独断的映画感想文:地獄門
日記:2009年8月某日
映画「地獄門」を見る.
1953年.監督:衣笠貞之助.
出演: 長谷川一夫(盛遠),京マチ子(袈裟),山形勲(渡辺渡),黒川弥太郎(重盛),坂東好太郎(六郎),田崎潤(小源太),千田是也(清盛).
平治の乱で手柄を立てた六波羅の武者盛遠は,警護して命を救った院の女御,袈裟を妻にもらい受けたいと申し出る.
ところが袈裟は院に使える武士,渡辺渡の妻であった.
清盛の計らいで袈裟と会うも,その心を得ることは出来ない.それでも諦めきれない盛遠は,渡辺に公の席で無礼を働き,謹慎蟄居を命じられてしまう.
盛遠は遂に袈裟の伯母を脅して袈裟を誘い出し,自分を受け入れなければ一族を皆殺すと迫る.袈裟はやむなく,その求めを受け入れるからには,夫を亡き者にしてくれと盛遠に頼むのだった….
日本映画黄金時代の時代劇の傑作.
美術が美しく,画質は悪いがそれでもオリジナルのカラーの衣装等の素晴らしさは充分楽しめる.カメラの動きもスムースで無駄なくテンポ良く,だれることがない.
俳優は長谷川一夫が傍若無人の一途な武者を演じて,その凄みが印象的.今までこの人については2枚目というか穏やかな役しか見たことがなく,この盛遠役には吃驚.
京マチ子は逆に静謐で美しい貞女役を演じており,それまでは妖艶で奔放な役を見ることが多かったので,その落差にこれも驚いた.
物語は一直線で複雑さはないが,最後までそれで押し切られたのは監督の力と言うべきか.
★★★★(★5個が満点)
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