独断的映画感想文:レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
日記:2009年7月某日
映画「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」を見る.
2008年.監督:サム・メンデス.
出演:レオナルド・ディカプリオ(フランク・ウィーラー),ケイト・ウィンスレット(エイプリル・ウィーラー),キャシー・ベイツ(ヘレン・ギヴィングス夫人),マイケル・シャノン(ジョン・ギヴィングス),キャスリン・ハーン(ミリー・キャンベル),デヴィッド・ハーバー(シェップ・キャンベル),ゾーイ・カザン(モーリーン・グラブ).
1950年代のコネチカット州,パーティーで知り合ったフランクとエイプリルは,二人の子供に恵まれ小高い丘の白い家に住み,誰からも理想の夫婦と見られるカップルだった.
しかしフランクは父も勤めた大手企業ノックス社の営業担当でうだつが上がらず,エイプリルは女優志望だったが予期せぬ妊娠で家庭に入った.エイプリルが主演を勤めた市民劇団の公演が惨憺たる出来に終わった夜,二人は激しい諍いを起こす….
その後フランクが職場のタイピストと浮気した晩,エイプリルは意外な提案を持ち出す.フランクが戦時中赴任していたパリに一家で移住しよう,自分が働くからフランクは新しい人生の目的を探せば良い.
最初は乗り気でなかったフランクもその熱意に押され移住を決意する.
ところが会社では肩から力が抜け,提出したレポートが重役の目にとまり思わぬ出世の道が開けることとなる.一方エイプリルは3人目の子供を妊娠してしまった….
30前の若い夫婦時代には,自分たちは特別な人間だ,あるいは自分たちは特別なカップルだという思いを持つことはあり得ることである.
その意味でこの二人も,フランクが子供っぽくエイプリルがやや偏執的なことを除けば,特に異常なカップルではない.
それがパリ移住という夢に拘り始めてから歯車が狂ったようで,その悲劇的結末には暗澹とした思いがする.
どのシーンも,自分に引き替えてもあり得たかも知れない行き違いや暴発的な諍いの連続で,何故こうなってしまうのかという思いにとらわれる.
デカプリオとケイトはともに素晴らしい出来.二人を理想の夫婦と持ち上げて何かと介入し,挙げ句に自分のノイローゼの息子を紹介して(この息子が実に的確に夫婦の心理的弱点を攻撃し続ける)二人に大きなダメージを与える不動産業者をキャシー・ベイツが例のごとく好演.
カメラが美しく音楽も素晴らしい.結末はアンハッピーだが,映画は素敵.
★★★★(★5個が満点)
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