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2010/03/07

独断的映画感想文:リオ・グランデの砦

日記:2010年3月某日
映画「リオ・グランデの砦」を見る.11950年.監督:ジョン・フォード.
出演:ジョン・ウェイン:カービー・ヨーク中佐,モーリン・オハラ:キャサリーン・ヨーク,ベン・ジョンソン:タイリー二等兵,クロード・ジャーマン・ジュニア:ジェフ・ヨーク二等兵,ハリー・ケリー・ジュニア:ダニエル・ブーン二等兵(サンデー),ヴィクター・マクラグレン:クインキャノン軍曹,チル・ウィルス:ウィルキンズ医師,J・キャロル・ナイシュ:フィリップ・ジェリダン将軍,グラント・ウィザース:司令官代理,ピーター・ジュリアン・オルティス:サン・ジャック大尉,ゲイロード・ペンドルトン:プレスコット大尉,キャロライン・グリムス:マーガレット・メアリー.
ネタバレあります.
ジョン・フォードの傑作西部劇,「アパッチ砦」「黄色いリボン」と並び騎兵隊三部作と称せられる.
国境の河リオ・グランデにほど近いスターク砦に駐屯する騎兵隊の指揮者,カービー・ヨーク中佐は,着任した新兵の中に,15年ぶりに会う息子ジェフがいるのに吃驚する.
中佐は訳があって妻と別居,それ以来ジェフとは会っていなかった.士官学校で数学に落第し,年齢を偽り1兵卒として入隊したジェフだったが,彼は立派な青年に成長していた.
そこに妻のキャサリンがジェフを連れ戻しにはるばるやってくる.
折しも砦は近隣を荒らしては国境の向こうに逃げ去るアパッチ族との決戦を決意,女性と子どもを別の砦に避難させようとするが,その隊列がアパッチ族に襲われる….3
典型的な騎兵隊もの西部劇だが,家族愛あり,ユーモアありのエンタテインメントになっている.
ところでこの映画にはキーワードが二つある.それは「南北戦争」と「アイルランド」である.
映画の中では余りはっきりとは語られないが,中佐と夫人が別居するに至った「事件」は南北戦争に絡んだものだ.
クインキャノン軍曹の告白に依れば,南北戦争時シェナンドー渓谷の夫人の実家の農園を,将軍の命令によりヨーク中佐の指揮のもと軍曹が焼き払ったという.
シェナンドー渓谷はバージニア州にあり無論南部連合に属する.シェナンドー渓谷にはドイツ人とアイルランド人が入植したとものの本にあり,夫人の名前からしてヨーク夫人はアイルランド人に間違いあるまい.
無論演じているモーリン・オハラはアイルランド出身で,こういう事情は日本人の僕にはよく判らなかったが,アメリカの観客は先刻ご承知のことと思われる.4
ヨーク中佐は任務のため妻の実家を焼き払わせたのである.
それ以来15年間別居していたとすれば,この物語は南北戦争から十数年経った頃と考えられるのだ.
この映画は音楽映画かと思われるほど,軍歌や民謡が次から次へと歌われる映画でもある.
ヨーク夫人を歓迎して兵卒が歌うアイルランド民謡「I'll Take You Home Again Kathleen」もその歌詞を考えると印象的だ.
また,戦闘が勝利に終わった大団円で,軍楽隊が南部連合の軍歌「デキシー」を演奏し,ヨーク夫人が微笑むシーンは,この二人の南北戦争を挟んだ確執の和解を示唆するものと考えられるだろう.
このように,僕のようなものを知らない人間には,この映画はキーワードに関するいささかの解説を必要とするかと思われる.5しかしそんなことは別として,無論この映画は充分楽しめる映画である.
俳優はそれぞれ好演,特に「子鹿物語」でジョディを演じた名子役クロード・ジャーマン・ジュニアの演じるジェフは好感が持てる.クインキャノン軍曹のヴィクター・マクラグレンも素敵.
映画の随所にちりばめられたユーモアも好ましい.ヴィクター・ヤングの音楽も映画にぴったり.
ジョン・フォードは「静かなる男」を撮りたくてこの映画で高収益を上げる約束をしたが,見事に約束を果たし,同じジョン・ウェインとモーリン・オハラで,アイルランドを舞台としたその映画を撮ることができた.監督と共演の二人がいずれもアイルランド系であることは周知の通り.
★★★★(★5個が満点)
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