独断的映画感想文:薄桜記
日記:2010年3月某日
映画「薄桜記」を見る.
1959年.監督:森一生.
出演:市川雷蔵(丹下典善),勝新太郎(堀部安兵衛)、真城千都世(千春)、三田登喜子(浪乃)、大和七海路(三重)、北原義郎(長尾竜之進)、島田竜三(大高源吾)、千葉敏郎(友成造酒之助)、舟木洋一(神崎与五郎)、伊沢一郎(戸谷兵馬)、須賀不二夫(村上庄左衛門)、清水元(長尾権兵衛)、寺島雄作(嘉次平)、加茂良子(お志津).
忠臣蔵外伝というべき物語.
冒頭,高田馬場の知人の決闘に助っ人として馳せ参じる途上の中山(後に堀部)安兵衛,その駈け去る姿のたすきのかけ方の危うさに気づいた丹下典善は,公用中にも拘わらず馬上その後を追う.
決闘場の安兵衛は幸い堀部弥兵衛の与えた帯を使ってたすきがけの事なきを得,対する某道場の剣士をすべて討ち果たす.
心配して後から駆けつけた典善は実は某道場の高弟であった.役目途中ということでその場を立ち退いたが,居合わせた道場の門人から,同門の決闘を見捨てて立ち退いたとの言いがかりを受け,道場を破門される.
更に遺恨を抱いた門人と争う羽目になり,5人の門人に傷を負わせることとなった.
一方この決闘で名を上げた安兵衛は,多方面から養子縁組の申し入れを受けるが,その中で上杉家家老千坂兵部の家人長尾某の妹千春に心を奪われる.
しかし千春は実は丹下典善との縁談が決まっていた.
結局安兵衛は堀部弥兵衛の婿となり,後日浅野内匠頭刃傷の後は,赤穂浪士として吉良上野介への復讐の機会を窺うことになる.
典善と千春は深い愛情で結ばれるが,典善に遺恨を持つ5人による卑劣な罠が二人を襲うことになる….
雷蔵と勝新の共演という得難い映画.
物語も良く設定されていて面白い.
冒頭の勝新の豪快な二刀流の決闘シーンと,終局での雷蔵の凄惨な隻腕片足での決闘シーンは,実に見応えあり.
何といっても雷蔵の魅力は抗い難い.主人公は理が立ち腕も立ち,しかも覚悟が良い.千春との関係も,武士の一分との狭間での苦悩は哀切である.
これを主とすれば,従たる堀部安兵衛もストーリー上の千春とのからみもよく考えられていて,見応えあり.
大映映画らしい,多少外連味のある演出も悪くない.見て損はない映画.
★★★☆(★5個が満点)
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