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2009/11/01

独断的映画感想文:イキガミ

日記:2009年10月某日
映画「イキガミ」を見る.1
2008年.監督:瀧本智行.
出演:松田翔太(藤本賢吾),塚本高史(森尾秀和),成海璃子(飯塚さくら),山田孝之(飯塚さとし),柄本明(参事官),劇団ひとり(島田),金井勇太(田辺翼),佐野和真(滝沢直樹),井川遥(近藤医師),笹野高史(石井課長),塩見三省,風吹ジュン(滝沢和子).
「国家繁栄維持法」という法律が施行されている架空社会.
全国民は小学校入学時に1000人に1人の割合でカプセルを埋め込まれる.
該当者は18歳から24歳までの間に自動的に死を迎える.そのことで全国民は死を実感し,生の充実のために活動し国家は繁栄するというのだ.3
藤本賢吾は該当者の死の24時間前に,死亡予告証(通称イキガミ)を送達する厚生保健省の担当者.彼の葛藤と死者のために出来るだけのことをしようという活動を絡め,3人の若者の死のエピソードを描く.
翼はストリートミュージッシャン出身,遂にテレビデビューを迎えるその日に死を迎える.
滝沢直樹は引きこもり,母の和子は国家繁栄維持法を推進する右派の政治家で,息子の死を自分の選挙に利用しようとする.
飯塚さとしは幼い時に両親を事故で失い,その時失明した妹に自分の角膜を送ろうと考えている.
3者それぞれのドラマが淡々としかし丁寧に描かれ,最後まで間然するところがない.映画はしっかりと作られ,3つのエピソードの配置も納得できる.2
俳優は,かなり行き届いた配役だが,それぞれの俳優が期待にきっちり応える演技を見せてこれも素晴らしい.
母子家庭の息子を奪われる冒頭のりりぃの演技や,飯塚さくらとさとしの兄妹愛には泣かされた.
しかしこの映画には大きな欠陥がある.
1000人に一人の若者が自動的に殺されることが国家の繁栄をもたらすという虚構が,論理的にも感覚的にも受け容れ難いのだ.
この体制の維持のため思想犯と見なされた者が酷い目に遭うらしいことも示唆されるが,それもリアルさに欠ける話だ.5
この前提としての枠組みが受け容れ難いので,松田翔太の好演(無口な狂言回しと思っていたが,その存在感は印象的)にもかかわらず,その葛藤はいまいち胸に響かない.
これは原作の問題かも知れないが,惜しい欠陥である.
★★★☆(★5個が満点)
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