独断的映画感想文:愛を読む人
日記:2009年6月某日
映画「愛を読むひと」を見る.
2008年.監督:スティーヴン・ダルドリー.
製作:製作:アンソニー・ミンゲラ,シドニー・ポラック.
出演:ケイト・ウィンスレット(ハンナ・シュミッツ),レイフ・ファインズ(マイケル・バーグ),デヴィッド・クロス(青年時代のマイケル・バーグ),レナ・オリン(ローズ・メイザー/イラナ・メイザー),アレクサンドラ・マリア・ララ(若き日のイラナ・メイザー),ブルーノ・ガンツ(ロール教授).
1958年ベルリン.15歳のマイケルは,下校途中気分が悪くなりとあるアパートの入り口で嘔吐,そのアパートの住人ハンナに世話になる.
病気が治り,花を持ってお礼に行ったマイケルは,そのハンナの着替え姿を目にしたことから彼女と深い仲になる.
36歳の彼女は本を朗読して貰うことを好み,いつしか本を朗読してはベッドをともにするのが彼らの習慣となった.夢のような日々に有頂天になるマイケル,しかしハンナはある日忽然と姿を消した.
幾年かが経ち,法科学生になったマイケルは,思わぬ場所でハンナと再開することになる….
ベストセラー「朗読者」の映画化.原作は6年前と今年と2回読んだ.
なかなか味わいのある小説で,特にハンナの抱えた秘密とそれに対するマイケルの対応が,余韻のあるエンディングに繋がっている.その原作の映画化として充分満足できる内容だった.
特にケイト・ウィンスレットが良い.
かっての職業を思わせる鋭い目つきと苦悩に満ちた面影.セックスシーンが話題だが,それは美しいと言うより生々しいといった方が良いだろう.
そのセックスシーンが物語る二人の関係が,マイケルの生涯をあのように拘束することになろうとは.第2次世界大戦の今に続く傷跡を背景に,描かれるマイケルの生涯が印象的.
原作にない娘ジュリアとのエピローグが良かった.
他のブログでも言及があったが,邦題は原題通り「朗読者」とするべきであった.ベストセラーの原作に対する敬意があるべきだ.
また主人公の名前も原作通りミヒャエルであるべきだろう.
★★★★(★5個が満点)
蛇足だが教授役のブルーノ・ガンツはかってヒトラーを演じたことが強烈に脳裏に残っている.その当人がナチを裁く裁判を傍聴しているのは,不思議な感じ.
そういえばその映画で競演しているアレクサンドラ・マリア・ララもこの映画に出ているのだ.
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コメント
この映画がよくわかりません。教えてください。
裁判ではみんな冤罪だって知ってるのに、終盤では本を読んだ人は彼女が重ーい罪を犯したと思い込んでしまっている。
生き残った娘も、責任者の顔は覚えていなくて、本を読ませる変な人は覚えているのだから、その変な人が責任者でないことを知っているはずなのに・・・。
「彼女を許すようでお金は受け取れません」といいました。
そんなに怒りが強いのなら、なぜ裁判のときに他の被告人を許したのでしょう?
主人公も面会のときに「たっぷり反省したか?」というような意味の問いかけをしていますが、冤罪のひとには普通は「大変だったね、お疲れ様」ではないでしょうか?
なんだか変な物語です。
投稿: とおりすがり | 2009/07/08 23:14
とおりすがり様
コメント有り難うございました.返事が遅くなってご免なさい.
さて,いただいたコメントへのお答えですが,基本的にハンナの犯した罪は冤罪ではありません.
ハンナに責任者としての罰が押しつけられたのは不当だとしても,実行者としての罪は厳然としてあって,ハンナ自身もそれに苦しんでいます.
そのことが主人公自身の悩みでもあったと思うのですが.
投稿: ほんやら堂 | 2009/07/11 10:31