« 2010年3月 | トップページ | 2010年5月 »

2010年4月に作成された記事

2010/04/28

独断的映画感想文:コレラの時代の愛

日記:2010年4月某日
映画「コレラの時代の愛」を見る.6
2007年.監督:マイク・ニューウェル.
出演:ハビエル・バルデム(フロレンティーノ・アリーサ),ジョヴァンナ・メッツォジョルノ(フェルミーナ・ダーサ),ベンジャミン・ブラット(フベナル・ウルビーノ医師),カタリーナ・サンディノ・モレノ(イルデブランダ),ヘクター・エリゾンド(ドン・レオ),リーヴ・シュレイバー(ロタリオ・トゥグット),アナ・クラウディア・タランコン(オリンピア・スレータ),フェルナンダ・モンテネグロ(トランシト・アリーサ),マルセラ・マール(アメリカ・ヴィクーニャ),ウナクス・ウガルデ(フロレンティーノ・アリーサ(10代)),ローラ・ハリング(サラ・ノリエガ),ジョン・レグイザモ(ロレンソ・ダーサ).
冒頭,一人の老人が不慮の死を遂げる.
弔いの鐘を聞き,もう一人の老人が葬儀の夜に現れ,未亡人に言う.「私は今日を待ちかねた.51年待ったのだ」と.未亡人は激しく彼を拒絶する….3
老人フロレンティーノが電報会社に勤める配達員だった頃,ラバ商人の娘フェルミーナを見初めた.密かに手紙を送り続けるフロレンティーノ,最初は無視していたフェルミーナも遂に彼の求愛を受け容れる.
ところが野心家の父親は一人娘を配達員に嫁がせるはずもなく,フェルミーナを遙か山の彼方の兄弟の家に預けてしまう.やがて戻ったフェルミーナだが,その愛は冷め,街で会ったフロレンティーノに恋の終わりを告げる.
その後フェルミーナは医師のウルビーノと結婚,長い新婚旅行の後,身ごもって帰ってくる.フロレンティーノは何時か結婚できるまで何時までも彼女を待つと誓うのだった….
ガルシア・マルケスの原作による映画.
フェルミーナを見つめるフロレンティーノの50年以上に亘る運命を描く,寓話に満ちた物語.
といってこの物語は只の純愛を描いたものでは決してない.1
フロレンティーノ自身,心ではフェルミーナに操を誓いながら,体では622人の女性と「ベッドを共にする人」だ.その幾たりもとの愛情生活の活写を,観客は印象深く見るだろう.
また彼は「書く人」でもある.
かって手紙だけでフェルミーナを籠絡したそのペンの力で,彼は代書屋として無筆の恋人達の恋文を書く.時には自分の書いた手紙に自分で返事を書く.叔父の船会社に就職した彼が書くビジネスレターは,愛の告白の様な手紙ばかり.
叔父は叔父で船会社の社長でありながら,葬儀で朗々と歌うことを何よりも自慢にする「歌う人」である.
これらの物語は,コレラの蔓延と内戦による不意の死が横行する中,コロンビアのカタルヘナを舞台に展開される.4
常に画面の半分以上が空である,雄大な河筋の光あふれる景色のカタルヘナ.
この奇妙な男の生涯を通して,観客は何と豊穣な人生のエピソードを見ることだろう.原作の豊かさを充分うかがえる映画である.
俳優はハビエル・バルデムが何時にもまして怪演.ジョヴァンナ・メッツォジョルノは10代から72歳を演じてお見事(その両方でベッドシーンを演じているのには吃驚).
フロレンティーノの母役フェルナンダ・モンテネグロは味のある名演.「そして,一粒のひかり」のカタリーナ・サンディノ・モレノの美しさは目を見張る.
見て良かったと言える映画.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~

日記:2010年4月某日
映画「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」を見る.01
2009年.監督:根岸吉太郎.
出演:松たか子(佐知),浅野忠信(大谷),室井滋(巳代),伊武雅刀(吉蔵),広末涼子(秋子),妻夫木聡(岡田),堤真一(辻),光石研,山本未來.
映画の冒頭,深夜の道を走る和服に下駄の男,息を切らしてとある家に駆け込むと座敷に上がり抽斗を探る.この家の主,小説家の大谷である.
大谷は馴染みの酒場椿屋から売り上げを奪って逃げてきたのだ.後を追ってきた主人吉蔵夫婦を刃物で脅すと,妻佐知を残して飛び出してしまう.
佐知は翌日から椿屋に働きに出ることにした.11
大谷は売れっ子の作家だが,執筆料は全て飲んでしまい,浮気は数知れずという放蕩もの.椿屋には奪った金と別に2万円からの付けがたまっていた.
椿屋は若い佐知が働きに出るといよいよ繁盛,主人夫婦も佐知を大事にする.
一方大谷は働きに出て美しさを増す佐知に妄想的な嫉妬心を抱く有様.ある夜,勤めの帰り,佐知は電車で初恋の男辻と出会った….
破滅型で甘えん坊の作家と美しくしっかり者の妻.
03
いよいよ破滅に突き進む自分自身への恐怖さえ感じる夫に対し,妻は現実的で理性的,時にしたたかでさえあるが,二人をつなぐのが「愛」であることは間違いあるまい.
そのような状況を丁寧に描いていく佳作である.
俳優はいずれも好演.松たか子の存在感は印象的.
浅野忠信は,放蕩に熟練した(しかし)傷つきやすい男を過不足なく演じている.椿屋の主人夫婦も素敵.
特筆すべきは「坊や」を演じる子役であろう.如何にも昭和20年代にいたかも知れない,痩せたはかなげな2歳児を,良く見つけてきたものである.14
物語の背景となる昭和20年代という難しい時代を,椿屋という酒場や,省線(当時中央線はこう呼ばれていた様だ)の乗客等を通じて描いていくやり方は秀逸.味わいのある映画である.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2010/04/25

独断的映画感想文:消されたヘッドライン

日記:2010年4月某日
映画「消されたヘッドライン」を見る.2_5
2009年.監督:ケヴィン・マクドナルド.
出演:ラッセル・クロウ(カル・マカフリー),ベン・アフレック(スティーヴン・コリンズ),レイチェル・マクアダムス(デラ・フライ)ヘレン・ミレン(キャメロン・リン),ジェイソン・ベイトマン(ドミニク・フォイ),ロビン・ライト・ペン(アン・コリンズ),ジェフ・ダニエルズ(ジョージ・ファーガス).
黒人の窃盗犯の少年が射殺され,現場を通りかかった青年も射たれる,殺傷力の大きい特殊な銃弾が使われプロの殺し屋によるものと思われた.
一方,民間の巨大軍事請負企業を巡る公聴会が開催される朝,会議の議長を務めるコリンズ議員の調査員ソニアが事故死を遂げる.まもなくコリンズとソニアの関係が暴露され,議員は窮地に陥った.
コリンズの旧友でワシントングローブ紙の敏腕記者カルは,ふとしたことからこの2つの事件の関連性に気づく….
この映画は面白い.4_3
まず殺人事件を巡るサスペンスの出来が良い.
謎は幾重にも重なり,複数の事件が錯綜して真相は最後まで明らかにならない.連日連夜の新聞の締め切りというタイムリミットの設定も,映画のテンポと緊張感を高める.
主人公達の過去から来る現在の互いの葛藤,ベテラン男性記者と若手女性記者のコンビによる活躍など,話をドラマチックにする要素が盛りだくさんだ.
終盤真相が見えてきたかと思われた頃から仕掛けられるどんでん返しに次ぐどんでん返し,2時間を超す長編を一気に見ることができる.5_2
俳優はラッセル・クロウがさすがに良い.ベン・アフレックも見応え有り.ロビン・ライト・ペンは昔から好き.
見て損はない映画.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:レイン・フォール/雨の牙

日記:2010年4月某日
映画「レイン・フォール/雨の牙」を見る.1_3
2008年.監督:マックス・マニックス.
出演:椎名桔平(ジョン・レイン),長谷川京子(川村みどり),ゲイリー・オールドマン(ウィリアム・ホルツァー),柄本明(タツ),ダーク・ハンター(トーマス・ペリマン),清水美沙(優子),中原丈雄(川村安弘),若松武史(ベニー渡辺),小木茂光(長田),浜田晃(山本).
バリー・アイスラーの人気サスペンスシリーズの映画化.
殺し屋ジョン・レインは日米のハーフ.ある人物から依頼され,国交省の官僚川村の暗殺と所持しているメモリースティックの奪取を行う.2_4
川村は死んだがメモリースティックは見あたらない.スティックには国家を揺るがす重大な秘密が隠されている.
警察やCIAから追われることになったジョンは,川村の娘みどりと接触する….
原作は読んだが,主人公が魅力的な割にはその殺しの激しさと心理的な平静さがショックだった.
ジョンはベトナム戦争後遺症に悩む一方,人を平気で殺す.原作では素手で殺したのが8人,他に数人銃で殺している.
この映画の椎名桔平からは,その恐ろしさは全く伝わってこない.
最初の川村の殺人からして,ジョンの仕業なのかどうかは,はっきりしないままだ.心臓発作に見せかけた殺し,が前提で物語が走っているはずなのに,にっこり爽やかで川村みどりを必死に守って逃げるジョンを見ると,川村は本当に心臓発作で死んでジョンは親切にも介抱しただけなのかも,と思えてくる.
こうなると話はめちゃくちゃである.3_4
ゲイリー・オールドマンは監視モニタのスクリーンをにらみつけて怒鳴るだけだし,CIAのあまりの間抜けぶりはかえってリアル感を喪失させる.
ロマンスは不完全燃焼,濡れ場無し,アクションシーンはいまいち.
画面の中心以外全てぼかす技法が多用されるが,いったい何の意味があるのか不明.
最後のジョンとみどりのシーンも,映画をシリーズ化する事情を優先させたためか,無意味な別れのシーとなってしまった.5
全体にちゃちな感じがぬぐえない.一生懸命演じた俳優が気の毒である.
★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:マイ・ライフ、マイ・ファミリー

日記:2010年4月某日
映画「マイ・ライフ、マイ・ファミリー」を見る.1_2
2007年.監督:タマラ・ジェンキンス.
出演:ローラ・リニー(ウェンディ・サヴェージ),フィリップ・シーモア・ホフマン(ジョン・サヴェージ),フィリップ・ボスコ(レニー・サヴェージ),ピーター・フリードマン(ラリー),デヴィッド・ザヤス(エドゥアルド),ベンガ・アキナベ(ジミー).
40過ぎでバツイチ,現在ポーランド人と恋人関係のジョンは演劇分野の大学教授,一方その妹ウェンディは,派遣社員をしながら戯曲を書いては助成金を求めて財団に手紙を出している,未婚の39歳.3_3
ニューヨークに住む彼らのもとに,アリゾナで暮らしている父親の愛人が急死,本人は認知症だとの連絡が来る.
父を引き取らざるを得なくなった二人だが,父親は子供時代の彼らに暴力的で,大人になってからはずっと疎遠だった.ニューヨーク近郊の老人ホームを見つけて父親を入所させるが,ウェンディは父をもっと良い施設に入れられなかったことを苦にするのだった….
あまり多くを語らない映画で,父が暴力的だったことも母が彼らを捨てて家出したことも,間接的にしか語られない.2_3
認知症の父親を引き取り看取るという以外には何も起こらない、ドラマチックではない地味なストーリーだが,まあこれだけで一般人には大変な出来事.
演じている役者が達者なので映画の緊張感が保たれ退屈しない.
この物語の中で二人が(特にウェンディが)成長し,自分の人生を切り開いていく力をつけていくのが見て取れ,そこが印象的であった.4_2
最後のシーン,ジョギングするウェンディの後ろからついて走ってくるのは?
映画の全体をさらっていったのはこのシーンでしょうね.いろいろな出来事がこのように総括されたのかという感銘を受けるシーンでした.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:世界で一番美しい夜

日記:2010年4月某日
映画「世界で一番美しい夜」を見る.3
2007年.監督:天願大介.出演:田口トモロヲ(水野一八),月船さらら(檜原輝子),市川春樹(ミドリ),松岡俊介(石塚),美知枝(〆子),斎藤歩(鬼塚健児),江口のりこ(テレサ),佐野史郎(遠藤),菅田俊(原(組長)),鴇巣直樹(醜い男),山崎一(窪田),小林麻子(アカネ),若松武史(平野(宮司)),大河内浩(笠松(村長)),神戸浩(久保(校長)),柄本明(ジャーナリスト),角替和枝(乞食の老婆),三上寛(権三),石橋凌(二瓶欽一).
日本で一番出生率の高いということで総理大臣から表彰されることになった要村.
この漁村がそうなった原因は14年前にさかのぼる.
上司に反抗しこの村の支局にとばされてきた水野,同じ左遷組の同僚と馴染みのスナックに通ううちに,そこの美人ママ輝子の前夫と元の婚約者がいずれも心臓発作で死んでいることを知る.スクープをものにしたら本社に帰れるかと勇み立つ水野.4
一方人里離れた湾に浮かべた船で怪しい爆弾(?)の製作に励む二瓶は元過激派.幼なじみの輝子を恋しながら,縄文人のセックスパワーを現代人に甦らせる研究に励む.
ところが輝子が実は不思議な超能力を持つことが判り,話は思いがけない方向へと突き進む….
寓話的映画である.言いたいことは只一つ,セックスが世界を平和にする,ということらしい.
そのこと自体は目新しいことでもないが,長尺の映画をさして退屈せずに見られたのは,ちょこまかと展開される諸々のエピソードが結構面白いのと,俳優達のキャスティンのおかげであろうか.
スナックのママ輝子を演じた月船さららが良かった.物静かな美人ママ変じて不気味な超能力者,実は…と言う変幻自在なキャラクターを演じて見応え有り.
彼女の恋人を演じた石橋凌も迫力有り.2
三上寛が昔と(40年程前と)全く変わらず素のキャラで熱演,良い声しています.
映画は紆余曲折を経て,「世界で一番美しい夜」という結末を迎えるのだが,この「世界で一番美しい夜」ということは,概念的な美しさを意味しているのであった.
しかし僕としてはここは映像的な美しい夜を是非とも(嘘でも良いから)演出して欲しかった.そうすればこの映画の寓話性ももっと力強くなったかと思うのだが.1
夜のとばりに包まれた漁村の上に,何処までも広がる濃紺の空,次第に数を増しやがて燦然と輝く無数の星達.
題名は大事にしなきゃね.
惜しいって言うところで★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2010/04/10

独断的映画感想文:ハリー・ポッターと謎のプリンス

日記:2010年4月某日
映画「ハリー・ポッターと謎のプリンス」を見る.1_2
2008年.監督:デヴィッド・イェーツ.
出演:ダニエル・ラドクリフ(ハリー・ポッター),ルパート・グリント(ロン・ウィーズリー),エマ・ワトソン(ハーマイオニー・グレンジャー),ジム・ブロードベント(ホラス・スラグホーン),ヘレナ・ボナム=カーター(べラトリックス・レストレンジ),ロビー・コルトレーン(ルビウス・ハグリッド),ワーウィック・デイヴィス(フィリウス・フリットウィック),マイケル・ガンボン(アルバス・ダンブルドア),アラン・リックマン(セブルス・スネイプ),マギー・スミス(ミネルバ・マクゴナガル),ティモシー・スポール(ピーター・ペティグリュー),デヴィッド・シューリス(リーマス・ルーピン),ジュリー・ウォルターズ(ウィーズリー夫人),ボニー・ライト(ジニー・ウィーズリー),マーク・ウィリアムズ(アーサー・ウィーズリー),ジェシー・ケイヴ(ラベンダー・ブラウン).トム・フェルトン(ドラコ・マルフォイ),フレディ・ストローマ(コーマック・マクラーゲン).
ハリー・ポッター・シリーズの第6作.主人公3人はいずれもすっかり大人になった.2
ロンはほれ薬のためか判らぬが,次々に女生徒と付き合い,ロンに思いを寄せるハーマイオニーは気が気ではない.
一方ハリーはロンの妹ジニーとどうも思い合っているらしいが,本人はいっこうに行動を起こさず回りをやきもきさせる.
他方ホグワーツ魔法学校のダンブルドア校長は,闇の帝王ヴォルデモートの圧力に抗するため,ハリーと共に防御の策を巡らすのだった….
夢の様な魔法の世界が楽しかったホグワーツも暗澹とした雰囲気に包まれ,遂にダンブルドアに魔の手が迫るが,その犯人は意外な人物である.3_2
謎は深まり危機は高まるが,この映画では何も解決せず,全ては次回作に先送りされる.
それにしては154分の長尺はいささかしんどい.
しかし魔法使いも大人になるのだ.3人の「思春期」ぶりを見ていると,そういう思いがしみじみとする.
この映画では不思議なことに,闇の世界に身を置こうとしているドラコの苦悩に共感できた.彼の悩みが恐らく登場人物の中で一番厳しいものだからであろうか?
過去の作品では単なる嫌みな美少年だったドラコの今後の運命を思うと,次回作での解決を祈らずにはいられない.4_2
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:2012

日記:2010年4月某日
映画「2012」を見る.20124
2009年.監督:ローランド・エメリッヒ.
出演:ジョン・キューザック,キウェテル・イジョフォー,アマンダ・ピート,オリヴァー・プラット,タンディ・ニュートン,ダニー・グローヴァー,ウディ・ハレルソン,モーガン・リリー,ジョン・ビリングスレイ,ジョージ・シーガル,ジミ・ミストリー,パトリック・ボーショー,アガム・ダーシ,ヨハン・アーブ,トーマス・マッカーシー.
SFパニック映画.20123
太陽の異常から大量のニュートリノが放出され,それが地球のマントルと反応して地殻の大変動が起こる.
話の筋は小柴博士のノーベル賞と小松左京の「日本沈没」のパクリとしか思えないが,それを力業で地球規模の大パニック映画にしたのは,監督の腕力と言えよう.
この映画の見所は何と言ってもCGによる映像の力に尽きる.
とにかくビルは崩れハイウエイは人と車ごと吹っ飛び,谷は裂け海は押し寄せる.その中を主人公の車と飛行機だけは無事にすり抜け続けるご都合主義にはいささか辟易するが,映像の迫力は見応えあり.
主人公の一人であるジョン・キューザックのファミリーの行動にはいささか了解し難いところがあるし(彼らが無理な密航をしたおかげでアメリカ合衆国の船は全滅の危機に瀕する),人間側のドラマは全体に今ひとつと思える.
もっと大きな問題は,これがノアの箱船構想だということが,最後まで明確にならなかったことだろうか.20122
実は僕は終盤に至るまで「船」というのは宇宙船のことだと思いこんでいた(合衆国大統領が「地球は滅びるのです」等と言ったのでそう思いこんだのだが).
宇宙船と箱船では状況のどこがピンチかという意味で基本的な問題が変わってくる.その点は僕が勘が鈍いのか映画が不親切なのか.
まあそういう点はともかく,パニック映像の連続で158分を見せてしまう力には脱帽せざるを得ない.恐れ入りました.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:悪名

日記:2010年3月某日
映画「悪名」を見る.4
1961年.監督:田中徳三.
出演:勝新太郎(朝吉),田宮二郎(モートルの貞),中村玉緒(お絹),中田康子(お千代),水谷良重(琴糸),浪花千栄子(麻生イト),山茶花究(吉岡).
昭和初期の八尾を舞台に,独立系やくざもの朝吉とモートルの貞の男ぶりを描く活劇.
やたらと喧嘩に強く,度胸と腕っ節は人並み外れた朝吉と朝吉を兄貴と慕う貞が,それぞれ恋女房を持ちながら芸者琴糸の足抜きを義侠心から助ける活躍を描く.1
ところで,モートルの貞は八尾のやくざの子分として登場するから出自はそれなりに明らかなのだが,朝吉というのは謎の人物ですね.
原作ではどうなっているのだろうか,映画から理解できるのは,正業に就かずやくざでもなく,喧嘩は強く男度胸は人一倍,酒はからっきしなのに女にはやたらもて,そうそうたる親分連中相手に渡り合う.
およそ世の中にそんな人はいないであろう.
一体何をして金を得ているのか,どこで男を磨いたのか,一切不明.5
まあそんなことはどうでも宜しいというところから映画はスタートしているのだろうが,そこは最後まで釈然としない.
映画の展開は痛快で,時のたつのを忘れる.特に田宮次郎と勝新のからみは絶妙で,この映画が直ちにシリーズ化されたのも納得がいく.
俳優の魅力が堪能できる映画である.3
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年3月 | トップページ | 2010年5月 »