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2009/11/01

番外・独断的歌舞伎感想文:京乱噂鉤爪

日記:2009年10月某日
歌舞伎「京乱噂鉤爪(きょうをみだすうわさのかぎづめ)二幕十二場― 人間豹の最期 ―市川染五郎宙乗り相勤め申し候」を見る.Photo
(出演)松本幸四郎,中村翫雀,市川高麗蔵,松本錦吾,澤村鐵之助,中村歌江,中村松江,市川染五郎,中村梅玉.
昨年11月に見た「江戸宵闇妖鉤爪えどのやみあやしのかぎづめ― 明智小五郎と人間豹 ―」の続編である.
幕末の京都,えーじゃないかが流行る都に人間豹が出現,と言う設定で幕が開く.
舞台は元人形師で今は雑貨を商う「きはもの屋」.主人甲兵衛は名人とうたわれた先代の作った人形を売りつないで店を持たせている.
その妹大子は本名みすずだが大女なので通称大子,彼女が愛して止まぬ先代の名作人形花がたみを,甲兵衛は最近羽振りの良い陰陽師鏑木幻斎に売りつけようとしている.
実は鏑木幻斎は天下をうかがう野心家で,その手先に江戸から流れてきた人間豹を使おうという魂胆.一方先代のもとで修行した一番弟子が実は明智小五郎という設定で,鏑木幻斎と人間豹,大子と明智,美貌の人形が織りなす不思議の物語.
前作と違う点は,竹本や義太夫を多用して少しでも歌舞伎らしさをにじませようという演出上の苦心か.
もうひとつ大きく違うのは,人間豹が行きずりの殺人は犯すが物語に絡む人を誰も殺さない点だ.殺人はもっぱら鏑木幻斎やその手下の女隠密,浪士によって行われる.
巨悪は鏑木幻斎であって人間豹は所詮不幸な殺人鬼に過ぎない.終局での幸四郎=明智の思い入れたっぷりの人間豹への呼びかけも,それを踏まえていればこその哀悼であろう.
染五郎は大子が面白かったが,肝心の人間豹は,扮装と早変わりが災いして,果たして本人が演じているのかどうかよく分からず.
特筆すべきは花がたみを演じた中村梅丸君と「きはもの屋」の丁稚を演じた松本錦成君であろう.両名とも子役よりは年かさながら立派な芝居.先行きが楽しみである.
6月には松本金太郎君初お目見えの介添えで脂汗を流していた松本錦吾が,のびのびと小悪党甲兵衛役を演じていたのも印象的.
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