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2009/05/14

独断的映画感想文:トラ・トラ・トラ!

日記:2009年5月某日
映画「トラ・トラ・トラ!」を見る.06
1970年.監督:リチャード・フライシャー,舛田利雄,深作欣二.
出演:マーティン・バルサム(キンメル太平洋艦隊司令長官),山村聡(山本五十六海軍中将),ジェイソン・ロバーズ(ショート将軍),ジョセフ・コットン(スチムソン陸軍長官),三橋達也(源田少佐),ジェームズ・ホイットモア(ハルゼイ中将),東野英治朗(南雲中将),E・G・マーシャル(ブラットン大佐),田村高廣(淵田少佐),千田是也(首相近衛公爵),内田朝雄(東条英機),安部徹(大西参謀),エドモン・ライアン(ベリンジャー中将),島田正吾(野村駐米大使),ジョージ・マクレディ(ハル国務長官),エドワード・アンドリュース(スターク海軍作戦部長),キース・アンデス(マーシャル大将).野々村潔(東郷外相).
1941年の真珠湾奇襲を日米合作で描いた戦争巨編.CGも合成も使わない戦争映画,本当の雷撃機・爆撃機編隊,軍艦(とそのセット),生身の人間が演ずる大スペクタクルである.02
物語は言わずと知れた太平洋戦争開戦前後,前半では野村大使の活動と山本五十六の聯合艦隊司令長官就任,開戦に向けた日米双方の動きと情報戦が描かれる.後半は1941年12月7日(現地時間)朝の真珠湾を描く.
この映画で感じたことは二つあって,その1は戦争映画の痛快さだ.
こんなことを言っては罰が当たると思いつつも,艱難辛苦を乗り越えオアフ島に奇襲を敢行,美しい島の岬を巡り真珠湾に突っ込んでいく,その痛快さはどうだ.
艦載機を搭載した空母を中心とする機動部隊は当時世界最新の圧倒的戦力である.空母機動艦隊を持ち実戦を戦った国は今に至るまで英,米,日の3カ国しかない.そもそも機動艦隊とは….
いかん,軍事少年に戻ってしまった.それほどこの映画の真珠湾攻撃シーンは印象的なのだ.
一方,この映画の驚くべき特徴は日米の描写の公平さである.むしろ日本に「好意的」に描いている様だ.00
日本海軍雷撃機の練度の高さに比べ,ろくに命中しない米軍機の描写.攻撃シーンで殆ど反撃らしい反撃も出来ずに次々と壊滅していく米海軍艦船と地上の航空機.士気高い日本海軍に比べ,将校は無責任であわてふためくだけの米海軍.
しかしこの映画の真骨頂は山本五十六の最後の言葉にある.04
すなわち,野村大使の宣戦布告通知が,真珠湾攻撃より1時間以上遅れたことで,「真珠湾攻撃はむしろアメリカ人の勇猛心に火をつけてしまった」と独白して,長官は慨嘆するのである.
ここに来て,日本海軍の最高の奇襲攻撃は,アメリカの対日戦争に最悪の影響を与えたと記述されたのだ.この結末の余韻も,この映画の素晴らしさの要因だろう.
一見の価値有り.
★★★★☆(★5個が満点)
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