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2009年7月に作成された記事

2009/07/27

独断的映画感想文:1408号室

日記:2009年7月某日
映画「1408号室」を見る.
2007年.監督:ミカエル・ハフストローム.14081
出演:ジョン・キューザック(マイク・エンズリン),サミュエル・L・ジャクソン(オリン支配人),メアリー・マコーマック,トニー・シャルーブ,ジャスミン・ジェシカ・アンソニー.
スティーヴン・キング原作のホラー映画.
マイクは幽霊や怪談話のあるホテル,心霊スポットをルポしてレポートを書く作家,一切の怪奇現象を信じない彼は,しかし娘の病死というトラウマを抱え,妻と別居中の身の上である.
ある日彼の元に「1408号室には入るな」と書かれた葉書が届く.そのドルフィン・ホテルの1408号室で宿泊客の事故死が相次いでいることを調べた彼は,ホテルに乗り込んで1408号室への宿泊を要求する.
対応した支配人はその部屋で既に56人が死んでいることを説明し,思いとどまらせようとするがマイクは聞かない.
遂にマイクはその部屋に宿泊することになったのだが….
まあこの後は典型的な不条理ホラー.14082
内容は同じ原作者の「シャイニング」を思わせるが,この映画,一つの根本的な疑問がぬぐいきれない.それはこの怪奇物語全体が主人公の主観世界の話ではないかという疑問である.
主人公の主観世界ではないことを明確に示す境界線は,きわめて少ないか薄弱なものだ.
支配人が主人公の生み出した幻覚ではないという根拠は特にない.
主人公と唯一コミュニケートする外の世界の存在は妻のリリーだが,彼女にしても映画の記述の中で客観的に存在しているようには描かれていない.そこが「シャイニング」とは違うところだ.
「シャイニング」では邪悪な意志を誇示するホテル,そのホテルにとりつかれた主人公,外部に脱出しようとする妻,外部から救援に向かったホテル従業員という構成がはっきり描かれていた.
結局主人公の妄想を見せられていたのではないか,という疑問があったため,殆ど怖さを感じることはなかった(吃驚はしたけれど).
そういう意味で,僕にとっては残念な映画.
だいたいホテルの部屋に放火したら普通は捕まるだろうに.
★★★(★5個が満点)
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2009/07/25

独断的映画感想文:幸せの1ページ

日記:2009年7月某日
映画「幸せの1ページ」を見る.11
2008年.監督:マーク・レヴィン/ジェニファー・フラケット.
出演:アビゲイル・ブレスリン(ニム・ルソー),ジョディ・フォスター(アレクサンドラ・ローバー),ジェラルド・バトラー(アレックス・ローバー/ジャック・ルソー).
児童文学を原作にした冒険ファンタジー.
海洋生物学者の父ジャックと2人きりで南海の火山島に住むニムは元気な女の子.アレックス・ローバーを主人公とする冒険小説シリーズが大のお気に入りだ.
一方その冒険小説の作者・アレクサンドラ・ローバーは,実は極度の潔癖症で対人恐怖症の引きこもり.次回作のネタにつまり,火山のことを知ろうとジャックにメールを送ってくる.12
そのときジャックは採集のため海に出て嵐に遭い,船は大破.
連絡のつかない父を案じるニムだが,アレクサンドラのメールを見て主人公本人からのメールと思い欣喜雀躍,メールの要請に従って一人火山に登って噴火口を観察する.
その時沖から海賊船(と思われる)が島に接近するのを発見,父は帰らず海賊は跳梁,おまけに怪我までしてしまったニムは,すぐに助けに来て!!とアレックス宛にメールを送るのだが….
このメールに応えてはるばるやってくるアレクサンドラの珍道中と,海賊(?)たちとニムとの戦い,父ジャックの運命や如何に.
鉄の女(を普段は演じる)ジョディ・フォスターと「300」のマッチョ,ジェラルド・バトラーを従え主演を張るアビゲイルが天晴れ天晴れ.13
どんどん綺麗になっていくし,いたいけで無心な笑顔は健在だし,言うことはありません.
まあ子供向け冒険ファンタジーだから突っ込みどころは山ほどあるが,そんなことどうだって良いじゃありませんか,
楽しい映画です.動物キャラも可愛いし.こういう映画,撮ってる方も楽しいでしょうな.
★★★☆(★5個が満点)
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2009/07/21

独断的映画感想文:レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで

日記:2009年7月某日
映画「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」を見る.Revolutionaryload3
2008年.監督:サム・メンデス.
出演:レオナルド・ディカプリオ(フランク・ウィーラー),ケイト・ウィンスレット(エイプリル・ウィーラー),キャシー・ベイツ(ヘレン・ギヴィングス夫人),マイケル・シャノン(ジョン・ギヴィングス),キャスリン・ハーン(ミリー・キャンベル),デヴィッド・ハーバー(シェップ・キャンベル),ゾーイ・カザン(モーリーン・グラブ).
1950年代のコネチカット州,パーティーで知り合ったフランクとエイプリルは,二人の子供に恵まれ小高い丘の白い家に住み,誰からも理想の夫婦と見られるカップルだった.
しかしフランクは父も勤めた大手企業ノックス社の営業担当でうだつが上がらず,エイプリルは女優志望だったが予期せぬ妊娠で家庭に入った.エイプリルが主演を勤めた市民劇団の公演が惨憺たる出来に終わった夜,二人は激しい諍いを起こす….Revolutionaryload5
その後フランクが職場のタイピストと浮気した晩,エイプリルは意外な提案を持ち出す.フランクが戦時中赴任していたパリに一家で移住しよう,自分が働くからフランクは新しい人生の目的を探せば良い.
最初は乗り気でなかったフランクもその熱意に押され移住を決意する.
ところが会社では肩から力が抜け,提出したレポートが重役の目にとまり思わぬ出世の道が開けることとなる.一方エイプリルは3人目の子供を妊娠してしまった….
30前の若い夫婦時代には,自分たちは特別な人間だ,あるいは自分たちは特別なカップルだという思いを持つことはあり得ることである.Revolutionaryload4
その意味でこの二人も,フランクが子供っぽくエイプリルがやや偏執的なことを除けば,特に異常なカップルではない.
それがパリ移住という夢に拘り始めてから歯車が狂ったようで,その悲劇的結末には暗澹とした思いがする.
どのシーンも,自分に引き替えてもあり得たかも知れない行き違いや暴発的な諍いの連続で,何故こうなってしまうのかという思いにとらわれる.Revolutionaryload6
デカプリオとケイトはともに素晴らしい出来.二人を理想の夫婦と持ち上げて何かと介入し,挙げ句に自分のノイローゼの息子を紹介して(この息子が実に的確に夫婦の心理的弱点を攻撃し続ける)二人に大きなダメージを与える不動産業者をキャシー・ベイツが例のごとく好演.
カメラが美しく音楽も素晴らしい.結末はアンハッピーだが,映画は素敵.Revolutionaryload2_2
★★★★(★5個が満点)
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2009/07/18

独断的映画感想文:その土曜日、7時58分

日記:2009年7月某日
映画「その土曜日、7時58分」を見る.05
2007年.監督:シドニー・ルメット.
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン(アンディ・ハンソン),イーサン・ホーク(ハンク・ハンソン),マリサ・トメイ(ジーナ・ハンソン),アルバート・フィニー(チャールズ・ハンソン),ブライアン・F・オバーン(ボビー),ローズマリー・ハリス(ナネット・ハンソン).
映画の冒頭は激しいFUCKシーン.P.S.ホフマンとマリサ・トメイの猛烈なからみに吃驚.
次のシーンでは朝宝石店に出勤する老婦人,店を開ける支度をしていると入り口から拳銃強盗が入ってくる.
ショウケースが開けられずいらだつ男に老婦人は発砲,男も反撃するが絶命,婦人も重傷を負う.
次はそれから3日前のシーン,アンディが弟ハンクに宝石店強盗を持ちかけている,という具合に強盗事件を様々な立場から時間を行き来して描きながら映画は進行.
アンディは不動産会社の財務を担当しながら,薬漬けで会社の金に手をつけている.ハンクは仕事は半人前だが女に手を出し離婚,愛娘の養育費も滞りがちの借金漬けだが,今は兄嫁と不倫関係.
二人が襲おうという宝石店は実は両親の店で,勝手知ったる店の様子,土曜はパートのばあさんしかいないからおもちゃの拳銃で有り金をさらってくる,保険がかかっているから実害はない,という計画は万全と見えたのだが….03
アンディは顔が知れているからと実行をハンクに任せ,ハンクは怖くて実行をプロのボビーに任せてしまう.
店にいたのはパートではなく母親本人で,母親は病院で死亡,親子を巡る運命の歯車は恐ろしい回転を始める….
プロットにはそれほど感心しなかったが,P.S.ホフマンやイーサン・ホーク,アルバート・フィニー等の演技はなかなかの見物.
イーサン・ホークの何をやっても駄目な男ぶりがぞくぞくするほど良い.兄嫁を見上げる,気の弱そうなしかし狡そうな目つきとか最高.
その兄嫁を演ずるマリサ・トメイはつい最近「レスラー」でたそがれの気の良いストリッパー役を演じていたが,本作でも冒頭からエンジン全開の脱ぎっぷりで(失礼),目を見張る活躍.01
全体としては父と子の葛藤の原因とかよく判らなかったり,切れの良い脚本とは言えないが,テンポは良く面白かった.
原題は映画の冒頭に示される「あんたの死に悪魔が感づく,その半時間前に天国に行けますように!」というアイルランドの乾杯の言葉から取っているそうだが,邦題には余り感心しません.原題の雰囲気を残せなかったものか.
★★★☆(★5個が満点)
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2009/07/13

独断的映画感想文:最後の初恋

日記:2009年7月某日
映画「最後の初恋」を見る.2
2008年.監督:ジョージ・C・ウルフ.
出演:リチャード・ギア(ポール・フラナー),ダイアン・レイン(エイドリアン),スコット・グレン(ロバート),ジェームズ・フランコ(マーク・フラナー),クリストファー・メローニ(ジャック),ヴィオラ・デイヴィス(ジャン).
ロマンスとしてはオーソドックスな映画.
夫と別居中のエイドリアンは,娘と息子が夫の元に泊まりに行った週末,友人の海岸のペンションの留守番に行く.1
友人は旅行に出て,留守中には客は1名のみ.ただその週末海岸をハリケーンが襲う予報が出ていて….
この設定から想像される通りの恋愛劇です.その意味では平凡.
メッセージ・イン・ア・ボトル」というケビン・コスナーの映画を思い出しました.
ダイアン・レインは好きです.
1984年の「ストリート・オブ・ファイヤー」以来のファン.良い感じに年取っていますね.この映画は彼女の魅力を楽しめます.俳優では他にスコット・グレンも良かった.7
もう一つこの映画の主人公は,海岸に建つペンションそのもの.こういう建物が舞台ってのも映画ならではの楽しみですね.
原作のニコラス・スパークスは「きみに読む物語」の作者でもある.
そういえば,この映画の最後に近いシーン,エイドリアンがポールの手紙を読んでいる部屋の壁に掛かっている絵(写真?)は,「きみに読む物語」の冒頭のシーンを思わせる夕暮れの川の景色だ.4
★★★☆(★5個が満点)
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2009/07/09

独断的映画感想文:レスラー

日記:2009年7月某日
映画「レスラー」を見る.4_2
2008年.監督:ダーレン・アロノフスキー.
出演:ミッキー・ローク(ランディ・ロビンソン),マリサ・トメイ(キャシディ),エヴァン・レイチェル・ウッド(ステファニー),マーク・マーゴリス,トッド・バリー.
20年前に絶頂期にあったプロレスラー・ランディ.今も小規模な小屋で試合をやってはスーパーの倉庫係でバイトして糊口をしのぐ.
身体はがたがただが,試合では手を抜かず,鉄条網やガラス釘カッターなどの凶器で血だらけになりながら,コーナーポストからダイブする決め技で客を熱狂させる.2
ところがある日,壮絶な試合後控え室で意識を失ってしまったランディ,気がつくと病院のベッドの上,心臓発作を起こして冠動脈のバイパス手術を受けたのだ.医者からはプロレスは無理と引導を渡され退院.
無頼の生活の末に大学生の娘とは義絶状態だったが,馴染みの店のストリッパー・キャシディの助言でプレゼントを持って行き,何とか心を開いて貰う.
バイトをしていたスーパーも正職員で雇ってくれた.キャシディも彼を好いていてくれているようだ.ランディの引退生活は軌道に乗るかと思われたのだが….1
あの甘いマスクで80年代人気絶頂だったミッキー・ロークが,肉体改造してカムバックした久々の主演映画.やさぐれの老レスラーをこの人が演じると何とも切ない.
物語は詰めの甘いところが随所に見られるが(父親を嫌い抜いていた娘が,コートとセーターで機嫌直しちゃうなんて),そんなことはどうでも良いのだ.
終盤スーパーの店内で血だらけの姿で泣き叫ぶランディの姿,その大いなる悲しみに胸が詰まる.
最後に臨んだ試合のマイクパフォーマンスにも涙を禁じ得ない.3
これは映画への共感も勿論あるが,それと同時に人生に不器用な大男に対する共感でもあり,ミッキー・ロークという個人の人生に対する思いでもある.
「シン・シティ」や「ドミノ」での存在感は別のミッキー・ロークだった.
ランディはあの80年代のミッキー・ロークが今に至った姿を示しているのだ.そこに感動を覚えるのである.そういう意味で,一見の価値有り.★★★★(★5個が満点)
蛇足:ストリッパー役のマリサ・トメイが御年44歳だというのも吃驚.こちらも一見の価値有り(失礼).
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2009/07/05

独断的映画感想文:ペイルライダー

日記:2009年7月某日
映画「ペイルライダー」を見る.4
1985年.監督:クリント・イーストウッド.
出演:クリント・イーストウッド,マイケル・モリアーティ,キャリー・スノッドグレス,シドニー・ペニー,リチャード・キール,クリストファー・ペン,リチャード・ダイサート,ダグ・マクグラス,ジョン・ラッセル,チャールズ・ハラハン,マーヴィン・J・マッキンタイア.
冒頭,山を越えて馬を駆ってくる十数人の男達.
彼らは山間のカーボン渓谷で金採掘に従事する村を襲い,牛と飼い犬を射殺,家やキャンプを破壊して去っていく.5
襲った男達は大規模に金採掘を営むラフッド家の手下達,唯一独自の採掘権を保持しているカーボン渓谷への嫌がらせである.
渓谷の住人ハルは町に資材調達に行くが,ラフッド家の部下に捕まり袋だたきにされる.そこに通りかかった流れ者の男が逆にラフッドの手下達を叩きのめし,ハルと共に渓谷に帰ってそこに逗留することになる.
男は実は牧師だった.3
渓谷の住人はこの腕っ節の強い牧師のもとに団結して,ラフッド一家に当たろうと考える….
「ペイルライダー」とは黙示録に出る4騎士のうちの,青ざめた馬に乗る「死」のことを言う.
まさにラフッド一家にとっては「死」そのものであるこの牧師の登場は,パターン的には「シェーン」のそれと近いだろう.15歳の少女メイガンや,その母親サラとの交流も,「シェーン」を思わせる.2
違うのは正義の味方が牧師でかつガンマンであったというところか.その牧師の背中には多数の銃弾の痕.ラストシーンで彼に射殺された保安官の背中の銃痕とダブるのは何を物語るのか.
ストーリー展開には多少整理のつかないものもあるが(サラとメイガンに対する「牧師」の態度にはいまいち納得できないものがある),ウエスタンとして一見の価値あり.1
★★★☆(★5個が満点)
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2009/07/04

独断的映画感想文:クライマーズ・ハイ

日記:2009年7月某日
映画「クライマーズ・ハイ」を見る.7
2008年.監督:原田眞人.
出演:堤真一(悠木和雄),堺雅人(佐山達哉),尾野真千子(玉置千鶴子),高嶋政宏(安西耿一郎),山崎努(白河頼三),遠藤憲一(等々力庸平),田口トモロヲ(岸円治),堀部圭亮(田沢善吉),マギー(吉井弁次郎),滝藤賢一(神沢周作),皆川猿時(伊東康男),でんでん(亀嶋正雄),中村育二(粕谷隆明),螢雪次朗(追村穣),野波麻帆(黒田美波),西田尚美(安西小百合),小澤征悦(安西燐太郎).
日航ジャンボ機墜落事故に際し,群馬の地方紙のデスクを勤めた悠木を通して描く,記者達の悪戦苦闘.
登山を愛する悠木が友人の安西と谷川岳に向かおうという夜,日航ジャンボ機が行方不明になる.日航機事故の全権デスクを命じられた悠木は,不眠不休で記事の収集に努める.4
社内の上層部や販売部門,オーナー社長との軋轢に苦しみつつ,悠木は若手を統率しスクープを狙い地方紙の存在感を示そうと,必死の戦いを展開する….
現在の谷川岳ロッククライミング(悠木と安西の息子燐太郎とが登る)を挟みながら語られるこの大事故の取材ドラマは,ドキュメンタリーのように進行し,その迫力とスリルはなかなかのものだ.
大久保連赤(殺人鬼大久保清と連合赤軍事件が成功体験だったのか?)と揶揄される古い世代の上司との,凄まじい闘争と他方での共闘も印象的.見て損はない映画.
ただ原作がそうなのかとにかくエピソードが多い.2
触れられたままほったらかしのものもある.
安西は(あの晩くも膜下出血を起こしていたのだ)その後どうなったのか,悠木の別れた妻はどうなったか,遭難者名簿の子供の名前を見てぎくりとした悠木の驚きは何だったのか(彼自身の息子かと思ったが,結局息子と同い年という程度のことだろうと推測する),その辺のごちゃごちゃ感が惜しい.1
役者は豪華,昔朝日新聞にいた友人のT君そっくりの遠藤憲一(大好き)や,目立たず出ている西田尚美,でんでんが素敵.
田口トモロヲと螢雪次朗の競輪選手中野浩一を巡る話など,本筋ではないのだが絶品である.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:愛を読む人

日記:2009年6月某日
映画「愛を読むひと」を見る.Reader02
2008年.監督:スティーヴン・ダルドリー.
製作:製作:アンソニー・ミンゲラ,シドニー・ポラック.
出演:ケイト・ウィンスレット(ハンナ・シュミッツ),レイフ・ファインズ(マイケル・バーグ),デヴィッド・クロス(青年時代のマイケル・バーグ),レナ・オリン(ローズ・メイザー/イラナ・メイザー),アレクサンドラ・マリア・ララ(若き日のイラナ・メイザー),ブルーノ・ガンツ(ロール教授).
1958年ベルリン.15歳のマイケルは,下校途中気分が悪くなりとあるアパートの入り口で嘔吐,そのアパートの住人ハンナに世話になる.
病気が治り,花を持ってお礼に行ったマイケルは,そのハンナの着替え姿を目にしたことから彼女と深い仲になる.Reader01
36歳の彼女は本を朗読して貰うことを好み,いつしか本を朗読してはベッドをともにするのが彼らの習慣となった.夢のような日々に有頂天になるマイケル,しかしハンナはある日忽然と姿を消した.
幾年かが経ち,法科学生になったマイケルは,思わぬ場所でハンナと再開することになる….
ベストセラー「朗読者」の映画化.原作は6年前と今年と2回読んだ.
なかなか味わいのある小説で,特にハンナの抱えた秘密とそれに対するマイケルの対応が,余韻のあるエンディングに繋がっている.その原作の映画化として充分満足できる内容だった.
特にケイト・ウィンスレットが良い.Reader04
かっての職業を思わせる鋭い目つきと苦悩に満ちた面影.セックスシーンが話題だが,それは美しいと言うより生々しいといった方が良いだろう.
そのセックスシーンが物語る二人の関係が,マイケルの生涯をあのように拘束することになろうとは.第2次世界大戦の今に続く傷跡を背景に,描かれるマイケルの生涯が印象的.
原作にない娘ジュリアとのエピローグが良かった.
他のブログでも言及があったが,邦題は原題通り「朗読者」とするべきであった.ベストセラーの原作に対する敬意があるべきだ.
また主人公の名前も原作通りミヒャエルであるべきだろう.
★★★★(★5個が満点)Reader05

蛇足だが教授役のブルーノ・ガンツはかってヒトラーを演じたことが強烈に脳裏に残っている.その当人がナチを裁く裁判を傍聴しているのは,不思議な感じ.
そういえばその映画で競演しているアレクサンドラ・マリア・ララもこの映画に出ているのだ.
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