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2009/09/08

独断的映画感想文:愛する時と死する時

日記:2009年9月某日
映画「愛する時と死する時」を見る.1
1958年.監督:ダグラス・サーク.
出演:ジョン・ギャヴィン,リゼロッテ・プルファー,ジョック・マホニー,ドン・デフォー,キーナン・ウィン,セイヤー・デヴィッド,ダナ・ハットン,クラウス・キンスキー,ドロテア・ウィーク,ジム・ハットン.
「西部戦線異状なし」のレマルクの原作による戦争映画.
第2次大戦末期,独ソ戦線で苦闘する独軍の兵士エルンスト・グレーバー.敗色濃い戦線にもかかわらずナチの党委員主導でロシア人捕虜(といっても民間人だ)の銃殺が行われ,その葛藤から兵士の自殺も発生する軍崩壊寸前の状況.
奇跡的に2年ぶりの休暇を得たグレーバーは故郷に帰還する.
降り立った故郷は一見変わってないように見えたが,街路に入ると至る所爆撃で廃墟となっており,生家も破壊され両親は行方不明.両親のかかりつけの医者を訪れ,そこで医者の娘で幼なじみのエリザベートと出会う.
医者は反ナチ活動の容疑で収容所送りとなり,その家は強制的にアパートとされてナチ党員の女が監視役として入居していた.
エリザベートとグレーバーは恋に落ち遂に結婚を決意するが….3
この原作は学生時代に読み,強い印象を受けた.
映画は原作の雰囲気を伝えることにある程度成功していると思う.戦線での過酷な戦闘・捕虜への対応,一方昔と変わらぬと思われた故郷に打ち込まれた爆撃と廃墟・街と生活の破壊.その中で状況に翻弄される中必死に自分の運命を切り開こうとする主人公達.
故郷でナチ党員として地区部長にまで上り詰めた同級生の,グレーバーに対する変わらぬ真情(しかし彼は一方で冷徹なナチ党員なのだ).
この戦争という恐ろしい事実のもとでの複雑な社会の状況を描くことに,映画は成功している(原作の功績が大きいが).
原作と比べいささか残念なのは,主人公があまりに美青年でかっこうよすぎることか.
また原作では主人公はエリザベートと結婚するときには背広姿となっているのに映画では軍服で押し通していることか.2
原作にはこうある.「彼は体を乾かしてゆっくりと服を着た.重い軍服を着なれた身には,背広は軽くて,薄かった.すっかり着てしまっても,まだ下着のままでいるような気がした」
余談になるが,僕は学生時代,米軍放出品のジャケットとGパン,ワークブーツを身につけ身の回りのものを鞄に詰めて殆ど下宿にも帰らない生活を続けていた時期があった.
改まった用事があって帰省し背広を着たとき,同じ感覚を味わったことを覚えている.僕にとってあの学生時代は「戦争」に近い時代であった.
★★★☆(★5個が満点)
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