独断的映画感想文:罪とか罰とか
日記:2009年10月某日
映画「罪とか罰とか」を見る.
2008年.監督:ケラリーノ・サンドロヴィッチ.
出演:成海璃子(円城寺アヤメ),永山絢斗(恩田春樹),段田安則(加藤吾郎),犬山イヌコ(風間涼子),山崎一(常住),奥菜恵(マリィ),大倉孝二(立木),安藤サクラ(耳川モモ),市川由衣,徳井優,佐藤江梨子,田中要次,高橋ひとみ,麻生久美子,石田卓也,串田和美(海藤副署長).
売れないアイドル・円城寺アヤメは自分の載ったグラビア雑誌を見ようとコンビニへ.ところが自分の載ったページは何故か逆さまに印刷され鼻の下には黒い汚れが.
その雑誌を買おうとするが何故か財布を忘れていたアヤメは,万引きしようとしてあっさり捕まる.
駆けつけたマネージャーと一緒に平身低頭していると,来合わせた警官の口利きで何故か一日署長をすることに.
そのコンビニで変な買い物をする羽目になった加藤五郎は,目の前にスリップ一枚の女性がマンションから落ちてきて吃驚,飛び出した路上でダンプにはねられ瀕死の重傷を負う.
何故か目の前にあったスケッチブックに何ごとかメモして,必死でそれを渡した相手は傷心のアヤメであった.
一方そのマンションの一室では良からぬ相談に熱中する男女3人組がいて….
最初はばらばらで脈絡もないと見えるいくつかのシークエンスが,映画の進行と共に次々と結びついて,意外な大団円を迎えるという,「ショート・カッツ」とか「パルプ・フィクション」等を想起させる,但ししっかり脱力系のコメディ.
完全な負け組アイドルアヤメが,「一日署長」という偶然を軸に大団円にいたる過程が面白い.
この映画の肝は何と言ってもキャスティングで,まあ個人的には辛酸ナメ子状態の成海璃子チャンが理屈抜きに素敵だが,段田安則を2度も跳ねとばすダンプの助手席で自己中かつアンニュイに構えている麻生久美子,半裸の転落死体を演じる佐藤江梨子(他には考えられない-失礼!)等,豪華な配役に呆然とする.
切れまくる奥菜恵も新鮮でした.
偶然,一日署長アヤメの世話役になった刑事がアヤメの元彼でしかも連続殺人犯なのだが(そのことはアヤメだけが知っている),それを演じる永山絢斗の不思議な爽やかさも素敵.
彼が去っていくラストシーンもこの映画らしく,印象的でした.
予想とは大分違ったが,見て損は無し.あと少しテンポが良ければ,「映画ってこうでなくっちゃ」と言えるだろう.
★★★★(★5個が満点)
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