独断的映画感想文:宮廷画家ゴヤは見た
日記:2009年5月某日
映画「宮廷画家ゴヤは見た」を見る.
2006年.監督:ミロス・フォアマン.出演:ハビエル・バルデム(ロレンソ神父),ナタリー・ポートマン(イネス・ビルバトゥア/アシリア),ステラン・スカルスガルド(フランシスコ・デ・ゴヤ),ランディ・クエイド(国王カルロス4世),ミシェル・ロンズデール(異端審問所長),ホセ・ルイス・ゴメス(トマス・ビルバトゥア),マベル・リベラ(マリア・イザベル・ビルバトゥア).18世紀末のスペイン.宮廷画家として最高位に上り詰めたゴヤは,神父ロレンソの肖像画を描いていた.ロレンソはカソリック教会の異端審問の強化を指揮する急進派,その異端審問の網に,裕福な証人の娘イネスが捉えられる.イネスもゴヤがその肖像画を手がけていた一人だった.商人トマスは娘を救うため,ゴヤを通じロレンソと接触を図る….
物語は異端審問を指揮して権力を強めていたロレンソが,この事件で追放された後,15年の時を経てナポレオン軍と共に舞い戻りカトリックの権力を掌握する状況,またイネスと,彼女とロレンソのあいだに生まれた娘アリシアの運命を描いて進行していく.この映画では,ハビエル・バルデムとナタリー・ポートマンの好演・熱演を存分に味わうことができる.また,コスチュームプレイとしての美術的な楽しさも充分.一方でゴヤとその画,ゴヤと宮廷との関係に関しては描き方がもう一つである.ゴヤは王の画家として最高位にいながら,何故民衆の目線で描いた絵を一方で描くことができたのか.その複雑な構造をスルーしてしまった映画の構成が,ロレンソ神父の行動やそれに巻き込まれたイネスの悲劇性を,類型的な物語に留めてしまった様な気がする.
それともゴヤのその辺りの状況については,教養として当然知っていなければいけないことだということかしら?
★★★☆
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