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2009年5月に作成された記事

2009/05/27

独断的映画感想文:ワールド・オブ・ライズ

日記:2009年5月某日
映画「ワールド・オブ・ライズ」を見る.4
2008年.監督:リドリー・スコット.
出演:レオナルド・ディカプリオ(ロジャー・フェリス),ラッセル・クロウ(エド・ホフマン),マーク・ストロング(ハニ・サラーム),ゴルシフテ・ファラハニ(アイシャ),オスカー・アイザック(バッサーム),サイモン・マクバーニー(ガーランド),アロン・アブトゥブール(アル・サリーム),アリ・スリマン(オマール・サディキ).
CIAアクションもの.
冒頭英国で特殊部隊がアパートの一室に突入を図る.中で働くアラブ人達,部隊が突入に踏み切るのと同時に気づいたアラブ人がスイッチを押す.大爆発が怒り跡形も無く吹っ飛び炎上するアパート.
イラクではCIAのエージェントフェリスが,上役のエドとやり合いながらこの爆破の黒幕アル・サリームを探っている.3
フェリスは根っからの現場人間,命を削りながら現地人のエージェントと組んで成果を上げていく.エドはアメリカのラングレーのCIA本部にいて,そのフェリスを無人飛行機からのモニタ映像で監視しながら次々に指示を出す.
情に流されながら自分の身を犠牲にして突っ走るフェリスは,たびたび非情で合理主義一辺倒のエドと対立する.
イラクで重傷を負いながらアル・サリームの手掛かりを掴んだフェリス,そのアジトはヨルダンにあった.エドの指示でヨルダンに飛んだフェリスはヨルダン情報部長ハニと会う.
ハニはアメリカ式合理主義を嫌い,自分に嘘はつくなとフェリスに求めるのだった….
「テロとの戦い」を戦うCIAの活動を描く映画.
お定まりの独善的アメリカ主義が描かれるが,登場人物は皆嘘つきである.それぞれが相手を騙すそのやりとりが物語の軸.2
但し独善的で嘘つきだが,皆真面目で一生懸命なのが現実とはちょっと違うと思う.現実にはもっと皆不真面目で腐敗していて荒廃しているんじゃないのか.
映画はアメリカ自身への辛辣な態度とエンタテインメントが,中途半端に同居しているのがうさんくさい.
結果はハッピーエンドだし,エドとフェリスは(フェリスの決別宣言にもかかわらず)これからも一緒にCIAをやっていくだろう,たぶん.1
アイシャが無条件にフェリスを好きになったり,彼女の回りのアラブ人が皆アメリカに行きたがっているというのも現実離れしている.
ディカプリオは必死にアクションしているが,映画全体としては,そうかなあという感じが残る.
★★★(★5個が満点)
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2009/05/20

独断的映画感想文:グラン・トリノ

日記:2009年5月某日
映画「グラン・トリノ」を見る.3
2008年.監督:クリント・イーストウッド.
出演:クリント・イーストウッド(ウォルト・コワルスキー),ビー・ヴァン(タオ・ロー),アーニー・ハー(スー・ロー),クリストファー・カーリー(ヤノビッチ神父),コリー・ハードリクト(デューク),ブライアン・ヘイリー(ミッチ・コワルスキー),ブライアン・ホウ(スティーブ・コワルスキー),ジェラルディン・ヒューズ(カレン・コワルスキー),ドリーマ・ウォーカー(アシュリー・コワルスキー).
映画の冒頭,葬儀に参列する人々.
棺の横に立つウォルトは参列者に挨拶を返すが,へそピアス姿で来る孫娘や,ふざけた祈りをする孫達に,苦虫をかみつぶした様な顔だ.亡妻に頼まれたからと繰り返し訪れ,懺悔を進めるルター派の若い神父にも悪態をついて追い返す.
フォードの組み立て工として生涯を過ごしてきたウォルトの唯一の平安は,ガレージにあるお気に入りの72年製のグラン・トリノを見て過ごすときだ.1
そんな彼が,隣に住む彼が嫌っていたアジア系モン族の姉弟と知り合いになる.
街で偶然におとなしい弟タオ,勇敢な姉スーを助けたことから,ウォルトは隣の家族から厚遇され,パーティーに招かれる.そこで彼は祈祷師のお告げを受ける.
一方,彼に追い払われたモン族の不良グループは姉弟に魔の手を伸ばしてきた….
ウォルトは言われているほどに孤独の人ではないと思う.なじみの床屋や,行きつけのバーの飲み友達がいる.
しかし家族はいない(彼の息子達は,すでに彼の家族ではなかった).
その彼がスー・タオの姉弟と親密になっていく過程は,何となく落語的なユーモアをもって巧みに語られる.
また彼を見立ててモン族の祈祷師が告げた言葉は,彼の心に深く残った様だ.彼は神父の元に懺悔をしに行き,その後不良グループから姉弟を守るために,ウォルトは単身彼らのアジトに乗り込んでいく….
エピローグは,プロローグ同様葬儀の場面から始まる.
最終場面で,グラン・トリノが明るい陽光を浴びて海岸線の道を走っていく.そこに重ねられるイーストウッド本人が歌う「グラン・トリノ」.2
ウォルトのアメリカは,誰に引き継がれどうなっていくのだろうと,思わずにいられない.気むずかしい老人の誇りと愛情が結実した結末に,涙を禁じ得なかった.
男がみんなこんな老人になったら若い人は迷惑至極であろうが,でもこんな老人になりたいものである.
俳優はイーストウッド本人はもちろんだが,床屋役のジョン・キャロル・リンチが良かった.彼がイーストウッドと二人でタオに「男の会話術」を仕込むシーンは,傑作.
一見の価値有り.
★★★★☆(★5個が満点)
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2009/05/16

独断的映画感想文:レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―

日記:2009年5月某日
映画「レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―」を見る.Redcliff23
2009年.監督:ジョン・ウー.
出演:トニー・レオン(周瑜),金城武(孔明),チャン・フォンイー(曹操),チャン・チェン(孫権),ヴィッキー・チャオ(尚香),フー・ジュン(趙雲),中村獅童(甘興)(特別出演)),リン・チーリン(小喬),ユウ・ヨン(劉備),ホウ・ヨン(魯粛),トン・ダーウェイ(孫叔材),ソン・ジア(驪姫),バーサンジャプ(関羽),ザン・ジンシェン(張飛),チャン・サン(黄蓋).
三国志の最大の山場,赤壁の闘いを2部作で描くそのPart2.Redcliff22
80万の大群で赤壁に攻め込んだ曹操軍に対し,5万で迎え撃つ劉備・孫権の連合軍.孫権の妹尚香は兵卒に身をやつして曹操軍に入り込みその陣構えを探る.
一方曹操軍には疫病が発生,曹操はその兵の死骸を船で対岸の劉備・孫権の陣へ送りつける.このため疫病は陣中に拡がり,堪りかねた劉備軍は撤兵を決意する.
孤立した孫権軍の大都督・周瑜は,残留した孔明と共に,10万の矢の調達と敵陣の水軍の指揮官の無力化に取り組む….Redcliff21
このあたりまでが前半で,後半は熟し切った戦機の中,決戦のタイミングを計る双方の駆け引きと,遂に切って落とされる赤壁の闘いを描く.
終盤の決戦のスペクタクルには,ただ身を任せて堪能するだけである.「ロード・オブ・ザ・リング」を思い起こさせる激しい戦闘スペクタクルだが,こちらの物語は人間対人間の闘いなので,敵味方間の人間のエピソードがまた印象的.
物語としては,決戦直前に孫権軍の将兵に尚香が雑煮を振る舞うシーン,その前夜に周瑜の愛妻小喬が単身敵陣に向かったことを知った将兵が大都督・周瑜を気遣い餅を一つずつ差し出す.その餅を一呑みに平らげて周瑜が勝利を誓う場面は感動的だ.Redcliff25
役者は皆それぞれに存在感があって見応えあり.長い映画を一気に見た.
エピローグも爽やかで,一見の価値あり.
★★★★☆(★5個が満点)
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2009/05/14

独断的映画感想文:トラ・トラ・トラ!

日記:2009年5月某日
映画「トラ・トラ・トラ!」を見る.06
1970年.監督:リチャード・フライシャー,舛田利雄,深作欣二.
出演:マーティン・バルサム(キンメル太平洋艦隊司令長官),山村聡(山本五十六海軍中将),ジェイソン・ロバーズ(ショート将軍),ジョセフ・コットン(スチムソン陸軍長官),三橋達也(源田少佐),ジェームズ・ホイットモア(ハルゼイ中将),東野英治朗(南雲中将),E・G・マーシャル(ブラットン大佐),田村高廣(淵田少佐),千田是也(首相近衛公爵),内田朝雄(東条英機),安部徹(大西参謀),エドモン・ライアン(ベリンジャー中将),島田正吾(野村駐米大使),ジョージ・マクレディ(ハル国務長官),エドワード・アンドリュース(スターク海軍作戦部長),キース・アンデス(マーシャル大将).野々村潔(東郷外相).
1941年の真珠湾奇襲を日米合作で描いた戦争巨編.CGも合成も使わない戦争映画,本当の雷撃機・爆撃機編隊,軍艦(とそのセット),生身の人間が演ずる大スペクタクルである.02
物語は言わずと知れた太平洋戦争開戦前後,前半では野村大使の活動と山本五十六の聯合艦隊司令長官就任,開戦に向けた日米双方の動きと情報戦が描かれる.後半は1941年12月7日(現地時間)朝の真珠湾を描く.
この映画で感じたことは二つあって,その1は戦争映画の痛快さだ.
こんなことを言っては罰が当たると思いつつも,艱難辛苦を乗り越えオアフ島に奇襲を敢行,美しい島の岬を巡り真珠湾に突っ込んでいく,その痛快さはどうだ.
艦載機を搭載した空母を中心とする機動部隊は当時世界最新の圧倒的戦力である.空母機動艦隊を持ち実戦を戦った国は今に至るまで英,米,日の3カ国しかない.そもそも機動艦隊とは….
いかん,軍事少年に戻ってしまった.それほどこの映画の真珠湾攻撃シーンは印象的なのだ.
一方,この映画の驚くべき特徴は日米の描写の公平さである.むしろ日本に「好意的」に描いている様だ.00
日本海軍雷撃機の練度の高さに比べ,ろくに命中しない米軍機の描写.攻撃シーンで殆ど反撃らしい反撃も出来ずに次々と壊滅していく米海軍艦船と地上の航空機.士気高い日本海軍に比べ,将校は無責任であわてふためくだけの米海軍.
しかしこの映画の真骨頂は山本五十六の最後の言葉にある.04
すなわち,野村大使の宣戦布告通知が,真珠湾攻撃より1時間以上遅れたことで,「真珠湾攻撃はむしろアメリカ人の勇猛心に火をつけてしまった」と独白して,長官は慨嘆するのである.
ここに来て,日本海軍の最高の奇襲攻撃は,アメリカの対日戦争に最悪の影響を与えたと記述されたのだ.この結末の余韻も,この映画の素晴らしさの要因だろう.
一見の価値有り.
★★★★☆(★5個が満点)
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2009/05/13

独断的映画感想文:サイドカーに犬

日記:2009年5月某日
映画「サイドカーに犬」を見る.2
2007年.監督:根岸吉太郎.
出演:竹内結子(ヨーコ),古田新太(近藤誠),松本花奈(近藤薫(20年前)),谷山毅(近藤透(20年前)),ミムラ(近藤薫(現在)),鈴木砂羽(近藤良子),トミーズ雅(浜口),山本浩司(渡辺寿男),寺田農(釣堀の主人),温水洋一(増田治五郎),伊勢谷友介(部屋の下見をする客),樹木希林(増田トメノ),椎名桔平(吉村).
ネタバレです,悪しからず.
不動産会社に勤める薫は30歳の独身.弟の結婚式に離婚した両親も出るという話を聞き,20年前,母が家出をした夏を思い出す.5
夏休みに入った朝母は家を出て行き,戻らなかった.
数日後,「晩ご飯を作りに」ヨーコさんという若い女が現れる.神経質な母に厳しく育てられた内気で真面目な薫にとり,アバウトで破天荒なヨーコさんの行動は吃驚することばかり.しかし自分を対等に扱い,自転車の練習も馬鹿にせず付き合ってくれるヨーコさんに,薫は次第に心を開いていく….
この映画は松本花奈の映画である.6
内気で真面目な女の子にとって,両親の不和→離婚は辛い.
母親がいなくなった後現れたヨーコさんとせっかく友達になったのに,夏の終わりに母親が現れ,ヨーコさんは去り,両親は結局離婚して薫は母方に引き取られてしまう.
薫が夢の様な幸せを味わった,父親のサイドカーに乗せてもらった夜のドライブ.
あの幸せを父親は何故駄目にしてしまったのか.自分は何故あのとき母方に引き取られてしまったのか.ヨーコさんのいる別の人生というものはあり得なかったのか.
そのことを数少ない台詞と顔つきや視線で演じきった松本花奈の演技(麦チョコを大人買いしてもらった時の瞬間的微笑み,大人達の話や動きを目で追い続ける緊張した動作等々)が素晴らしい.
最後の父親への「ワン」という抗議もいたいけで胸を打たれる.1
他に突っ込みたいところはいろいろあるが(竹内結子が古田新太の愛人だってのも,今ひとつ納得できない),松本花奈の演技ですべて許しちゃいます.
★★★☆
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2009/05/04

独断的映画感想文:宮廷画家ゴヤは見た

日記:2009年5月某日
映画「宮廷画家ゴヤは見た」を見る.5
2006年.監督:ミロス・フォアマン.出演:ハビエル・バルデム(ロレンソ神父),ナタリー・ポートマン(イネス・ビルバトゥア/アシリア),ステラン・スカルスガルド(フランシスコ・デ・ゴヤ),ランディ・クエイド(国王カルロス4世),ミシェル・ロンズデール(異端審問所長),ホセ・ルイス・ゴメス(トマス・ビルバトゥア),マベル・リベラ(マリア・イザベル・ビルバトゥア).18世紀末のスペイン.宮廷画家として最高位に上り詰めたゴヤは,神父ロレンソの肖像画を描いていた.ロレンソはカソリック教会の異端審問の強化を指揮する急進派,その異端審問の網に,裕福な証人の娘イネスが捉えられる.イネスもゴヤがその肖像画を手がけていた一人だった.商人トマスは娘を救うため,ゴヤを通じロレンソと接触を図る….1
物語は異端審問を指揮して権力を強めていたロレンソが,この事件で追放された後,15年の時を経てナポレオン軍と共に舞い戻りカトリックの権力を掌握する状況,またイネスと,彼女とロレンソのあいだに生まれた娘アリシアの運命を描いて進行していく.この映画では,ハビエル・バルデムとナタリー・ポートマンの好演・熱演を存分に味わうことができる.また,コスチュームプレイとしての美術的な楽しさも充分.一方でゴヤとその画,ゴヤと宮廷との関係に関しては描き方がもう一つである.ゴヤは王の画家として最高位にいながら,何故民衆の目線で描いた絵を一方で描くことができたのか.その複雑な構造をスルーしてしまった映画の構成が,ロレンソ神父の行動やそれに巻き込まれたイネスの悲劇性を,類型的な物語に留めてしまった様な気がする.4
それともゴヤのその辺りの状況については,教養として当然知っていなければいけないことだということかしら?
★★★☆
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2009/05/01

独断的映画感想文:チーム・バチスタの栄光

日記:2009年4月某日
映画「チーム・バチスタの栄光」を見る.2_2
2008年.中村義洋.
出演:竹内結子(田口公子),阿部寛(白鳥圭輔),吉川晃司(桐生恭一),池内博之(鳴海涼),玉山鉄二(酒井利樹),井川遥(大友直美),田口浩正(羽場貴之),田中直樹(氷室貢一郎),佐野史郎(垣谷雄次).
原作はミステリの大賞を受賞したベストセラーだが,未読.但しこの脚本は原作とはほど遠いものの様だ.
拡張型心筋症の手術バチスタ術は高難度の手術.
この手術を26回連続で成功させた外科医桐生率いるチーム・バチスタ.しかしその後3回連続して失敗してしまう.
病院長高階は,内部調査を心療内科医の田口に命じ,田口は手術の立ち合い・スタッフへのインタビューを開始する.
さしたる原因も見いだせず,原因不明と報告をまとめかけたとき,厚生労働省の切れ者・白鳥が乗り込んできて….1_2
この映画は(というのもおこがましい.まあ大スクリーンで見る土曜サスペンス劇場といったところだが),かなりむちゃくちゃである.
例えば,心療内科医田口が何故この調査に選ばれたのか,何の説明もなく何の理由も見いだし難い.この手の調査に能力がある訳でも経験がある訳でもなさそうである.
スタッフの看護師大友は,およそ心臓手術に立ち会う能力があるとは到底思えない未熟者である.何がチーム・バチスタか.3
またミステリと言いながら(言ってないのか?),最後に犯人が明かされるまでそれを示唆する様な事実や伏線は全く提示されない.観客は突然示される犯人とその根拠にただ呆然とするしかない.
この映画はひたすら竹内結子と阿部寛の演技を楽しめばよい映画である.吉川晃司もまあまあ.
ココリコ田中ははまり役ではあるが,お笑い芸人が映画に出るのは原則嫌いである,悪しからず.
原作が果たしてどんなものなのか,逆に読みたくなった.
★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:近松物語

日記:2009年4月某日
映画「近松物語」を見る.2
1954年.監督:溝口健二.
出演:長谷川一夫(茂兵衛),香川京子(おさん),南田洋子(お玉),進藤英太郎(大経師以春),小沢栄(助右衛門),菅井一郎(源兵衛),田中春男(岐阜屋道喜),石黒達也(院の経師以三),十朱久雄(鞠小路侍従),荒木忍(公卿の諸太夫),東良之助(赤松梅龍),橘公子(お蝶),浪花千栄子(おこう).
江戸時代の京の都,大経師の以春は暦の出版を免許され独占し,名字帯刀を許された豪商だが,世間体を何より気にする強欲な男.
後妻のおさんは,実家の兄から金の無心を頼み込まれ夫に言えず困っている.
おさんはその金の都合を手代の茂平に頼むが,引き受けた茂平は店の金を工面しようとして主人以春に知られ,厳しく叱責される.その上誤解が誤解を呼んで,おさん茂平は不義密通の疑いをかけられ,ともに店を飛び出してしまう….1
当初誤解による疑いをかけられ飛び出した二人だが,茂平は御店大事の生真面目な朴念仁,おさんは世間知らずの豪商の内儀に過ぎない.
その二人が運命にもてあそばれ,本気の恋に落ちていくその描写が何とも言えない.特に香川京子の息をのむほどの変貌,その美しさは筆舌に尽くし難い.
近松門左衛門-川口松太郎の物語が素晴らしい上,宮川一夫のカメラが魅力的.オープンセットや,そのセットで立ち働く商家の人たちの一人一人の所作まで絵になっていて,時代劇黄金時代の日本映画の,記念碑的作品と言える.
一見の価値有り.
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