独断的映画感想文:レイン・フォール/雨の牙
日記:2010年4月某日
映画「レイン・フォール/雨の牙」を見る.
2008年.監督:マックス・マニックス.
出演:椎名桔平(ジョン・レイン),長谷川京子(川村みどり),ゲイリー・オールドマン(ウィリアム・ホルツァー),柄本明(タツ),ダーク・ハンター(トーマス・ペリマン),清水美沙(優子),中原丈雄(川村安弘),若松武史(ベニー渡辺),小木茂光(長田),浜田晃(山本).
バリー・アイスラーの人気サスペンスシリーズの映画化.
殺し屋ジョン・レインは日米のハーフ.ある人物から依頼され,国交省の官僚川村の暗殺と所持しているメモリースティックの奪取を行う.
川村は死んだがメモリースティックは見あたらない.スティックには国家を揺るがす重大な秘密が隠されている.
警察やCIAから追われることになったジョンは,川村の娘みどりと接触する….
原作は読んだが,主人公が魅力的な割にはその殺しの激しさと心理的な平静さがショックだった.
ジョンはベトナム戦争後遺症に悩む一方,人を平気で殺す.原作では素手で殺したのが8人,他に数人銃で殺している.
この映画の椎名桔平からは,その恐ろしさは全く伝わってこない.
最初の川村の殺人からして,ジョンの仕業なのかどうかは,はっきりしないままだ.心臓発作に見せかけた殺し,が前提で物語が走っているはずなのに,にっこり爽やかで川村みどりを必死に守って逃げるジョンを見ると,川村は本当に心臓発作で死んでジョンは親切にも介抱しただけなのかも,と思えてくる.
こうなると話はめちゃくちゃである.
ゲイリー・オールドマンは監視モニタのスクリーンをにらみつけて怒鳴るだけだし,CIAのあまりの間抜けぶりはかえってリアル感を喪失させる.
ロマンスは不完全燃焼,濡れ場無し,アクションシーンはいまいち.
画面の中心以外全てぼかす技法が多用されるが,いったい何の意味があるのか不明.
最後のジョンとみどりのシーンも,映画をシリーズ化する事情を優先させたためか,無意味な別れのシーとなってしまった.
全体にちゃちな感じがぬぐえない.一生懸命演じた俳優が気の毒である.
★☆(★5個が満点)
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