしい作品.
静はお遊さまに対し精神的なレズビアン(昔風に言えばSであろうか)と言える.早くに母親を亡くしお遊さまを恋する慎之助の気持ちも,多分にプラトニックなものだろう.
その仮想的な恋愛関係は所詮永続するものではない.
しかしいずれも裕福な彼らの交友は,美しく描かれる.それが破綻した後の慎之助・静の生活は,かえって真の愛情があったかも知れないが,貧しいものであった.
この辺りの物語の展開はかなり唐突だが,全体の映像美は何と言っても印象的である.戦前(時代は定かでない)の京阪の裕福な生活も興味深く,京都弁も耳にたおやかである.
日本の美しい伝統を感じられる佳作.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:チェンジリング

日記:2009年3月某日
ミラノ座で映画「チェンジリング」を見る.Photo
2008年.監督・音楽:クリント・イーストウッド.
出演:アンジェリーナ・ジョリー(クリスティン・コリンズ),ジョン・マルコヴィッチ(グスタヴ・ブリーグレブ牧師),ジェフリー・ドノヴァン(J・J・ジョーンズ警部),コルム・フィオール(ジェームズ・E・デイヴィス警察本部長),ジェイソン・バトラー・ハーナー(ゴードン・ノースコット),エイミー・ライアン(キャロル・デクスター),マイケル・ケリー(レスター・ヤバラ刑事).
実話である.
ロサンゼルスに住む電話交換局の主任クリスティン・コリンズは,息子ウォルターとの二人暮らし.ある週末,急な呼び出しに応じて出勤し帰宅するとウォルターが姿を消していた.
ロス警察(LAPD)に通報するが息子の行方は分からない.
ところが5ヶ月後,イリノイ州で息子が見つかったとの連絡,報道陣に囲まれ列車から降りたウォルターに面会するが,それは全くの別人だった.1
担当のジョーンズ警部にそのことを訴えても全く取り合わない.身長が7センチも低くなっている事実,歯科医,小学校の担任の文書による証言を得たにもかかわらず,LAPDはその事実を受け付けない.
執拗に捜索再開を訴えるクリスティンに,LAPDは遂に強権を発動する….
当時(今でもそうかも知れないが)腐敗の極みに達していたLAPDの実態と,それと敢然と戦うクリスティンを描く社会派ドラマ.
この監督らしい暗い色調の淡々とした画面,挿入される美しい音楽,
しかし物語の描くものは荒んだ痛々しい状況だ.明らかになっていく事実は救いが無く,映画の後味は苦い.
僅かに希望をもたらすのは,映画の終盤クリスティンが息子の生きた証を得,そこに誇りを見いだすシークエンスだ.3
イーストウッドが言いたいことは,単に腐敗した権力の告発ということだけではなく,権力と戦う覚悟なしには事態は解決しないということだろう.80年前の事件を今こういう形で描くことの意味は,そこにあるのではないか.
1920年代のロスの街並みや当時の車・市電が行き交う街路の描写を含め,丁寧な画面作りは印象的.
アンジェリーナ・ジョリー(化粧が濃いのは当時のファッションの再現か),ジョン・マルコヴィッチは好演.楽しいとは言えないが見るべき映画.
★★★★(★5個が満点)
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2009/03/20

独断的映画感想文:バイオハザードⅢ

日記:2009年3月某日
映画「バイオハザードⅢ」を見る.01
2007年.監督:ラッセル・マルケイ.
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ(アリス),オデッド・フェール(カルロス・オリヴェイラ),アリ・ラーター(クレア・レッドフィールド),イアン・グレン(アイザックス博士),アシャンティ(ベティ),クリストファー・イーガン(マイキー),スペンサー・ロック(Kマート),ジェイソン・オマラ(アルバート・ウェスカー),マイク・エップス(L.J).
ウィルスの蔓延で滅亡に瀕した地球.地上にはアンデッドと呼ばれるゾンビがうようよ,地下に潜った官僚機構は,アリスのクローンをゾンビと戦わせてはその結果を解析している.
一方アリス本人はバイクで逃避行中,アラスカの感染のない.地域の情報を掴み,同行することになった非感染者のコンボイと共に北を目指す.02
その動きを掴んだ機構は,オリジナルのアリスを確保すべく動き出した….
あまりに易々と人が死んでいく映画で,幾らゲームが元とはいえ見るのに苦痛を伴う.
だいたい,ゾンビものは嫌いである.およそ日本人の感性にこれほど合わない存在も珍しい.
死者は例え現世に恨みがあってもそこは所詮幻である.そういうものとのつきあいは坊さんに聞けばよい.死んだのに肉体は元気という存在は,矛盾だらけで受け入れがたい.04
何故ゾンビになると皆アホになって顔は区別がつかず獰猛になるのか.
しかしハッピーエンドになる可能性を提示されるからか,映画の結末は以外と爽やか.ミラ・ジョヴォヴィッチの魅力が,ほとんどすべてと言って良い映画.
★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:男と女

日記:2009年3月某日
映画「男と女」を見る.2
1966年.監督:クロード・ルルーシュ.音楽:フランシス・レイ.
出演:アヌーク・エーメ(アンヌ),ジャン=ルイ・トランティニャン(ジャン・ルイ),ピエール・バルー,ヴァレリー・ラグランジェ.
海辺の街ドービルにある寄宿学校.週末にパリから迎えに来る親たち.
アンヌはスタントの夫を事故で失い,今はスクリプターとして映画現場で働いている.ジャン・ルイは妻を自殺で失ったレーサー,今はモンテカルロラリー等に出場する一流ドライバーである.
ふとしたきっかけで知り合い交流を重ねる二人.やがて恋が芽生えるが,お互いの過去の克服は,一筋縄ではいかない….1
おしゃれな映像と素晴らしい音楽,60年代の一世を風靡した名作である.
しかしどうもこのフランス映画は,ちっとも好きにはなれない.まあ相性が悪いの一言に尽きる.
元来,フランスものは映画も文学も駄目である.サガンの文学なぞ読み始めて3秒で寝てしまう.この映画も寝ました.
アヌーク・エーメは好きな女優だが,見た映画といえば学生の頃に「約束」と言う,オマー・シャリフとの共演映画だけである.本作は,ことアヌーク・エーメに関してはその欲求不満をはらすことのできる映画ではあった.
主演2人の魅力はあらがい難い.3
しかし映画全体としては退屈,寝てしまう,魅力を感じない.これは理屈ではなく,まさに独断的映画感想と言わざるを得ない.
こんな感想をアップしなければよいのだろうが,自分のブログだから敢えてアップする次第.
★★★(★5個が満点)
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2009/03/10

独断的映画感想文:ブラックサイト

日記:2009年3月某日
映画「ブラックサイト」を見る.3_2
2008年.監督:グレゴリー・ホブリット.
出演:ダイアン・レイン(ジェニファー・マーシュ),ビリー・バーク(エリック・ボックス),コリン・ハンクス(グリフィン・ダウド),ジョセフ・クロス(オーウェン・ライリー),メアリー・ベス・ハート(ステラ・マーシュ),ピーター・ルイス(リチャード・ブルックス).
サイバー犯罪専門のFBI捜査官ジェニファーは,母と娘と暮らしている.
ある日“killwithme.com”と言う不審なサイトが引っかかる.
拘束され次第に衰弱していく猫をライブで中継したそのサイトは,続いて拘束した男性のライブ中継を行う.アクセス数が増えると注入される薬液量が増大する仕掛けで,やがて男性は絶命する.
サイトの所在はつかめずアクセスを制限することも出来ない.2_2
犯行は次第にエスカレート,次の犠牲者の同様の処刑が公開されるとアクセスは鰻登りとなる.
犯人像は次第に絞り込まれるが,犯人の反撃によりFBI捜査官が処刑される.ジェニファーの働きで犯人は特定され指名手配されるが,ジェニファー自身が不覚にも犯人に拉致された….
謎解きという意味の面白さやストーリーの意外性はないが,ネット上の犯人と捜査官の戦いはスリリング.
犯人の意図はマスコミ批判の面があるが,その辺りの説明は少し弱い.映画の幕切れに余韻というものが無かったのも残念.ダイアン・レインも年を取ったものである(人のことは言えませんが).1
全体としては最後まで一気に見れる映画.
★★★☆
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独断的映画感想文:おもひでぽろぽろ

日記:2009年3月某日
映画「おもいでぽろぽろ」を見る.3
1991年.監督:高畑勲.長編アニメーション.
平凡な27歳のOLタエ子は,休暇を取って義兄の実家山形に向かう.
農業に興味のある彼女は,この2度目の山形行きでは紅花の収穫を手伝う.行きの夜行列車の中から,彼女の脳裏には小学校5年生の自分の少女時代が甦り,そのイメージがつきまとってくるのだった….
もう18年前の作品である.4
タエ子の少女時代の60年代の様子が印象的.と言っても「3丁目の夕日」の様な時代の丸ごと描写ではなく,子供時代のほんわかとした記憶であるのが,かえって懐かしく好ましい.
またその時代の歌曲の挿入歌も素敵.音楽は全体的に印象的で素晴らしかった(星勝).
山形の自然描写もなかなかいい.朝霧に包まれた木立の魅力的なこと!2
それに比べ,大人の表情は主人公のタエ子を含め精彩がなかった.山形の人たちは全くの無表情だし,タエ子とトシオの顔は頬骨の線が気になって困った.大人の顔って,アニメには難しいのだろうか.
筋立てはオーソドックスながら無理が無く説得力あり.一見の価値あり.
★★★☆
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2009/03/01

独断的映画感想文:告発のとき

日記:2009年2月某日
映画「告発のとき」を見る.2_2
2007年.監督:ポール・ハギス.
出演:トミー・リー・ジョーンズ(ハンク・ディアフィールド),シャーリーズ・セロン(エミリー・サンダース),スーザン・サランドン(ジョアン・ディアフィールド),ジョナサン・タッカー(マイク・ディアフィールド),ジェームズ・フランコ(カーネリー大佐),フランシス・フィッシャー(エヴィ),ジョシュ・ブローリン(ブシュワルド所長),ジェイソン・パトリック(カークランダー警部補),ジェイク・マクラフリン(スペシャリスト、ゴードン・ボナー),メカッド・ブルックス(スペシャリスト、エニス・ロング),ヴィクター・ウルフ(ロバート・オーティス兵卒).
冒頭,デジタル映像の断片,父を呼ぶ電話の声,やがて自宅のベッドで目を覚ますハンク・デアフィールド.
電話は軍の基地からで,イラクに派遣されていた息子マイクが帰還し,最初の休暇で外出したまま行方不明だという.ハンクは基地を訪れる.4
デアフィールド家は3代にわたる軍人の家,ハンクも軍で鍛えられ任務を全うした.
久しぶりに訪れた基地は自分が現役のときと変わっていない様だ.ハンクはマイクの居室を訪れ抽斗の携帯を持ち出した.
携帯には映像記録があり,ハンクはその修復を業者に依頼する.
自分も軍警察の経験があるハンクは,マイクの行方を自力で捜そうと活動を開始するが,マイクは滅多刺しにさればらばらに切り刻まれた惨殺死体で発見される.ハンクは地元警察の刑事エミリーの協力を得て,犯人捜しに乗り出すが….7
軍警察と地元警察のいずれも積極的に捜査を展開しない中,ハンクとエミリーの悪戦苦闘により,次第に殺人を巡る状況は明らかになっていく.一見映画は殺人の謎を巡るサスペンスの様に進むが,その捜査は実はあっけない結果となる.
併せて進行するいくつかのエピソードとともに映画が描くのは,9/11以降のアメリカの荒廃であり,根拠もなしに石油利権もにらみながら開始されたイラク戦争のもたらした,軍と兵士の悲惨な状況である.
ハンクがエミリーの息子に,寝る前の本を読み聞かせるシーンが印象的だ.3_2
童話(ナルニア国物語の様だが)を読む様せがまれたハンクはその本を読まず,ダビデとゴリアテの物語をする.ダビデこそハンクの英雄像であり,その名前(デイビッド)はハンクの空軍の事故で亡くなった長男の名前であり,その物語を聞いているエミリーの長男の名前でもある.
しかし18ヶ月間イラクで戦ったマイク自身を含めた帰還兵達は,決して英雄ではなく,その精神の荒れ果てた様にハンクは深い衝撃を受ける.
ハンクが絶大な信頼を置いていた軍とその兵士は,大きく変わってしまったのだ.
トミー・リー・ジョーンズ,シャーリーズ・セロン,スーザン・サランドンがいずれも好演.控えめだがマーク・アイシャムの音楽も印象深い.
一見の価値ある作品.★★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:やわらかい手

日記:2009年2月某日
映画「やわらかい手」を見る.2
2007年.監督:サム・ガルバルスキ.
出演:マリアンヌ・フェイスフル(マギー),ミキ・マノイロヴィッチ(ミキ),ケヴィン・ビショップ(トム),シヴォーン・ヒューレット(サラ),ドルカ・グリルシュ(ルイーザ),ジェニー・アガター(ジェーン),コーリー・バーク(オリー).
ロンドン近郊の街に住むマギー,難病で入院中の孫は治療のためオーストラリアに行かねばならないが,その渡航費用がない.
融資も断られ金策に歩くうち,高給優遇のチラシに誘われ就職した先はセックスショップ.5
マギーの仕事は手コキで男をいかせる仕事(ああ書くのが恥ずかしい)だが,何とマギーのテクニックは受けまくり行列の出来るスポットとなる.マギーはオーナーのミキと交渉し長期契約に成功,6000ポンドをゲットして息子トムに渡すが,トムは逆に疑いを抱いてマギーの後をつけ,遂に彼女がセックスショップに勤めていることを突き止める.
マギーを売春婦と面罵して金の受け取りを拒否するトムだが….3
マギーの周辺の人々を巡るホームドラマと言えばよいだろうか.
息子トムの妻サラは当初マザコンのトムの母としてマギーを嫌悪していた様だ.そのサラはトムと逆にマギーの仕事を知ってマギーを支持する様になる.
マギーのトランプ友達はマギーの仕事を知って彼女とつきあいを絶とうと言うのだった.マギーはその友人が亡き夫と不倫を重ねていた事実を対抗的に暴露する.1
そのマギーの戦いぶりは僕の胸を打った.
映画全体としては,マギーを演じるフェイスフルの存在が大きい.すっかりふくよかになったフェイスフルだが,そのきらめく瞳は昔のままだ.
セックスショップのオーナー・ミキは,マギーの歩き方が好きだと言うが僕も同感,その独特の存在感はどう表現したらよいか.
昔のフェイスフルを知らない方も,この独特の女優をどうか見ていただきたい.歩んできた人生は大分違うが,60年代に青春を過ごし,今壮年を過ぎようとする者同士の勇気と連帯を,彼女に感じずにはいられない.
オーナー・ミキを演じるマノイロヴィッチも味があって素敵.
女優への偏執と言われそうだがあえて★★★★(★5個が満点)
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