独断的映画感想文:浮草
日記:2009年5月某日
映画「浮草」を見る.
1959年.監督:小津安二郎.
出演:中村鴈治郎(嵐駒十郎),京マチ子(すみ子),若尾文子(加代),川口浩(本間清),杉村春子(母お芳),野添ひとみ(「小川軒」のあい子),笠智衆(「相生座」の旦那),三井弘次(吉之助),田中春男(矢太蔵),入江洋吉(杉山),星ひかる(木村),潮万太郎(仙太郎),浦辺粂子(しげ),高橋とよ(あい子の母),桜むつ子(「梅廼家」おかつ),賀原夏子(八重).
志摩半島の海辺の街.旅回りの嵐駒十郎一座がやってくる.
この街には駒十郎の愛人お芳が息子と共に住んでいて,駒十郎はお芳の兄と称して息子と会うのを楽しみにしている.
ところがその関係を一座の女優で現在の愛人すみ子に知られ,すみ子の嫉妬から事態は思わぬ方向に突き進むことになる….
鴈治郎と杉村春子,京マチ子の芝居を堪能する映画.
20代であれば,例え監督が小津安二郎であっても,僕はこの映画になんの価値も認めなかったであろう.そもそもこの駒十郎という人物に魅力を感じなかったに違いない.
今の年になってこういう映画を見ると,駒十郎,お芳,すみ子のそれぞれの感情の動きが見当がつくと共にそれなりに受け入れられるのが,いわば年の功というべきものなのであろう.
そこに面白さが生じ感動が生まれる.
駒十郎の役者としての・男としての矜持,親としての愛情,成熟した男としての決断とそれにも拘わらず愛人ともう一旗揚げようという矛盾した別の決断.これを演じる鴈治郎の演技は見応えあり.
その両脇でやり合う京マチ子・杉村春子も同様.
★★★☆(★5個が満点)
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