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2009年8月に作成された記事

2009/08/30

独断的映画感想文:地獄門

日記:2009年8月某日
映画「地獄門」を見る.3
1953年.監督:衣笠貞之助.
出演: 長谷川一夫(盛遠),京マチ子(袈裟),山形勲(渡辺渡),黒川弥太郎(重盛),坂東好太郎(六郎),田崎潤(小源太),千田是也(清盛).
平治の乱で手柄を立てた六波羅の武者盛遠は,警護して命を救った院の女御,袈裟を妻にもらい受けたいと申し出る.
ところが袈裟は院に使える武士,渡辺渡の妻であった.2
清盛の計らいで袈裟と会うも,その心を得ることは出来ない.それでも諦めきれない盛遠は,渡辺に公の席で無礼を働き,謹慎蟄居を命じられてしまう.
盛遠は遂に袈裟の伯母を脅して袈裟を誘い出し,自分を受け入れなければ一族を皆殺すと迫る.袈裟はやむなく,その求めを受け入れるからには,夫を亡き者にしてくれと盛遠に頼むのだった….
日本映画黄金時代の時代劇の傑作.
美術が美しく,画質は悪いがそれでもオリジナルのカラーの衣装等の素晴らしさは充分楽しめる.カメラの動きもスムースで無駄なくテンポ良く,だれることがない.4
俳優は長谷川一夫が傍若無人の一途な武者を演じて,その凄みが印象的.今までこの人については2枚目というか穏やかな役しか見たことがなく,この盛遠役には吃驚.
京マチ子は逆に静謐で美しい貞女役を演じており,それまでは妖艶で奔放な役を見ることが多かったので,その落差にこれも驚いた.1
物語は一直線で複雑さはないが,最後までそれで押し切られたのは監督の力と言うべきか.
★★★★(★5個が満点)
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高円寺阿波踊り2009

日記:2009年8月29日
高円寺の阿波踊りに出かける.0012
まだ暑い中,夕暮れに家を出ると,通りにはいつになく人が多い.
青梅街道を新高円寺の駅近くまで来ると,もう太鼓の音が地響きの様に聞こえてくる.
いつもの様にルック第1演舞場から入り,ここの通りを踊り上がる連のあとについてルック商店街をもみくちゃになりながら北上,太鼓のドドンガドンという音が体中の毛穴のゴミを吹き飛ばす様だ.
気分高揚してみなみ演舞場に向かい,青梅街道に近いフィニッシュ地点でいくつかの連がチャンカチャンカと舞い込んでくるのを見物する.
今年目立ったのは写楽連,歌舞伎の隈取りをあしらったど派手な衣装の踊り手達も見事だが,二人組の踊り手のパフォーマンス(凧と凧を揚げる人を演じている)が縦横に活躍して拍手喝采を浴びていた.0013
夏らしい暑さの戻ったこの日に例年通り阿波踊りを見られたことに,幸せを感じる.
暫く見てから食事をして帰宅.
帰ったらTV東京の「出没!アド街ック天国」で,今見てきた高円寺阿波踊りを特集していた.
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2009/08/29

独断的映画感想文:ブラボー砦の脱出

日記:2009年8月某日
映画「ブラボー砦の脱出」を見る.5
1953年.監督:ジョン・スタージェス.
出演:ウィリアム・ホールデン,エリノア・パーカー,ジョン・フォーサイス,ウィリアム・デマレスト,ウィリアム・キャンベル,ポリー・バーゲン,リチャード・アンダーソン,ジョン・ラプトン,カール・ベントン・リード.
この項,ネタバレあります.
南北戦争下の西部の砦,南軍の捕虜を収容しているその砦は,「インディアン」の包囲下にある.隊長の娘の結婚式にその親友カーラが到着するが,彼女は実は収容中の南軍大尉マーシュの恋人で,彼を脱走させるために来たのだ.4
ローパー大尉に近づいて籠絡し,まんまとマーシュ大尉の脱走を成功させるカーラ,しかしローパーの追跡隊が後を追う.その周囲を包囲する「インディアン」の大軍,彼らの運命や如何に….
西部を舞台にしたある種の軍隊もので,その中での三角関係,男の友情,極限状況等が描かれる.
映画の出来は悪くないと思うが,こういう題材自体が苦手である.3
ウィリアム・ホールデン,エリノア・パーカーはもっと別の設定で見た方が良かった.
実はローパーに心惹かれるカーラ,インディアン包囲下でマーシュは死に,あわやというところで残った二人に援軍が到着するという,ただそれだけで余韻のないエンディングももう一つ.1
女性の扱いや「インディアン」の扱いに時代を感じる.
★★★(★5個が満点)
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2009/08/24

独断的映画感想文:自虐の詩

日記:2009年8月某日
映画「自虐の詩」を見る.6
2007年.監督:堤幸彦.
出演:中谷美紀(森田幸江),阿部寛(葉山イサオ),遠藤憲一(あさひ屋マスター),カルーセル麻紀(福本小春),ミスターちん(難波警部),金児憲史(船場巡査),松尾スズキ(中年男),岡珠希(中学時代の幸江),丸岡知恵(中学時代の熊本さん),Mr.オクレ(喫茶店主),アジャ・コング(熊本さん),斉木しげる(訪問販売の男),竜雷太(組長),名取裕子(美和子),西田敏行(森田家康).
森田幸江は幸薄い女.小さい頃母に捨てられ,父は彼女が中学生の時,愛人のために大金を掴もうと銀行強盗をして逮捕,パンツ1枚で連行される.
今幸江は元ヤクザのイサオと暮らすが,イサオは稼ぎもなく酒と博打に明け暮れる乱暴者,気に入らないことがあると必殺のちゃぶ台返しで暴れる.2
同じアパートの小春ばあちゃんはその回数を記録しつつあんな男とは別れろと気遣ってくれるし,幸江の勤め先の中華料理屋のマスターは幸江が大好きでやたら臨時賞与や特別ボーナスをくれるが,幸江は一筋にイサオを愛して尽くしている.
ところがある日,幸江は自分の妊娠に気づいた….
原作は読んだことがないが,この映画は好き.元々中谷美紀と阿部寛はそれぞれに好きである.
その二人の何とも言えない薄幸のコメディが実に面白い.
回りの遠藤憲一やカルーセル麻紀も良い味である.
ところが中盤,幸江の回想シーンになると阿部ちゃんは長髪のイケメン純情ヤクザになって出てきて,これはこれで素敵である.この人がどうしてあの飲んだくれの乱暴者になっちゃうのかが不思議だが,まあそれが人生というものなのだろう.1
この阿部ちゃんの純愛シーンでうっとりしていたら,現在シーンでは阿部ちゃんが凄い迫力で商店街を駆け抜け,幸江が人事不省になっている病院に駆けつけるのだ.
阿部ちゃんがあの体格で全力疾走するこのシーンは何となくぐっと来ちゃって,手を握りしめちゃう.
大男の純情って素敵です.
映画全体は,哀愁に満ちた音楽も良く印象深かった.不思議な雰囲気の映画だが,悪くない.
他の役者も皆素敵だった.ところで西田敏行っていうのは,脱がずには居られない人なのかね.
★★★★(★5個で満点)
ところで脚本の里中静流ってあのニューヨークに行った写真家の人?
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2009/08/17

独断的映画感想文:アキレスと亀

日記:2009年8月某日
映画「アキレスと亀」を見る.1
2008年.監督:北野武.
出演:ビートたけし(倉持真知寿),樋口可南子(幸子),柳憂怜(倉持真知寿(青年時代)),麻生久美子(幸子(青年時代)),中尾彬(倉持利助),伊武雅刀(菊田昭雄),大杉漣(倉持富輔),筒井真理子(倉持春),吉岡澪皇(倉持真知寿(少年時代)),円城寺あや(富輔の妻),徳永えり(倉持マリ),大森南朋(画商).
大金持ちの息子真知寿は絵が大好き,授業中だろうが構わず絵を描くが親をはばかり誰も文句を言わない.
出入りの画商や画家に褒められベレー帽までもらう.3
ところが親の仕事が破綻し父は愛人と心中,母親は真知寿を弟の家に預け自殺.施設に預けられて成長した真知寿はひたすら絵を描き続ける.
画学校に通い,勤めた工場の事務員幸子と結婚,娘にも恵まれるが更にひたすら絵を描き続ける.
しかし絵は全く売れず,画商の言うまま試行錯誤を続けるのだが….
この映画は駄目でした.
面白くなく退屈で,映画の言わんとすることが何か判らないしそのことに興味も持てない.タケシ風のギャグの連発はうっとうしいだけだし,やたらマジで人が死ぬのは(7人ほど死んだかしら)正直嫌だ.アキレスと亀の比喩が何を示すのかも判らないが判りたくもない.途中で何度も寝た.2
麻生久美子と樋口可南子がかわいそうである.
見るんじゃなかった.★なし.
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2009/08/14

独断的映画感想文:ノン子36歳 (家事手伝い)

日記:2009年8月某日
映画「ノン子36歳 (家事手伝い)」を見る.04
2008年.監督:熊切和嘉.
出演:坂井真紀(坂東ノブ子(ノン子)),星野源(マサル),津田寛治(安川時生),佐藤仁美(ノン子の妹),新田恵利(富士子),舘昌美(和人),宇津宮雅代(ノン子の母),斉木しげる(ノン子の父),鶴見辰吾(ノン子の元ダンナ・宇田川).
ノン子はかってタレントとして売り出しその後マネジャーと結婚したが,今はその夫と別れ実家に舞い戻り鬱屈した日々を送っている36歳バツイチの女性.
実家は神社で父は神主,祭りが近づいたある日出店を出したいと若い男マサルが訪ねてくる.
ひょんなことからマサルを出店の元締め安川に引き合わせる羽目になったノン子,交渉は不調に終わったがマサルはなんの根拠もなく絶対何とかなりますよと言い,そんなマサルをノン子も実家の居候にする.
いずれ世界に出たいと夢を語るマサル,祭りの日は近づきマサルの注文した商品のひよこまで届くが,事態はいっこうに解決する気配がない.06
そんなところに元夫の宇田川が現れ,ノン子と復縁したいと頭を下げてきたが….
何事にも斜に構え,自分の古傷に触れるものにはささくれだった敵意をむき出すノン子-それを演じる坂井真紀が宜しい.
彼女に絡むマサルはぼんやりした夢はあるが,そのためにやるべき事ややり方への明確なイメージがないまま,土下座一本で何とかなると考えている.要するにノン子もマサルも駄目なひとである.
その二人が出会って親密になっても,観客はいらいらはらはらするだけで先の見通しは見当がつかない.
ところがある事件をきっかけに何となく事態は変わっていく,というほのぼのドラマ.その辺の呼吸が面白い.
最後のシーンに至っても別に事態は何も解決されないのだが,ノン子の表情がちょっと違うぞと,そういうドラマである.01
カメラが美しく,ロケ場所の寄居町が素敵.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝

日記:2009年8月某日
映画「K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝」を見る.K209
2008年.監督:佐藤嗣麻子.
出演:金城武(遠藤平吉),松たか子(羽柴葉子),國村隼(源治),高島礼子(菊子),本郷奏多(小林芳雄),益岡徹(浪越警部),今井悠貴(シンスケ),斎藤歩,木野花,飯田基祐,猫田直,藤本静,大堀こういち,高橋努,田鍋謙一郎,神戸浩,市野世龍,要潤,串田和美,嶋田久作,小日向文世,大滝秀治,松重豊,鹿賀丈史(謎の紳士),仲村トオル(明智小五郎).
太平洋戦争に踏み切らなかった大日本帝国の1949年という設定で,身分の固定した格差社会での明智対怪人二十面相を描く.K204
冒頭,無線送電機テスラの模型が怪人二十面相に奪われるシーンからスタート.男爵明智と小林助手,明智の婚約者・公爵令嬢葉子が登場.
一方サーカスの人気軽業師遠藤平吉は,謎の人物の依頼で明智と葉子の婚約の写真を撮るため財閥ビルの最上階に潜入,シャッターを押すがそれはビルに仕掛けられた爆薬の起爆装置だった.
怪人二十面相として逮捕された平吉は,しかしサーカスの先輩源治とその仲間の泥棒達の協力で脱出に成功,源治の元で街を縦横に駆けめぐる修行を積み.怪人二十面相と対決を期す.
ある日ウエディングドレスを試着中の葉子が怪人二十面相に襲われたのを目撃した平吉は彼女を救い,友人となる.自分の無実をはらすため,二十面相より先にテスラ装置の謎を解こうとする平吉達と協力する葉子,明智と小林,二十面相の三つどもえの戦いが繰り広げられるが….K205_2
格差社会の貧民対華族等支配階級にはっきり分かれた状況で,少年探偵団が明確に後者の手先であるという設定が,少年探偵団ファンにはちょっと辛いところである.
それはさておき,スパイダーマンのぱくりとしか思えない平吉の活躍や,掃き溜めに鶴状態の葉子の類型的なお嬢様ぶりが,結構楽しくて好印象.
アクションや(平吉を最後の土壇場で葉子が救うシーンなど)CGもそれなりに楽しめた.
細かいことを言えば突っ込むところは多いし(葉子を二十面相が襲うシーンは,よく考えれば何の必然性もないことが分かるetc),ここはこうすればもっと良いのに,というところもあるが,金城武と松たか子が魅力的で宜しい.
葉子の入浴姿を目の当たりにして平吉と源治が単純に鼻血を垂らすという微笑ましいネタが可笑しい.見て損は無し.K202

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2009/08/02

独断的映画感想文:ランボー 最後の戦場

日記:2009年7月某日
映画「ランボー 最後の戦場」を見る.Rambo41
2008年.監督:シルヴェスター・スタローン.
出演:シルヴェスター・スタローン(ジョン・ランボー),ジュリー・ベンツ(サラ・ミラー),ポール・シュルツ(マイケル・バーネット医師),マシュー・マースデン(スクール・ボーイ),グレアム・マクタヴィッシュ(ルイス),レイ・ガイエゴス(ディアス),ティム・カン(エン・ジョー),ジェイク・ラ・ボッツ(リース).
映画の冒頭,ミャンマーのキリスト教系少数民族・カレン族への軍による殺戮が描かれる.
村ごと襲い,ジェノサイドと思われるような徹底した殲滅,面白半分に村人を殺していく.
ランボーはタイ北部の川沿いに住み,毒蛇を捕り魚を捕って暮らしている.
ある日アメリカからキリスト教団体のボランティアが来て,カレン族救援のため水路で自分たちをミャンマーまで運んでくれる様依頼する.ランボーは断るが,一行のうちの女性サラの真摯な依頼に動かされ,彼らをボートで目的地まで運ぶ.Rambo42
その途中海賊に遭遇しサラが略奪されようとしたため,ランボーは襲ってきた全員を射殺するが,一行はランボーのその行為を非難して陸路を去っていく.
ところがこの一行が入った村はミャンマー軍に襲われ全滅,生き残ったサラ達は軍の基地に連行され監禁される.キリスト教団体は救援のため傭兵を雇い,ランボーに輸送を依頼,ランボーは彼らを乗せてサラ達の救援に乗り出すが….Rambo44
ランボーの第4作は凄まじい殺戮シーンが全編の半分を占める(と言っても全体の長さは1時間半に満たないが),しかもそのシーンは首が飛び手足がもげ血しぶきがあふれる凄惨なもの.
物語は単純で,ランボーが傭兵達を掌握して救援を成功させるということに尽きる.
「殺人」を否定するキリスト教団体のボランティアの姿勢への批判も示されるが,それは味付け程度.とにかく戦闘シーンの酷さに圧倒される.Rambo43
この映画はランボーの帰郷というエピローグの長いシーンで癒やされるのだが,それは第1作以来のこのジョン・ランボーという比類無いキャラクターへの愛着があるからで,この映画のみであれば評価は微妙なところ.
★★★(★5個が満点)
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