独断的映画感想文:バンク・ジョブ
日記:2009年5月某日
映画「バンク・ジョブ」を見る.
2008年.監督:ロジャー・ドナルドソン(世界最速のインディアン).
出演:ジェイソン・ステイサム(テリー・レザー),サフロン・バロウズ(マルティーヌ),リチャード・リンターン(ティム・エヴェレット),スティーヴン・キャンベル・ムーア(ケヴィン),ダニエル・メイズ(デイヴ),ピーター・ボウルズ(マイルズ・アークハート),キーリー・ホーズ(ウェンディ・レザー),コリン・サーモン(ハキム),ピーター・デ・ジャージー(マイケルX),ジェームズ・フォークナー(ガイ),シャロン・モーン(ソニア).
事実に基づく犯罪映画.
映画の冒頭,リゾートでセックスに興ずる若い男女を盗撮する男.一方,マイケルXと名乗る黒人運動指導者が王室関係者の乱交写真を種に検察を強請り,逮捕を免れているという話が当局者間で交わされる.
経営苦に悩む中古車販売業テリーのもとに昔なじみのモデル・マルティーヌが来て,ロイド銀行のセキュリティシステムがダウンする週末に,貸金庫を狙わないかと誘う.
実はマルティーヌはMI-5のティムに強要され,マイケルXの貸金庫にある王室乱交写真を盗み出すための作戦として,この強盗を持ちかけたのだった.
仲間を集めたテリーはトンネルを掘り,まんまとロイド銀行の貸金庫室からの強奪に成功するが,盗品の中にはティムも彼ら自身も想像もしなかったものが含まれていた….
盗品の中には王室乱交写真の他,娼館でSMプレイに興じる閣僚の写真,その娼館のオーナーが警官に送った賄賂の明細等々が含まれていた.しかも彼らの強奪作戦時の無線交信は,アマチュア無線家によって傍受録音されていた.
その盗品を巡って一斉に動き出す良い警官,悪い警官,MI-5,犯罪者群.果たしてテリー達の運命や如何に…という物語.
テンポ良く進行する複雑なプロット.一癖もふた癖もある登場人物も皆類型的ではあるが魅力的.
最後の大団円にいたる顛末はガイ・リッチー監督ものを見る様な鮮やかさで,これが事実に基づく物語とは吃驚である.
この映画の面白さには,イギリスという社会の不思議さもあるだろう.いかれた王室・貴族と付き合うかの国の国民も大変だろうなと思う.
最後に1場面だけ出るマウントバッテン伯爵が格好良かった(王室乱交写真を一瞥して,「お転婆娘だ」とテリーにウィンクを送るのだ).
記憶に依れば伯爵はこの数年後にIRAに爆殺される.見て損はない映画.
★★★☆(★5個が満点)
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