独断的映画感想文:禅
日記:2010年1月某日
映画「禅」を見る.
2008年.監督:高橋伴明.
出演:中村勘太郎(道元),内田有紀(おりん),藤原竜也(北条時頼(友情出演)),テイ龍進(寂円・源公暁),高良健吾(俊了),安居剣一郎(義介),村上淳(懐奘),勝村政信(波多野義重),鄭天庸(如浄),西村雅彦(浙翁),菅田俊 (公仁),哀川翔(松蔵),笹野高史(老僧),高橋惠子(伊子).
曹洞宗の開祖,道元の一生を描く宗教学者・大谷哲夫原作の映画化.
まあ原作があって監督が高橋伴明だから,あまり無茶なカドカワ映画ではない.
死後の極楽往生ではなく,現世で救われることはできないかとの問題意識を持った道元が宋に留学し,幾人もの僧を訪ねた挙げ句,ようやく求める指導者・如浄禅師に出会う.
ここで悟りを開き帰国,様々な既成仏教界の弾圧を受けながら,次第に賛同者を得て遂に越前永平寺に修行の場を開く,その活動に沿って物語は進行する.
淡々とした物語だが,道元の「全ての人に仏は内在する.その仏と出会うためにひたすら座禅せよ」との教えは印象に残る.
山場は,時の執権北条時頼の妄疾を癒やすため,命がけで教え諭すシーンであろう.俳優は全体として好演,中村勘太郎は適役と言える.
道元の一生を描くためには尺がやや足りず,如浄禅師に会ってから3分後にはもう悟りを開いていたり,波多野義重が何故道元を所領の越前に招いて寺を寄進したかの事情も明かされないなど,いささか説明不足のところ有り.
また,本物の永平寺を使ったシーンに比べ,宋を旅するシーンのロケ映像や,時頼の妄想シーンのCGが思いっきり安っぽいところも頂けない.
しかし全体としては見て損は無し.
★★★☆(★5個が満点)
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