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2009年6月に作成された記事

2009/06/28

独断的映画感想文:ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛

日記:2009年6月某日
映画「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」を見る.2_2
2008年.監督:アンドリュー・アダムソン.
出演:ジョージー・ヘンリー(ルーシー・ペベンシー),スキャンダー・ケインズ(エドマンド・ペベンシー),ウィリアム・モーズリー(ピーター・ペベンシー),アナ・ポップルウェル(スーザン・ペベンシー),ベン・バーンズ(カスピアン王子),ピーター・ディンクレイジ(トランプキン),ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ(グロゼール),セルジオ・カステリット(ミラース),ワーウィック・デイヴィス(ニカブリク).
4人の「伝説の王」がナルニア国を離れて1300年(だそうである),ナルニア国は好戦的なテルマール人に支配され,生き残りの民は森に逃れた.
テルマールの王子カスピアンは,叔父の国王に男子が産まれ命を狙われる.家庭教師の博士の導きで森に逃げるが,追い詰められた王子は言い伝えの角笛を吹き鳴らすのであった….
この角笛に導かれ再びナルニア国にやってきたペベンシーの4兄弟が,カスピアン王子と共にテルマールの軍勢を倒し,ナルニアに平和を回復するまでの物語.3_2
子ども向けファンタジーだが150分の長編.
CGの出来は良いし波瀾万丈の物語も息をつかせない.動物たちのキャラクターも素敵だ.前作より明らかに成長した(特にエドマンドとルーシー)兄弟を見るのも楽しい.
しかしあくまでも子ども向けという感じ,大人のおじさんにはいろいろ湧いてくる疑問もある.
確かに血生臭いシーンはないけど,前半無謀に攻め込んで逃げ遅れ,殲滅されてしまうナルニア国軍の軍勢の無念さはどうなるのか.遺族達はどういう思いをするのか.
ミラースに忠誠を誓って万歳を叫ぶ人々と,そのすぐあとにカスピアン王子と4人の伝説の王の勝利に歓呼の声を送る人々とはどう違うのか.4
4人が帰っていく先は第2次大戦中のロンドンであるが,それにしては戦争の影などどこにもなさそうではないか.
そんなこと子ども映画相手に言ってもしょうがないか.
★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:歩いても歩いても

日記:2009年6月某日
映画「歩いても歩いても」を見る.3
2007年.監督:是枝裕和.
出演:阿部寛(横山良多),夏川結衣(良多の妻、ゆかり),YOU(良多の姉、ちなみ),高橋和也(ちなみの夫、信夫),田中祥平(横山あつし),寺島進,加藤治子,樹木希林(横山とし子),原田芳雄(横山恭平).
冒頭きんぴらを作るため大根とにんじんをささがきにしている母と娘.
横山家では長男純平の命日に家族が集まる,その準備をしているのだ.
父で開業医の恭平は,跡取りを亡くして失意のうちに最近廃業,妻とし子は夫と喧嘩しつつその世話にいそしむ.娘ちなみは親と同居しようと画策中,次男良多は父と折り合い悪く,気の進まないまま新婚の妻ゆかりとその連れ子あつしと共にやってくる.
その命日を挟む一両日を描くドラマ.2
この一家の歴史が随所に語られるが,それは全く日常的などこの家族にもある会話の中で提示される.その呼吸が見事.
頑固で怒りっぽいが今や家族に疎外されかけている父親,柔軟に受け答えするが芯が強く怖さも併せ持つとし子.その描き方は過不足なく面白い.
個人的には(僕も次男ですので)ゆかりととし子のやりとりは身の縮む記憶が蘇り,いささか緊張した.
エピローグで良多にも子どもができ車にも乗っている姿を見て一安心.
ところでさんざん同居をせがんでいたちなみの一家がエピローグに出てこないが,その後どうなったかが気になる.1
随所に示される3人の女性の料理シーンが味わいあり.
役者では樹木希林が圧倒的に良い.阿部寛はもっと別な役で見たいな(時代劇とか).
★★★☆(★5個が満点)

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2009/06/13

独断的映画感想文:ある光

日記:2009年6月某日
映画「ある光」を見る.3
2009年.監督・脚本・編集:高橋明大.
出演:足立智充(柚原卓人),柳沢茂樹(田伏悠),稲毛礼子(出口栞),上村 聡(南雲宗介),ホナガヨウコ(白石涼子),鈴木将一朗(蓼科富士夫),岸建太朗(会田繁),松永大輔(深町研二),渡邊 優(碓井英則),南波典子(野口文枝),宇野祥平(梶陸夫),笠木 泉(出口依子),戸田昌宏(出口真之).挿入歌『 マーガレット 』 THE YOUNG GROUP.
女とのいざこざに切れた男の無差別殺人で命を落とした出口栞.
その恋人田伏悠は彼女の死を受け入れ難く,その骨を口にすることで肉体を一体化しようと図る.
二人の大学時代からの友人で失職中の柚原卓人は,栞の死の現場に居合わせたが,事件後体の変調に気づく.4
栞の勤務していた出版社に出入りして彼女を見知っていたフリーライター南雲は,彼女の死を巡る状況を取材する.
栞の実の兄で小学校教師の真之は,不登校の宏の自宅を訪れる.彼は共稼ぎですれ違うことの多い妻依子との間の違和感を意識している.
宏の母文枝は,徘徊者に対して組織された自警団への参加要請に,違和感を表明する….
個人と家族,社会と個人の間の違和感,理解し合えない状況,それが生み出す悲劇的な結果を描く群像劇.
冒頭から緊張感にあふれた,共通のテンポで進む群像劇の展開が素晴らしい.2
特に,「犯人」と女の携帯の会話から始まるシークエンスの緊張感.暗転後挿入歌が流れ葬列が描かれるシーンの哀切感.主人公二人の痛切な喪失感の,それぞれの表現が心に残る.
時制を相前後しながら展開される群像劇は,解決ではなくカタストロフでもない不思議な(しかし明るい)結末に向け進行していく.
エピローグでの光あふれるシーン.「ある光」とは「光あれ」のことであったか?
一見の価値あり.
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2009/06/11

番外・独断的歌舞伎感想文:歌舞伎 6月大歌舞伎

日記:2009年6月某日.
歌舞伎座で6月大歌舞伎を見る.その感想.0906
「門出祝寿連獅子(かどんでいおうことぶきれんじし)四代目 松本金太郎 初舞台」.
右近後に仔獅子の精(染五郎),左近後に親獅子の精(幸四郎),里の女(芝雀),右近の妻(福助),里の男(松緑),樵人(高麗蔵),修行僧(友右衛門),左近の妻(魁春),大名某(梅玉),村の長(吉右衛門).
「極付幡随長兵衛(ばんずいちょうべえ)『公平法問諍』」
幡随院長兵衛(吉右衛門),水野十郎左衛門(仁左衛門),坂田公平(歌昇),御台柏の前(福助),子分極楽十三(染五郎),子分雷重五郎(松緑),子分神田弥吉(松江),子分小仏小平(男女蔵),子分閻魔大助(亀寿),子分瘡森団六(亀鶴),子分地蔵三吉(種太郎),倅長松(玉太郎),伊予守頼義(児太郎),坂田金左衛門(由次郎),慢容上人(家橘),渡辺綱九郎(友右衛門),出尻清兵衛(歌六),近藤登之助(東蔵),唐犬権兵衛(梅玉),女房お時(芝翫).
「梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)髪結新三」
髪結新三(幸四郎),弥太五郎源七(歌六),手代忠七(福助),下剃勝奴(染五郎),娘お熊(高麗蔵),下女お菊(宗之助),車力善八(錦吾),後家お常(家橘),家主女房おかく(萬次郎),家主長兵衛(彌十郎),加賀屋藤兵衛(彦三郎).
門出祝寿連獅子は4歳に成り立ての金太郎君初舞台,後見,松本錦吾の苦労が忍ばれる.連獅子では祖父幸四郎の振りが調子狂って金太郎君の方がのびのび振っているのが傑作.口上も福助・芝雀の話が面白かった.
幡随長兵衛は吉右衛門がさすがの台詞回し.
芝翫が玉太郎のおっかさんというのは,ちと無理がある.芝翫の芝居は悪くはなかったが.
劇中劇の歌昇が以外の熱演.児太郎は声変わりか.
髪結新三は,中盤の新三・幸四郎と家主長兵衛・彌十郎のやりとりが抱腹絶倒で大満足.
大詰めの様式美も歌舞伎らしくて良かった.
新三がただの髪結いではない悪党だが,一方で家主には頭の上がらぬ小物だという設定も面白い.見て損はなし,見応えのある芝居2題と華やかな襲名で満足度高し.
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2009/06/01

独断的映画感想文:バンク・ジョブ

日記:2009年5月某日
映画「バンク・ジョブ」を見る.Bankjob3
2008年.監督:ロジャー・ドナルドソン(世界最速のインディアン).
出演:ジェイソン・ステイサム(テリー・レザー),サフロン・バロウズ(マルティーヌ),リチャード・リンターン(ティム・エヴェレット),スティーヴン・キャンベル・ムーア(ケヴィン),ダニエル・メイズ(デイヴ),ピーター・ボウルズ(マイルズ・アークハート),キーリー・ホーズ(ウェンディ・レザー),コリン・サーモン(ハキム),ピーター・デ・ジャージー(マイケルX),ジェームズ・フォークナー(ガイ),シャロン・モーン(ソニア).
事実に基づく犯罪映画.
映画の冒頭,リゾートでセックスに興ずる若い男女を盗撮する男.一方,マイケルXと名乗る黒人運動指導者が王室関係者の乱交写真を種に検察を強請り,逮捕を免れているという話が当局者間で交わされる.
経営苦に悩む中古車販売業テリーのもとに昔なじみのモデル・マルティーヌが来て,ロイド銀行のセキュリティシステムがダウンする週末に,貸金庫を狙わないかと誘う.
実はマルティーヌはMI-5のティムに強要され,マイケルXの貸金庫にある王室乱交写真を盗み出すための作戦として,この強盗を持ちかけたのだった.Bankjob2
仲間を集めたテリーはトンネルを掘り,まんまとロイド銀行の貸金庫室からの強奪に成功するが,盗品の中にはティムも彼ら自身も想像もしなかったものが含まれていた….
盗品の中には王室乱交写真の他,娼館でSMプレイに興じる閣僚の写真,その娼館のオーナーが警官に送った賄賂の明細等々が含まれていた.しかも彼らの強奪作戦時の無線交信は,アマチュア無線家によって傍受録音されていた.
その盗品を巡って一斉に動き出す良い警官,悪い警官,MI-5,犯罪者群.果たしてテリー達の運命や如何に…という物語.
テンポ良く進行する複雑なプロット.一癖もふた癖もある登場人物も皆類型的ではあるが魅力的.
最後の大団円にいたる顛末はガイ・リッチー監督ものを見る様な鮮やかさで,これが事実に基づく物語とは吃驚である.
この映画の面白さには,イギリスという社会の不思議さもあるだろう.いかれた王室・貴族と付き合うかの国の国民も大変だろうなと思う.Bankjob4
最後に1場面だけ出るマウントバッテン伯爵が格好良かった(王室乱交写真を一瞥して,「お転婆娘だ」とテリーにウィンクを送るのだ).
記憶に依れば伯爵はこの数年後にIRAに爆殺される.見て損はない映画.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:浮草

日記:2009年5月某日
映画「浮草」を見る.5
1959年.監督:小津安二郎.
出演:中村鴈治郎(嵐駒十郎),京マチ子(すみ子),若尾文子(加代),川口浩(本間清),杉村春子(母お芳),野添ひとみ(「小川軒」のあい子),笠智衆(「相生座」の旦那),三井弘次(吉之助),田中春男(矢太蔵),入江洋吉(杉山),星ひかる(木村),潮万太郎(仙太郎),浦辺粂子(しげ),高橋とよ(あい子の母),桜むつ子(「梅廼家」おかつ),賀原夏子(八重).
志摩半島の海辺の街.旅回りの嵐駒十郎一座がやってくる.2_2
この街には駒十郎の愛人お芳が息子と共に住んでいて,駒十郎はお芳の兄と称して息子と会うのを楽しみにしている.
ところがその関係を一座の女優で現在の愛人すみ子に知られ,すみ子の嫉妬から事態は思わぬ方向に突き進むことになる….
鴈治郎と杉村春子,京マチ子の芝居を堪能する映画.3
20代であれば,例え監督が小津安二郎であっても,僕はこの映画になんの価値も認めなかったであろう.そもそもこの駒十郎という人物に魅力を感じなかったに違いない.
今の年になってこういう映画を見ると,駒十郎,お芳,すみ子のそれぞれの感情の動きが見当がつくと共にそれなりに受け入れられるのが,いわば年の功というべきものなのであろう.6
そこに面白さが生じ感動が生まれる.
駒十郎の役者としての・男としての矜持,親としての愛情,成熟した男としての決断とそれにも拘わらず愛人ともう一旗揚げようという矛盾した別の決断.これを演じる鴈治郎の演技は見応えあり.
その両脇でやり合う京マチ子・杉村春子も同様.4
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:団塊ボーイズ

日記:2009年5月某日
映画「団塊ボーイズ」を見る.003
2007年.監督:ウォルト・ベッカー.
出演:ジョン・トラヴォルタ(ウディ・スティーヴンス),ティム・アレン(ダグ・マドセン),マーティン・ローレンス(ボビー・デイヴィス),ウィリアム・H・メイシー(ダドリー・フランク),マリサ・トメイ(マギー),ジル・ヘネシー(ケリー・マドセン),レイ・リオッタ(ジャック),ケヴィン・デュランド(レッド),M・C・ゲイニー(マードック),ドミニク・ジェーンズ(ビリー・マドセン),ピーター・フォンダ(ダミエン・ブレイド).
それぞれ生活に行き詰まっているバイクが趣味の中年男4人組が,ふとしたきっかけで西海岸までのツーリングに出かけるという冒険コメディ.
型どおりの展開でお気楽に楽しめる愉快な映画.途中のバイカー酒場を根城にする不良バイカーの親玉レイ・リオッタが素敵.001
もっと素敵なのは,大詰めで場を納めに登場するその父親ピーター・フォンダか.
全体の雰囲気はほどよくいい加減でリラックスできる.
冒頭のスペンサー・デイヴィス・グループの「ギミ・サム・ラヴィン」や,最後のビーチ・ボーイズの「グッド・バイヴレーション」等,音楽も趣味が良い.あははあははと笑って一気に終わりまで.
因みに彼らのチーム名ワイルド・ホッグスのホッグは豚のことだが,ハーレイ・ダビッドソンの俗称でもあるそうな.
★★★(★5個が満点)
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