« 独断的映画感想文:天使と悪魔 | トップページ | 独断的映画感想文:ブーリン家の姉妹 »

2009/12/05

独断的映画感想文:イングロリアス・バスターズ

日記:2009年11月某日
映画「イングロリアス・バスターズ」をみる.004
2009年.監督:クエンティン・タランティーノ.出演:ブラッド・ピット(アルド・レイン中尉),マイク・マイヤーズ(エド・フェネシュ将軍),ダイアン・クルーガー(ブリジット・フォン・ハマーシュマルク),クリストフ・ヴァルツ(ハンス・ランダ大佐),メラニー・ロラン(ショシャナ・ドレフュス),ミヒャエル・ファスベンダー(アーチー・ヒコックス),イーライ・ロス(ドニー・ドノウィッツ),ダニエル・ブリュール(フレデリック・ツォラー).007_2
冒頭は1941年,フランスの農村.丘の上の一軒家の庭先で切り株に斧を打ち込んでいる男.彼方の農道をサイドカー付きのオートバイに先導された車が近づいてくる.
やってきたのはナチ突撃隊のランダ大佐,ユダヤ人ハンターの異名を取る.大佐は丁重な物腰で男の家に入り穏やかに話をするが,やがて男に床下にユダヤ人を匿っていることを認めさせる.
合図で入ってきた兵士がマシンガンを床下に向け乱射,辛うじて脱出し森に向って走る少女ショシャナに,ランダ大佐は銃を向けるが,気が変わって彼女を逃がす….003
3年後1944年.ナチ占領下のパリで若くして映画館を経営するミミューはかってのショシャナである.ふとした縁でドイツ軍の英雄狙撃手フレデリックと知り合い,彼の推薦でミミューの映画館がフレデリックを描いた映画のプレミア会場となることになる.
プレミア上映にはゲッベルスを始めナチの高官が集まり,警備をランダ大佐が務めるという.ミミューは復讐のための計画を練る.
一方,ナチの兵士を残虐に殺しまくるレイン中尉を指揮者とする秘密部隊は,やはりこの情報を聞きつけ,反ナチの人気ドイツ女優ハマーシュマルクの協力を得て,ミミューの映画館に潜り込もうと画策する….014
史実に基づかない映画.
タランティーノのこの映画は賛否両意見があることだろう.
題材がそもそも第2次大戦下のパリで,ナチを相手の謀略戦というサスペンスフルなもの.実際冒頭の20分ほどのユダヤ人狩りのシークエンスは,ランダ大佐のフレンドリーな饒舌にもかかわらず極めて緊張度の高いものになっている.
そして物語はこの監督特有のまさかまさかの連続で,思いもかけない展開となり,迎えるクライマックスのはじけぶりはタランティーノの面目躍如のスラプスティックな阿鼻叫喚.この題材とこの監督の組み合わせは,何ともいえない効果を生み出すことに成功した様だ.
「遙かなるアラモ」「キャット・ピープルのテーマ(デヴィッド・ボウイ」を使ったサン・トラも懐かしい.はまった人は大満足な映画.
★★★★
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ


« 独断的映画感想文:天使と悪魔 | トップページ | 独断的映画感想文:ブーリン家の姉妹 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 独断的映画感想文:イングロリアス・バスターズ:

» イングロリアス・バスターズ [象のロケット]
1944年、ナチス占領下のフランス。 身分を隠し映画館主となったユダヤ人女性・ショシャナは、ナチスへの復讐を計画する。 一方、アルド・レイン中尉率いる“バスターズ”ことユダヤ系アメリカ兵特殊部隊は、残虐な手口でナチスを殺害していた。 ナチスの“ユダヤ・ハンター”ことランダ大佐の目が光る中、両者の作戦が、ナチス高官が集うプロパガンダ映画の上映会場で交錯する…。 戦争群像ドラマ。... [続きを読む]

受信: 2009/12/06 20:11

» 「イングロリアス・バスターズ」フィクションだよ! [シネマ親父の“日々是妄言”]
[イングロリアス・バスターズ] ブログ村キーワード  クエンティン・タランティーノ久々の監督作品。「イングロリアス・バスターズ」(東宝東和)。今回は、ブラッド・ピットと初タッグ!ワルそうなブラピが、ナチス相手に大暴れしております。  ナチス占領下のフランス。そこには、ナチスから恐れられた連合国軍の特殊部隊が存在した。ドイツ兵を待ち伏せ、殺害し、頭の皮を剥ぐ。アルド中尉(ブラッド・ピット)率いるこの部隊は、“バスターズ”と呼ばれ、フランス駐留のドイツ軍兵士、ナチス中枢部、更には総統・ヒトラ... [続きを読む]

受信: 2009/12/12 12:40

» 「イングロリアス・バスターズ」レビュー [映画レビュー トラックバックセンター]
映画「イングロリアス・バスターズ」についてのレビューをトラックバックで募集しています。 *出演:ブラッド・ピット、マイク・マイヤーズ、ダイアン・クルーガー、クリストフ・ヴァルツ、メラニー・ロラン、ミヒャエル・ファスベンダー、イーライ・ロス、ダニエル・ブリュ..... [続きを読む]

受信: 2009/12/13 07:06

» イングロリアス・バスターズ 2009-53 [悠久の華美]
良く考えられて作られてる映画だと思う、そのまま1本の映画として公開したら今と同じ評価が出来たかな?この映画5部構成になってて、その1章... [続きを読む]

受信: 2009/12/13 21:41

» イングロリアス・バスターズ 2009-53 [悠久の華美]
良く考えられて作られてる映画だと思う、そのまま1本の映画として公開したら今と同じ評価が出来たかな?この映画5部構成になってて、その1章... [続きを読む]

受信: 2009/12/13 21:42

» 「イングロリアス・バスターズ」道徳的なことは忘れて勧善懲悪を... [soramove]
「イングロリアス・バスターズ」★★★★オススメ ブラッド・ピット、ダイアン・クルーガー、ティル・シュヴァイガー、ダニエル・ブリュール出演 クエンティン・タランティーノ監督、152分 、公開日:2009年11月20日、2009年、アメリカ (原題:INGLOURIOUS BASTERDS)                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← 「アルド中尉(ブラッド・ピット)率い... [続きを読む]

受信: 2009/12/16 23:28

» 「イングロリアス・バスターズ」という映画を分類するなら「映画... [映画と出会う・世界が変わる]
西部劇のようなオープニングであるが、西部劇ではない。戦争映画の様相を呈しているが、戦争映画といえるような場面はほとんどない。この映画のほとんどの場面を占めるのは会話である。会話劇というジャンルがあるとすれば、この映画は「会話劇」というべきであろう。何か...... [続きを読む]

受信: 2009/12/24 08:48

» 「イングロリアス・バスターズ」■硬派作家タランティーノの誕生 [映画と出会う・世界が変わる]
第二次大戦のヨーロッパ戦線は銃弾が飛び交う中で各国の独自の気質を持った人々と言語が交錯したのである。第二次大戦については、特にヨーロッパ戦線を描いた映画は、これまで実に数多く作られてきたが、この戦争を「各国の言語」という視点から描いた作品は、この「イン...... [続きを読む]

受信: 2009/12/28 07:48

« 独断的映画感想文:天使と悪魔 | トップページ | 独断的映画感想文:ブーリン家の姉妹 »